
人生を選ぶこと。[2016年01月07日(Thu)]
曇り空の午後。
ふと下北沢に向かおうと思い立った。
年数を感じさせる色落ちしたジーンズに、
チャコールグレーのスヌーピーのTシャツ、
落ち着いた赤色のチェックのネルシャツ、
ネイビーのダッフルコート、ネイビー×白のスニーカー。
出発する間際、
本棚から一冊の本を取り出して、カバンに入れた。
『 ノマディズム 』という、人と旅、そして「 快楽 」の本。
「 ノマディズムというコトバは、
普通は “ 遊牧主義 ” などと訳される。
一カ所に定住定着するのではなく、
次々に出会いを求め旅してゆくことを意味する。 」
「 彼らは、ノマド的に生きることは
とてもリスクがあるけれど、
実はそれ以上の強い快楽はない
ということも知っているのだ。 」
「 快楽的に生きることは、人生を選ぶことだ。
僕はそれをやり続けてゆきたい。
人生がどこへ向かうか、それは地図には書いていない。
日々、出会いの中で、
新しい地図をつくり続けてゆかなくてはならないからだ。
しかし、すべては偶然やうたかた、たまたまのものではない。 」
先輩が通るたびにハキハキと挨拶をしている女子中学生たち。
「 うちはエスプレッソ、朝しか出してないんだ 」と言う珈琲屋さん。
高く積まれた本を一冊ずつ丁寧に拭いている古本屋のお兄さん。
下北沢の近くに住んでいたとき、
よく通っていた焼き鳥屋のカウンターで、
『 ノマディズム 』の「 小松夫妻との旅の追憶 」という章を。
45年くらいにわたって、
旅をしながら写真を撮り続け、それを仕事としてきた小松夫妻。
「 世界中に川はいろいろあって、
流れ方によって、いろんなストーリーがある。
でも、ドナウはドナウ。比較しようがない。 」
「 この道を通ってよかった。また気分がリッチになっちゃった。 」
「 世界っていうのはいろいろあるわけなんだけど、
その中に僕らも入っていって、なおかつ自由に生きたいんだよ。
だけど大それた考えがあるわけじゃないんです。 」
「 流れに身を任せた方が、人生は面白い。 」
モモとハツを2本ずつタレで。生ビールは2杯。
トイレで流れていた “ 平井堅 ” の「 瞳をとじて 」が
あんなにも感動的だったのは何でだったんだろう。
『 大上段に人生の目標を掲げなくても、
転がり込んでくる運っていうのは
絶対あると僕は信じてるわけ。
まあ、どうでもいいことなんだけど。
ただ一番言いたいのは、
なんかぼんやり思ってることっていうのは
実現するということ。
僕のような人がいることを
排除するような社会というのは絶対認めない。 』
写真家 小松義夫


