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「森は海の恋人」と「小田原ブリ回復プロジェクト」 [2014年09月27日(Sat)]
9月26日(金)、第114回「海洋フォーラム」を日本財団ビル2階の会議室で開催した。

海洋政策研究財団では、海に囲まれた海洋国日本の発展のためには、海洋に関する情報の共有や意見の交換、海洋に関して必要なことを国の政策に反映させるための世論形成が必要と考えて、海洋政策の研究だけでなく、海洋情報の発信にも力を入れている。

海洋情報の発信の一つが、その時々の社会の関心事項の中からテーマを選定して毎月開催している「海洋フォーラム」である。第1回開催が2002年10月で、今回が114回、継続は力なり、である。

今回のテーマは、東日本大震災で大きな被害を受けた三陸沿岸部における「海と生きるまちづくりの実践」である。「森は海の恋人」をキャッチフレーズにして森・里・海の繋がりを大事にして生きることの重要性を自らの生き様だけでなく、著作や社会活動で世に問うて、わが国だけでなく世界で高い評価を受けている畠山重篤さんに講師をお願いした。

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畠山さんは、有名なキャッチフレーズ「森は海の恋人」が生まれるまでのいきさつを織り交ぜながら、海と山、海の人々と山の人々との交流、それがもたらす豊かな恵みについて熱弁をふるった。

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畠山さんによると、津波の後、気仙沼市舞根地区では、住民が一体となって協議し、海と陸を隔てる大きな防潮堤の建設は住民の総意で辞退するとともに、住居は地区全体で高台に移転することとして、海を活かした生活の再建に取り組んできたが、幸い、山と海の繋がりの回復を受けて期待以上に海の恵みが甦り、また、高台移転の方も、土地の整備が順調に進んで移転が来年からはじまるという。

さらに、畠山さんは、縦割りを超えて取り組むことの重要性を強調し、全国植樹祭と豊かな海づくり大会とを近づけることなどを提案した。

そして、最後に、山と海をつなぐ全国の河川につくられているダムが自然の恵みを中断していることを指摘し、ダム湖の底に溜まっている栄養分を自然の流れに戻すために、土木技術者と生物研究者が一体となって協力することの必要性を強調し、ダム湖の底に溜まった栄養分の活用による豊かな海の復活を提案した。

この最後の提案は、海洋フォーラムの後で畠山さんと懇談した時にさらに具体的な提案に発展した。

畠山さんは、小田原ではかつて60万尾のブリの水揚げがあった、土地の人々は丹沢の山に緑が映えるとブリがくると言っていた、しかし、ブリの水揚げは、ここ20−30年、急激に減少を続け、今ではわずか千匹ほどに減少している、これは相模湾への流入河川にダムがつくられたせいであり、ダムで遮られて底に溜まった栄養分を海に戻し、ブリの水揚げを1万尾まで回復させなければならない、と力説した。

ダムの底に土砂が溜まると、ダムの収容能力が落ちるから、この問題は河川管理者にとっても頭の痛い問題であるが、このようにこの問題をさらに海の恵みの回復の観点からも取り上げて検討するという発想はこれまであまりなかった。このような視点を追加して検討すると、ひょっとしたらいいアイデアが出てくるかもしれない。

そこで、居合わせた当財団の古川主任研究員はこの分野の専門知識の持ち主なので、彼にボールを投げて尋ねたところ、粒子の小さい土とより大きな砂利などとを分けて処理を検討するのはそれなりの価値があるという。

これを聞いて居合わせた一同元気が出てきて、「小田原ブリ10万尾回復プロジェクト」を立ち上げようではないか、ということになった。(注:畠山さんの「1万尾」が「10万尾」になったのは私が目標は高い方はよいと主張したため)

本件は、とりあえずは、雑談の域を出ないが、既に建設されている多数のダムについて海に必要な栄養分の循環を回復するための方策を検討することは大いにやる価値があると思われるので、今後その実現に向けて有効な対策を探っていきたいと考えている。

関係の皆さんに「小田原ブリ10万尾回復プロジェクト」に関心を持っていただき、できればその検討に参加・協力していただければ幸いである。
Posted by 寺島紘士 at 22:40
「森川海の一体的な管理に関する調査研究委員会」開催 [2011年07月03日(Sun)]
6月30日(木)、平成23年度の第1回「森川海の一体的な管理に関する調査研究委員会」(委員長:松田治広島大学名誉教授)を開催した。

海洋政策研究財団では、自然の系としてつながっている森林・流域・海域における諸問題に総合的に対応するために、森川海の一体的管理のニーズ及びそれに応える方策を研究し、必要な提言をすることを目的として、平成21年度から3カ年計画で「森川海の一体的な管理に関する調査研究」を行なっている。

これまで2年間にわたって、北は北海道の石狩川流域から南は沖縄の轟川流域・白保海岸まで、全国の20の流域・沿岸域を訪れて一体的な管理の取組事例について現地調査を行った。

本年度は、いよいよそれらを踏まえて、先進的と認められる取組を分析し、森川海の一体的管理が必要な問題を確認し、それらの解決のための施策を検討する。

今回の委員会には、松田委員長のほか、石原義剛 海の博物館館長、来生新 放送大学副学長、新谷恭子 前北海道漁協女性部連絡協議会代表、関礼子 立教大学社会学部教授、森下丈二 水産庁資源管理部参事官、山尾政博 広島大学大学院生物圏科学研究科教授および私の各委員が出席した。

また、研究会にはオブザーバーとして、総合海洋政策本部事務局、水産庁、国土交通省(総合政策局、都市・地域整備局、海上保安庁)、環境省(水・大気環境局)からもご参加いただいた。

今回の会合では、先ず事務局が、全国20か所のヒアリング調査及び文献調査から洗い出した森林・流域・沿岸域が抱える問題点を説明し、今後問題解決が必要と認められる施策と、これを実施するための問題点・解決策の検討案を提示して、それをもとに議論した。

ちなみに、事務局が提案した取り組みが必要と認められる施策は、次の通り。

1. 海底ごみの発生源対策と流域圏が一体となって処理する仕組みの構築
2. 河川水・地下水・湧水・伏流水・海水を含む水の総合的管理システムの構築
3. ダム放水量・河川流量と、工業用水、農業用水、水道用水、内水面及び海面漁業活動との水資源利用調整
4. 利用面、生態系保全にも重要な役割を果たす河口域における利用調整、必要に応じた特区やゾーニングの設定
5. 生態系アプローチに基づく管理エリアの設定、行政区画が異なる場合の生態系保全のための関係主体の連携システム構築
6. 河川と海岸における総合的な防災対策の推進

各委員から夫々の専門分野の知見に基づく傾聴すべき意見が提出され、最終年度の取りまとめに向けて、いい審議のスタートを切ることができた、と思う。(了)
Posted by 寺島紘士 at 01:36
第3回「森川海の一体的な管理に関する調査研究委員会」開催 [2011年02月22日(Tue)]
2月22日(火)、平成22年度の第3回「森川海の一体的な管理に関する調査研究委員会」(委員長:松田治広島大学名誉教授)を開催した。(この委員会については本ブログ12月9日6月23日参照)


11人の委員全員が出席して、本年度の最後となる委員会にふさわしい会合となった。

最初に事務局より、昨年12月の第2回委員会以降の実態調査等の活動報告をした。これで本調査研究事業が予定していた20箇所の流域圏の調査は、ほぼ一渡りしたことになる。

次に、「発表」に入り、先ず、竹村公太郎委員((財)リバーフロント整備センター理事長)に「地下水と表流水一体の水循環」について発表していただいた。

竹村さんは、最初に、過去の歴史の中での森林崩壊を例に引きながら、最近の山林の土地取引や森林の伐採・林産物の輸出増大についてレポートし、「森林保全は国土保全」と指摘した。

続いて、地下水の問題を取り上げ、「地下水は流域全体の共有財産」として、個別流域での表流水・地下水一体の科学的解明を通じた持続可能な発展のための合意形成を提案した。

北海道尻別川統一条例などを参考事例に挙げた流域協議会や「流域水」基金のイメージは、沿岸域総合管理の仕組みを連想させるものがあり、興味深い発表だった。

続いて、富山県生活環境文化部環境政策課の藤谷亮一廃棄物対策主査に「富山県の海岸漂着物対策」について発表していただいた。
藤谷さんは、財団法人環日本海環境協力センターのときから漂流・漂着ごみの問題にかかわっていたが、富山県に戻っても海岸漂着物の問題に取り組んでいる。今回は、目下、富山県が海岸漂着物処理推進法に基づいて策定作業を進めている「富山県海岸漂着物対策推進計画」(概要案)について発表していただいた。

富山県は、
「円滑な処理の推進;効果的な発生抑制の推進;環境教育及び普及啓発の推進;国際環境協力の推進;多様な主体の役割分担と連携の確保」
を基本的方向として掲げて海岸漂着物対策を進めようとしている。

対策の内容も、海岸管理者、市町村、地域住民及び民間団体の役割・行動、さらには関係国間の対話・連携などまで及び、きめ細かく検討している。

藤谷さんは、この地域計画策定の意義のひとつとして「統合沿岸域管理の試金石」を上げていたが、海岸漂着物対策に富山県がとっている方法論は、まさに「沿岸域の総合的管理」の手法そのものであると思った。

まもなくこの「富山県海岸漂着物対策推進計画」(案)は、最終的な取りまとめが行われ、パブリックコメントを経て決定される予定とのこと。本格的な「富山県海岸漂着物対策推進計画」の決定・実施が今から楽しみである。

委員会は、このあと今年度の本事業の報告書案の構成・内容について審議して閉会となった。(了)
Posted by 寺島紘士 at 23:40
第2回「森川海の一体的な管理に関する調査研究委員会」開催 [2010年12月09日(Thu)]
12月8(水)、「森川海の一体的な管理に関する調査研究委員会」(委員長:松田治広島大学名誉教授)を開催した。6月に続いて第2回目の開催である。(本ブログ6月23日参照)

先ず、事務局から活動報告を行い、今年度に入ってこれまでに調査した9流域について概要を説明し、今月中旬に愛知県矢作川流域の調査を行なうこと、さらに年が明けてから四国の吉野川流域及び四万十川流域の調査を予定していること、それにより、当初計画していた20の河川流域の調査が完了することについて活動報告を行なった。

続いて、地方自治体からの発表として、北海道水産林務部水産局の幡宮輝雄水産経営課長に「健全な水循環の再生・創出に向けて−森・土・川・海の『健全な水の循環』ネットワーク作り−」というタイトルで発表していただいた。

幡宮さんが、数年前に北海道自治政策研修センターで研修を受けたときの研究成果だという。発表は、森林から農地、河川、海に至る流域の環境保全と「健全な水循環」の中で成り立つ農林水産業と地域振興について、流域を単位とする関係者のネットワーク作りや具体的な施策展開、推進体制等について考察したもので、森川海の一体的管理に関する本研究に大いに参考になる内容だった。

幡宮さんは、発表の最後に、上流で林業・酪農を営む津別農協と海域等で漁業を営む網走漁協等が、網走川流域の農業と漁業の持続的な発展に向けた共同宣言を11月25日に発表したというごく最近の住民主導の取組み事例を紹介した。なかなか興味深い取組みであり、今後の発展に注目したい。

最後に、事務局から、政策提言のシナリオの骨格案、並びにわが国の林業・森林政策、農業政策、河川政策、海岸政策、漁業・水産政策、及び森川海の一体的管理に関する各省庁や地方公共団体の取り組みについて資料に基づいて説明した。

これらの後で、全般的な意見交換が行なわれたが、各委員はもちろん、参加したオブザーバーからも、参考になる有益なご意見・コメントをいただいた。

なお、今回の委員会には、松田委員長のほか、磯部雅彦 東京大学大学院教授、新谷恭子 北海道漁協女性部連絡協議会会長、関礼子 立教大学社会学部教授、竹村公太郎(財)リバーフロント整備センター理事長、水産庁 資源管理部森下丈二参事官、山尾政博 広島大学大学院教授および私が出席した。

また、オブザーバーとして、総合海洋政策本部事務局と国土交通省(総合政策局、河川局)からご参加いただいた。(了)
Posted by 寺島紘士 at 00:20
第1回「森川海の一体的な管理に関する調査研究委員会」開催 [2010年06月23日(Wed)]
2010年6月23日、平成22年度の第1回「森川海の一体的な管理に関する調査研究委員会」(委員長:松田治広島大学名誉教授)を開催した。

海洋政策研究財団では、自然の系としてつながっている森林・流域・海域における諸問題に対応するために、森川海の一体的管理のニーズ及びそれに応える方法を研究し、必要な提言をすることを目的として、平成21年度から3カ年計画で「森川海の一体的な管理に関する調査研究」を行なっている。本年度はその2年度目である。

最初に、事務局から、@本年度の実施計画案、A森川海の一体的管理に関わる全国の取り組み状況および9つの流域ついて平成21年度に行なった実態調査の概要報告、B問題の類型化と問題別のアプローチの試案について報告した。

これに対しては、a. 地域が重視する点はそれぞれ異なるのではないか、b. 21年度の実態調査からいきなりBの試案が出てくるのは唐突過ぎるのではないか、c. 問題点を自然科学的なもの、社会科学的なもの等に分類してもうちょっと丁寧に分析する必要があるのではないか、d. 近代化の中で形成されてきた「流域」を森川海としてどう再構築するかというシナリオ作りが必要ではないか、e. 取り上げられているのは河川の話ばかりであるが海という視点が重要ではないか等々、各委員から活発な意見が出された。

続いて、本年度予定している「フルボ酸を指標とした小櫃川河口盤洲干潟の緩衝作用に関する調査研究」について、これを担当する千葉工業大学工学部生命環境科学科の矢沢准教授が研究計画の概要について説明をした。
干潟とヨシ原が森川海のつながりの中継点として果たす役割について科学的・定量的に解明するこの研究は、森川海の一体的管理に役立つものと期待される。

本委員会は、委員長を含めて委員11名で構成されている。今回は、松田委員長のほか、石原義剛 海の博物館館長、関礼子 立教大学社会学部教授、竹村公太郎(財)リバーフロント整備センター理事長、山尾政博 広島大学大学院生物圏科学研究科教授、山下洋 京都大学フィールド科学教育研究センター里海生態保全学分野教授、および私が出席した。

特に、石原さん、山尾さん、山下さんにはそれぞれ遠くからご参加いただき感謝である。

また、研究会にはオブザーバーとして、総合海洋政策本部事務局、国土交通省(総合政策局、河川局、都市・地域整備局、港湾局)、農林水産省からもご参加いただいた。

席上、調査研究の進め方について委員・オブザーバーの方々から活発・かつ建設的なご意見をいただき、充実した委員会となった。3年計画の2年度目として、本調査研究の成果を左右する重要な役割を担う今年度の取り組みがいいスタートを切ることが出来た。(了)
Posted by 寺島紘士 at 23:01
森川海第3回合同委員会と半島振興 [2010年02月20日(Sat)]
2010年2月18日(木)、「森川海の一体的な管理に関する調査研究」および「海域と流域圏の相互作用に関する調査研究」第2回合同委員会を開催した。

今回の委員会の審議の目玉は、「森川海の一体的な管理に関する調査研究」では志摩市の活動事例の報告、また、「海域と流域圏の相互作用に関する調査研究」では小櫃川に関する研究報告だった。

最初に「英虞湾における沿岸域管理の現在の取り組みと課題」について志摩市が発表をした。志摩市からは、南産業振興部長と同部水産課の浦中水産資源係長が出席した。

発表は、浦中秀人係長がパワーポイントを使って、英虞湾の地形・利用、英虞湾で起こった環境劣化、およびそれに対する自然再生の取り組みについて簡潔にポイントを衝いて説明を行なった。発表の後、各委員との間で活発な質疑が行なわれた。

英虞湾には4つの二級河川が流れ込んでいるが、それだけでなくリアス式の地形の数多くの谷合いを通じて背後の森から無数の小川が毛細血管のように英虞湾に注いでいる。発表や質疑を聞きながら、この沿岸域の森川海の自然の機能を再生する工夫が大事ではないかと考えた。

続いて、「小櫃川流域のフルボ酸の影響評価」について、千葉工業大学生命環境科学科の矢沢勇樹准教授が発表した。 

森の落葉が腐食する段階でできて鉄と結合して鉄を安定的に海に運ぶといわれているフルボ酸については、未知の部分が多い。当財団では矢沢さんに千葉県の清澄山に源を発し、東京湾の番洲干潟に流れ込む小櫃川流域のフルボ酸について研究を委託している。今年度の成果報告書が期待される。

この委員会には、総合海洋政策本部事務局、国土交通省、文部科学省などからもオブザーバーでご参加いただいている。委員会終了後、国土交通省都市・地域整備局地方振興課半島振興室の横山課長補佐から、この森川海の取り組みは半島振興対策の視点からも興味深いというお話をいただいたので、こちらからも今後の協働をお願いした。

実は、半島地域の振興を図るために1985年に議員立法で制定された半島振興法の振興施策については、これまであまり詳しい知識がなかった。

そこで、あらためて調べてみると、
○ 半島地域は、三方を海に囲まれ、幹線交通体系から離れているなどの制約の下にあり、産業基盤や生活環境の整備等につき他の地域と比較して低位にあることから、半島振興法が制定されたこと、
○ 都道府県知事の申請に基づき、国土交通大臣、総務大臣および農林水産大臣が指定した半島振興対策実施地域は、現在23地域(22都道府県)に及ぶこと、
○ 全体で見ると、面積は国土の約1割の3万7千平方キロ、人口454万人、対象市町村196(2009.4現在)であること、
などがわかった。活発な半島振興施策が講じられているようである。
そういえば、志摩市も紀伊半島の一部である。

半島振興施策との連携・協働は、森川海の一体的な管理や沿岸域の総合的管理の施策の推進にとっても効果が期待できる視点と思われる。今後検討していきたいと思う。(了) 
Posted by 寺島紘士 at 23:31
森川海第2回合同委員会の開催 [2009年11月17日(Tue)]
2009年11月16日(月)、「森川海の一体的な管理に関する調査研究」および「海域と流域圏の相互作用に関する調査研究」第2回合同委員会を開催した。

今回の委員会の審議の目玉は、流域と海域の一体的管理に関わる地域の活動についての三重県、山形県、岡山県の事例の報告だった。その概要は次のとおり。

@ 宮川流域ルネッサンス事業の活動状況と今後の課題
三重県政策部地域づくり支援室宮川流域ルネッサンスグループ副室長 高部典幸氏

A 山形県沿岸域総合利用推進会議の活動状況等と今後の課題
山形県庄内総合支庁総務企画部地域支援課地域振興主査 小松弘幸氏

B ダム緊急放流に関して、ダム管理者・漁業者間の調整と今後の課題
岡山県農林水産部水産課長 田中丈裕氏

それぞれの地域の特色ある取組みが報告され、これに対して活発な質疑討論が行なわれて充実した委員会となった。

海洋政策研究財団では、本年度、森川海の一体的な管理の取組みが行われている流域を日本全国から10流域程度を選んで調査している。これらをいくつかのパターンに分類して分析し、来年度以降、それを基にモデルサイトを選んで森川海の一体的な管理の取組みについて研究し、必要な提言を行いたいと考えている。

また、それとあわせて、この研究を通じて全国各地で行なわれているそれぞれの独自の森川海の一体的な管理に関する取組みについて横の連携を図り、ネットワーク化していきたいと考えている。今回の委員会は、そのスタートとしても役に立ったと思う。高部さん、小松さん、田中さん、ご報告ありがとうございました。(了)
Posted by 寺島紘士 at 21:09
秋田県八峰町の海の二ツ森・真瀬川・白神山地訪問(2) [2009年11月03日(Tue)]
10月27日の朝、真瀬川の状況等を聞くために秋田県山本地域振興局を訪問した。
建設部用地課を訪ねると、工藤さんがアポイントをとってくれていた担当の方は新型インフルエンザでお休みとのことで、一瞬どうなることかと思ったが、管理班の大山主幹が親切に対応してくれた。

先ず、建設部河川砂防課の河合課長に真瀬川について話を聞いた。真瀬川は、上流、中流は自然の中を流れ、下流部も田んぼや人家が少ない川で、近年は工事の計画などもないとのことだった。

海岸や漁業についても質問したところ、海岸は、真瀬川の河口域を含めて漁港区域が多いということで、大山さんが農林部農村整備課漁港漁村班の伊藤主幹を呼んできてくれて、伊藤さんに話を聞いた。結局、海岸や漁業についての全体的な話は、秋田県庁の農林水産部水産漁港課が統括し、資料・データもそこにいけば詳しいことがわかるとのことで、あらためて同課を訪問することとした。

次は、真瀬川上流、白神山地の調査である。先ず、昨日訪ねた「八森ぶなっこランド」に立ち寄り、長靴に履き替えて、山に向った。
走り始めてすぐに景勝地「三十釜」に立ち寄った。名前の由来は、山で切った木材を百釜流すと途中で三十釜はひっかかって下流に届かない急流というところからつけられたとのことだった。紅葉、黄葉が清流に映えて美しかったが、この急流がこれより上流への鮭の遡上を阻んでいるとのことだった。

真瀬川の上流は、一の又沢、中の又沢、三の又沢に分かれていて、道路は、一の又沢に沿って進み、途中から川と離れて山の斜面を登っていく。やがて視界が開けて車窓から彩の鮮やかな山の斜面が見えてきた。ブナ林が伐採された後に植えられた杉が高度が高くなると育ちが悪くなる様子が手に取るようにわかった。標高750m以高では杉は育たず、ダケカンバだけが目に付く。

工藤さんに白神ネイチャー協会が取り組んでいるブナの植樹の現場を案内してもらった。現場にたって見ると、厳しい自然の中でブナの森を再生するというのがいかに大変なことかを実感した。そのためには、目先の結果に一喜一憂せずに工夫を続け、百年かけてそれに取り組むという視野と意志が必要である、という工藤さんの話に共感した。

やがて清秋林道の終点に着いた。道路は青森県との境のところで終わっている。そこにある巡視管理棟で昼食をとった。工藤さんが自分で栽培したお米で握ってつくってきてくれた大きなおにぎりを頬張った。大変美味しくて大根のあさづけとともに皆でパクパクといただいた。

昼食の後、管理歩道を山の「二ツ森」(標高1086m)の二つピークが並んで見えるところまで登った。「山の森・海の森、二ツ森づくり」という白神ネイチャー協会の目標として登場する山が目の前に秋色に染まって聳えていた。

この後、山を下りて再び海岸線に出て、八森漁港からさらに北の地域を岩館漁港まで見て回り、今回の森川海の一体的管理に関する現地調査は終了した。

今回の調査では、工藤さんにたいへんお世話になった。
工藤さんは、地質がご専門で、理科の先生をやり、地元の小学校の校長先生を務められたという地元の名士である。気さくなお人柄でわれわれの調査にこころよく協力していただいたが、しっかりとしたご自分の意見をお持ちである。

例えば、あちこち見て回っている時、時々道路わきに葦原が見えた。最初は何気なく見ていたが、そのうちに、その場所からすると、ひょっとするとそこは以前は田んぼだったのではないかと思えてきた。工藤さんに聞くと、言下に、そうです、減反政策のため休耕した田んぼがこうなってしまったのです、収穫量を減らすのが目的ならば、面積を減らさなくても化学肥料を使わない等のやり方でも対応できるのですが、減反という政策をとったために土地が荒れてしまいました、と答えた。

また、過疎化の問題についても、八峰町の人口は減少傾向にあるが、いたずらにあわてるのではなく、この自然的・社会的条件からみた適正人口を考えて計画的に対応していけばよい、6,000人規模であれば十分やっていける、と言われた。

いずれも傾聴すべきご意見として印象に残ったので、あわせて紹介させていただく。
工藤さん、「山の森・海の森、二ツ森づくり」のためにますますご活躍をください。(了)

Posted by 寺島紘士 at 15:28
秋田県八峰町の海の二ツ森・真瀬川・白神山地訪問(1) [2009年11月01日(Sun)]
海洋政策研究財団が、本年度から3カ年計画で「森川海の一体的管理に関する調査研究」を開始したことは、2009年5月3日の本ブログで紹介した。本年度は、全国20ほどの河川流域を取り上げて、研究員が手分けをして調査に出かけている。

10月25-27日の3日間、その一環として秋田県山本郡八峰町の真瀬川流域に出かけた。一行は、遠藤、小牧両研究員、エノックさんと私の4人である。
そもそも私が真瀬川流域に関心を持ったのは、「持続可能な発展のための日本協議会JCSD」事務局長の黒坂三和子さんから「森川海の一体的管理の調査研究」の話を聞いたバードライフ・インターナショナル副会長の市田則孝さんが旧八森町の工藤英美さん(NPO法人白神ネイチャー協会会長)たちが行っている取組みを紹介してくれたことがきっかけである。

工藤さんたちは、白神山地の周辺部にブナ等の広葉樹を植栽してブナの森づくりを行って、森から良質な水を供給することにより、地域のシンボルであるハタハタ等の魚介類の生息しやすい海の環境づくりに取組んでいる。

今回は、工藤さんのご案内で真瀬川流域と八峰町の日本海沿岸域を見て回るとともに、八峰町役場、秋田県山本地域振興局等を訪問して調査を行なった。

出張計画を立ててみて、白神山地のふもとにある八峰町に陸路でいくのは相当時間がかかることがわかり、空路で羽田空港から大館能代空港に飛んだ。羽田を10月25日16時10分に発って大館能代にスケジュールどおり17時10分に着いた。工藤さんが空港まで出迎えに出てくれていて恐縮した。工藤さんのお話では、飛行機は遅れることが多く、予定通り着いたのはむしろ珍しいとのことであった。

空港から宿のある能代市まで車で小1時間走った。もう暗くなっていてあたりの様子が見えないが、地図を見ると空港は内陸の山側にあり、そこから海に向かって走ってきたようである。
ホテルについて、工藤さんから真瀬川流域や沿岸域の様子を聞き、明日以降のスケジュール・訪問先について打ち合わせを行った。

翌26日は、午前中八峰町役場を訪問した。旧八森町と旧峰浜町が2006年に合併し、両町村の境に新たに二階建ての新庁舎を建設したとのことで、中に入ると木のいい香りがした。通された2階の会議室の窓からの白神山地の眺望はなかなかのものだった。

先ず八峰町の加藤和夫町長にお会いして、当財団の森川海の一体的管理や沿岸域の総合的管理の調査研究について説明し、あわせて八峰町が真瀬川流域や沿岸域における総合的管理の取組みにご関心があるのであれば、当財団も協力していきたいとこちらの考えを表明した。加藤町長もこちらの話に関心を持っていただいたようで、いろいろな点について具体的な質問をされた。

当財団が、森川海の研究および総合的沿岸域管理の研究の双方で、地域と協力してモデル的な取り組みの研究を計画している来年度にむけて、八峰町との協力の可能性を引き続き検討していくことになった。

これまでいくつかの市町村を訪れて地域行政のトップである市町村長にお会いして流域や沿岸域の総合的管理の必要性を説明しているが、今回の加藤さんのように関心を持って話を聞いていただけるケースが多いのは大変心強い。森川海の一体的管理や沿岸域の総合的管理のモデル的取り組みを推進し、それらの良き実践例を橋頭堡にして、総合的管理の制度的取組みを促進していきたいと考えている。

公務でお忙しい加藤町長が退席した後、引き続き、真瀬川漁業協同組合の日沼正清組合長および八峰町建設課の石上義久係長に、漁協の活動や真瀬川の利用・管理の状況、沿岸域の状況、さらにはそれらの問題点や課題などについて詳しく話を聞いた。具体的なことがだんだん判ってきて大いに参考になった。

26日の午後は、工藤さんに案内していただいて、先ず沿岸域を見て回った。工藤さんのお宅のある浜田のあたりは海岸が砂浜であるが、そこから北に向かっていき、泊川を過ぎると磯に変わっていく。途中で立ち寄った下椿漁港は、半分砂に埋もれていた。数年前から砂が港内に溜まりはじめ、今では年2回浚渫しなければならないが、とても経済的に負担できないという。能代で海に出る一級河川の米代川から出る砂の流れが沖合への人工礁の設置により変わったせいではないかと工藤さんは言っていた。

真瀬川の河口は、予想よりこじんまりしていた。その沖に「二ツ森」という呼ばれるハタハタの漁場がある。ハタハタは、なぜか秋田県北部沖の大陸斜面から真瀬川河口を目指して産卵にやってくるという。12月の新月から1週間ハタハタ漁が解禁になるそのときは、この一帯は大変な人出で混みあうとのこと。
河口陸側に架かっている橋の上から下を覗くと、鮭が泳いでいるのが見えた。ここで淡水に体を慣らしてから川を遡上するのだという。

河口にほど近い八森漁港本港の入り口から「二ツ森」の方を覗いた後、今度は真瀬川を遡って「ぶなっこランド」までいった。そこは白神山地の入り口で、インフォメーションセンターがあり、様々な体験施設がある。白神ネイチャー協会の事務所もここにある。工藤さんにきのこを栽培しているところや真瀬川など、その一帯を案内していただいた。真瀬川渓谷周辺一帯は八森岩館県立自然公園に指定されている。ちょうど紅葉の季節で,あたり一面が紅、黄、黄緑などで彩られていてきれいだった。(続く)

Posted by 寺島紘士 at 23:09
信州と森川海の一体的管理 [2009年05月03日(Sun)]
2009年4月29日の夜、信州・八重原に到着。ゴールデンウィークをこちらで過ごしている。最初の夜は冷え込んでいたのでストーブを焚いた。翌朝目が覚めてカーテンをあけると山桜の花が満開だった、が、もう散り急いでいる。落葉松の芽の緑が濃くなり、季節の進行が例年より早い。しかし東の浅間山、南の蓼科山には、まだ白い雪が残っている。

野山にはこの季節独特の柔らかな緑、黄緑が広がり、色とりどりの花が咲く中で、庭の菜園でトマト、なす、きゅうりを植え、ジャガイモ、枝豆、二十日大根などの種を蒔いた。蝶、蜂、蟻、虫などの活動も活発である。

さて、信州に来て、山や空を眺めていると、想いが自然に「森川海空研究プロジェクト」に流れて行く。

2007年から「森川海空放談会」を開催して準備を進めてきた本プロジェクトについては、本ブログでもたびたび取り上げた(2007.8.15、2007.9.3および2008.8.11参照)が、いよいよ2009年度から「森川海の一体的管理に関する調査研究事業」が本格的にスタートした。

森川海空は、水の循環経路であり、特に森川海は、流れる水、物質循環や生態系を通じて相互に密接な関連を有している。上流の森が中下流の川や海の豊かな生態系の形成に貢献し、また、海で育った生物が上流の生態系や植生に影響を与えることが経験的に知られている。しかし、森川海のこれらの相互作用が科学的に十分に検証されているとはまだいい難い。

また、森川海が相互に密接な関連を有しているのであれば、それらを一体的に管理することが必要となる。しかし、現行の森川海の行政はバラバラに行われていて、相互の連携・調整はほとんど行われていない。このため、各地では森川海にまたがる問題に地域住民・NPOレベルで取組んでいる事例がまま見受けられる。

本事業は、これらの問題を取り上げ、森川海の相互作用を検証するとともに、各地の海域と流域圏の一体的管理の取組事例の研究を通じて必要な一体的管理の具体的内容を明らかにし、また、関係者のネットワーク化の検討を行う。3ヵ年事業の最後には研究の成果に基づき必要な政策提言を行なう予定である。

さて、森川海の一体的管理に関する調査研究は、地方の皆さんと協力関係を構築して各地方の実態に即して取組まないと良い成果は望めない。そこで、本研究では、単に一体的管理の取組事例を調査研究するだけでなく、海域と流域圏の一体的管理について前向きに取組もうとしている地方を二、三モデルケースとして取り上げ、それらの地方と協力して研究を進めることとしている。皆さんからの自薦、他薦を歓迎したい。

なお、海洋政策研究財団では、このほかにも「沿岸域の総合的管理に関する関係者の認識等の調査研究事業」および「海の健康診断を活用した海域環境評価に関する調査研究事業」を本年度から新たにスタートさせた。森川海の一体的管理に関する調査研究は、これらとも有機的に連携させて研究を進めたいと考えている。(了)
Posted by 寺島紘士 at 22:36
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