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CO2削減策は後回し?[2009年10月16日(Fri)]
来年度予算概算要求は締め切られたが、温室効果ガス25%削減と大々的に打ち上げた割には、対策は見えてこない。今回は旧来予算の削減とマニュフェスト実現策が主で、環境対策はその後か。超大幅削減の具体策となれば、従来の常識を覆すような施策案が並ぶはずなのに、やる気があるのか? 私も以前の常識とは違う対策まで提案しているが・・・。

 ●鉄道関係●
 「整備新幹線」
 環境の優等生である鉄道の整備と輸送のシフトは目玉政策のはず。鉄道は日本国内旅客輸送(人×距離)の30%を占めながらエネルギーの3%しか使わないのだから。
 整備新幹線の次期着工区間の「白紙化」が大きく報じられる。マスコミは整備新幹線も無駄な公共事業の一つにしたいのか。それを削った前原大臣はエライと言いたげだが、上記理由もあり、新政権の目玉政策にならざるを得ない新幹線だ。鉄道の特性を知る前原大臣は良く理解していて、この結果になったのだろう。
 公共事業が軒並み大幅削減の中、自民党政権下で組まれた本予算での要求の約800億円が約700億円に削減されたものの、整備新幹線既着工区間の事業費はほぼそのまま。比率では伸びた。以前、新幹線予算比率が低すぎると書いたが。
 私は、予算の集中や分割開業による新幹線の早期開業促進を唱えている。景気対策・環境対策で今後予算が既着工区間に積み増されれば、提言通りにもなる。その期待もあるが、この面では今回の予算要求を好意的に見たい、他官庁は切り込み不足だが。
 「リニアと都市鉄道」
 東海(中央)リニアへの本格補助、都市通勤鉄道問題にも取り組んでほしい、他を削ってでも。エネルギー効率が特に良いリニアは国内高速交通機関の中心にすべき環境対策の超目玉。既にJR東海が動き出し、補助しやすいはずだ。また、東海(中央)リニア大阪延長、成田リニア、関空リニア、その先には常磐リニア、既存新幹線リニア化等の大課題が控える。
 都市通勤鉄道の改善も為政者ならやらねばならぬ懸案だ。やらない為政者ならいらない、私の問題と同じで。
 「内閣の各部局の役割分担」
 今回の予算要求では古い予算の削減が重要で、マニュフェストの公約を除けば、新しい話を入れ込む余裕はない、新政権発足後いきなりだし。
 だが、新政策の予算化の場合、役割分担はどうなるのか。一般的な予算書の書類作成や切り詰めは財務省、象徴的な無駄の掘り出しは行政刷新会議、目玉となる新政策の企画は国家戦略室か? 節約分予算の一部を該当部局に返す予算システムの構築等はどこが考えるのか。新幹線予算の集中化、リニアや都市通勤鉄道は、国家戦略室か国土交通大臣か?  

 「特急の急行格下げ」
 ・特別急行ばかりの日本
 旧国鉄時代は「運賃」値上げが国会で認めらず、急行を特急(特別急行)に格上げして「料金」を上げた面がある、かわりに。車両は新しいし、高度経済成長期の日本には「自分も特急に乗れるようになった」との考えもあり、乗客のニーズにも合った。
 結果、日本では「特別の急行」ばかりで「普通の急行」がほとんどない奇妙な状況になった。本来なら、車両設備改良や速度向上で急行をレベルアップすべきだった、急行のまま。
 ・特急の急行への格下げ
 鉄道会社の運賃値上げ制度の改革で適正利潤を認めるのと引き換えに、特急をそのまま急行に格下げして料金を下げ、高速道路値下げに対抗して新幹線以外の鉄道(在来線)の競争力低下を防ぎたい。新幹線の特急、在来線の一部の看板列車や豪華列車等は特急のままで良い。特別な列車としての特急の再売り込みになるかもしれない。
 ・デフレ対策
 バブル期と逆で、安い物が喜ばれるデフレの時代。高速料金1000円の折の混雑で分かる。列車の呼称を変えての値下げは乗客にアピールする。鉄道の在来線でも、同じ速度で安くなれば喜ぶ者も多いと思う、この御時世では。車内ワゴン販売等(主に特急用サービス)でも、駅にコンビニがある時代だし。消費を縮小させ景気を悪くするデフレ基調は打破したいが、それは贈与税減免等の別の分野での話だ。
 ・環境対策
 「特別急行から環境急行へ」がスローガンか。急行に「格下げ」となれば、少々古い車両でも許されよう。古い車両を大事に使えば製造過程の温室効果ガスも削減できる。タイへの中古鉄道車両支援論の中でも唱えた事だ。新型車両の方が省エネだが、省エネ車両さえ少し古くなると捨てられるし・・・。
 特急を急行にして我慢する姿勢も示せる。今の客なら共感するだろう、環境対策の鉄道利用促進策だから。
 ・補助策
 世間への周知徹底や交通機関選択の変化による乗客増加(減少緩和)に時間がかかるなら、その間の補助も考えねば、少額で期間限定でも。排ガスを出す高速道路を優遇するのだ。環境優等生の鉄道も補助せねば本末転倒、25%温室効果ガス削減を本気で目指すなら。
 財政的にはきついし、通常ならこのような鉄道会社の細かな経営上の問題に補助など考えない。だが、高速道路値下げも控え、削減目標も大きすぎ、イタしかたない。

 ●農業関係●
 「水田利用の温暖化抑制策」
 ・コメ生産調整による水田減少
 水を張った水田には温暖化抑制効果があるとされるが、日本ではコメが過剰で、水田を減らす減反(げんたん)が行われている。水田でコメを作らず、青い内に稲を刈ったり(青刈り)、タンボを畑にして麦、大豆等を作ったりする。「転作」だ。作物を育てないと農地でなくなるから、あくまで「転作」。整備事業がなされた排水の良いタンボなら、麦のような水を嫌う作物でも作れるが、水田を畑にすれば水は張らず、水田の温暖化抑制効果は出にくくなる。
 ・転作奨励金
 農政での転作補助金では、稲作以外の農業をすすめてきた。上記の稲の青刈りならタンボに水を張るが、麦や大豆を作る転作地の畑を団地化して転作組合等の集団が高能率に経営したりすれば、農業経営構造改善にも資するとして更に補助が増えた。米からの転作だから、水田から形が離れた方が良いらしい、減反初期にはゴマカシで主食米を作る者もいたようだから。
 ・転作の不利
 転作作物の多くはコメより相当に安く、もうからない。外国産品との不利な価格競争にもさらされる、日本産ブランドの確立が急がれるが。転作では生産意欲がわかず、コメの生産調整の為にイヤイヤやっているのが実情だ。振り分けられた転作率が達成できないと他の農業補助金等で不利だし。この状況の改善、もうかる転作作物の発掘は、以前から課題だった。
 ・転作政策の転換を
 CO2吸収用の植物を肥料・飼料(エサ)用等の名目で農作物として認め、それを水を張った水田で栽培すれば、農政側の「転作奨励金」に「環境対策補助金」等が加算できるような施策を望む。「環境」を転作作物とする訳だ。
 ・建設業者の農業参入策
 作物栽培には建設機械は役に立たないが、水を保持する為の水田の手入れや水深管理なら、建設業者等にも大規模に委託できる。委託料に上記の補助金等を利用すればよい。
 政府は雇用対策として建設業者の農業等の異業種への参入を図るとするが、その「雇用対策の補助金」等も上記補助金へ上乗せすべきだろう。農水省、環境省、厚生労働省の三方面から少しずつ補助があれば、いくらか助かる。下記の耕作放棄地活用策とも併せれば、効果は更に広がる。
 谷間に入った狭く細長い水田は早くから耕作放棄された。農地整備された広いタンボの中にも耕作放棄地が現れ、周囲の水田の耕作環境を悪くしているようだ。これらを、草を刈ってアゼや水路を直し、水田として水を張り、栽培の楽な植物等を植えて農地として復活させる作業等を、地域のあちこちで請け負うのは、人と機械を持つ建設業者の得意とする所か。作物栽培で利益を出さねばならない農家には負担でも。
 建設業者は新政権の公共事業抑制で収入・雇用が減るとされる。これは、その異業種進出・転換促進や雇用対策の一例と考えるべきだ。ただし、効果が出るには時間がかかるが。
 ・環境農水両省の連携 −縦割り行政の弊害緩和をー
 これは農水・環境両省、場合により厚生労働省や国土交通省にもまたがる問題でもあり、従来なら実現は難しかっただろう。農政はあくまで農政、農地はあくまで農地だったから。だが、温室効果ガス削減目標はあまりに高い。国際公約でもあり、目に見える対策が必要だ。また、新政権で閣僚同士が役人に妨害されずに話し合えるようになり、縦割り行政の弊害が緩和できるようになったのだから、是非検討してほしい。農家所得補償等の導入で、転作奨励制度がどうなるのか分からないが、転作によるコメの需給調整、環境対策の両方、運用によっては雇用対策も含む多方面に寄与するから。
 
 「農地利用の商業太陽光発電」
 ・深刻な耕作放棄地問題
 耕作放棄地問題が深刻だ。稲作は一貫した機械化作業体系が出来ており、借り手さえいれば水田農業は維持しやすい。しかし、畑の耕作放棄地では借り手も大変少ない。農家は、畑作では小面積で大収入のビニールハウス栽培に力を入れる場合が多い。また、水田でも、農地整備事業対象外の谷間等では耕作放棄が進んでいる。
 ・耕作放棄地での太陽光発電
 この土地を活用し大規模太陽光発電ができないか。電気を作物にできないか。農地は面積が巨大で、そのごく一部でも、民家の屋根など比較にならぬ発電面積になる。地方の農業村落等の広い土地に大量の発電パネルを設置した商業太陽光発電は、欧州ではかなり見られるそうだが、日本社会にはなじまぬと聞いた、太陽光発電の飛躍的拡大が必要なのに。社会通念上の問題だけではないようだが。
 ・農地の転用問題
 発電用に土地を使えば農業用の優遇は消える。例えば、農地の相続税納税猶予。農家の資産では農地の比重が高く、農家に農業を安定的に続けさせる為にこのような施策がある。発電自体は農業ではない。農家が発電事業に参画しても、発電専用地となれば農地の他用途転用となり、相続税等の優遇も消え、農家には大負担。一方、発電事業者が農地を購入しても負担が大きく経営を圧迫するし、農家は先祖伝来の農地を売りたがらない。農地としての優遇を残しながら、耕作放棄地等の農地で発電できる施策・工夫を望む。
 例えば、発電を農作業電源用的な扱いにし、最低限の農業機械が通過できる高さに発電パネルを設置すればビニールハウスの屋根やブドウ園の棚と同様の構造物として扱い、土地は農地の扱いのままにするとか。市民農園で農業用水でなく水道水を使うようなものか。
 ・転作地での発電も検討を
 同様に、上記の転作地に太陽光発電パネル群を設置しても転作にカウントされる施策も検討すべきだ、下の水田には水を張り植物を栽培するだろうが。「偽装転作」防止の為に水田の畑への転換が望ましいのなら、パネルで農業機械が入れなければ効果的かも。
 ・縦割り行政の弊害緩和を
 この話も、国の役所では農水省、環境省、経産省(発電)等にまたがり、従来なら難しかったろうが、新政権では障害が低くなったはず。それに、ウダウダ言っていられる状況ではない、25%温室効果ガス削減には。
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