トンガの海底火山の噴火と福徳岡ノ場の新島等のその後(4) [2022年01月21日(Fri)]
日本から8,000q南の南太平洋の島国トンガで15日に海底火山が大規模噴火し、それに起因するとみられる津波が16-17日に太平洋沿岸の国々に到達した。日本の太平洋沿岸にも最大では1mを超える津波が到達し、奄美や岩手に津波警報、太平洋沿岸の広範な地域に津波注意報が出された。
国連衛星センター(UNOSAT)によると、噴火した海底火山の海域には海面上に285ヘクタールの陸地があったが、現地時間17日午前10時53分(日本時間同6時53分)に撮影された写真では、陸地がほぼ全て消滅しているという。その噴火の大きさに驚かされる。 太平洋での海底火山の噴火と言えば、8月15日に確認された小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」の噴火と新島の出現とその後の状況については本ブログでもたびたび取り上げてきた。 「福徳岡ノ場」に新島出現 」https://blog.canpan.info/terashima/archive/2014 「福徳岡ノ場」の新島のその後 」 https://blog.canpan.info/terashima/archive/2017 「福徳岡ノ場」の新島のその後(2)」https://blog.canpan.info/terashima/archive/2019 「福徳岡ノ場」の新島のその後(3)」https://blog.canpan.info/terashima/archive/2027 参照 この福徳岡ノ場では過去3回にわたって噴火により新島が出現したが、残念ながらいずれもしばらくして海没している。そこで今回出現した新島がはたして島として存続できるかどうかに関心をもって状況の推移を眺めてきた。 すると10月になって福徳岡ノ場の噴火で流出したと思われる軽石が沖縄の島々に大量に漂着して海上交通、漁業、観光に甚大な影響を及ぼす事態が発生した。それらの軽石は黒潮に乗って反転北上し伊豆諸島の島々の一部にも流れ着いている。 福徳岡ノ場の噴火で噴出された大量の軽石がこのように太平洋上を漂って広範囲にわが国の各地に影響を及ぼすことまでは想定していなかったので驚き、あらためて地球内部から噴き出す噴火のすごさを実感した。 そこに今度のトンガにおける海底火山の巨大噴火である。地球内部のマグマの活動がまだまだ活発であることを目の当たりにして改めて陸上だけでなく海底の火山活動にも関心を持っていくことの重要性を認識した。 さて、福徳岡ノ場のその後の状況であるが、年末12月27日の海上保安庁の観測によると新島は残念ながらかなり縮小しているようである。 少し時間が経ってしまったが、海上保安庁は2021年12月28日に次のようなプレスリリースを発表しているのでご覧ください。 福徳岡ノ場の火山活動について(12 月 27 日観測) 1. 状況 12 月 27 日、第三管区海上保安本部羽田航空基地所属航空機により観測を 実施しました。主な観測結果は以下のとおりです。 [観測結果] ・新 島:12 月 14 日の観測結果と比較し、新島は縮小しており、波浪 により陸地が見え隠れしている状況であった。 ・活 動:観測中の噴火は認められなかった。 ・変 色 水:新島の東側から茶褐色の変色水の湧出を認め、同位置から東側約5qにかけて黄緑色の変色水の分布を認めた。 福徳岡ノ場の東約5q付近に長さ約 400m 弱の軽石と思われる筋状の浮遊物を認めた。 2.東京工業大学理学院火山流体研究センター 野上健治教授(航空機同乗) のコメントは以下のとおりです。 福徳岡ノ場の8月の噴火で形成された陸地は波浪によって消滅しつつある。一方、噴火地点から変色水域が現在も比較的に広範囲に広がってお り、熱活動は活発に継続している。南硫黄島の海岸のほぼ全周にも変色水域があり、福徳岡ノ場を含めた海域の活動を注視する必要がある。 プレスリリースには現場の写真が説明付きで掲載されているので下記をクリックしてみてください。 https://www1.kaiho.mlit.go.jp/KIKAKU/press/2021/20211228.pdf |
Posted by
寺島紘士
at 20:42