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新刊『侮ってはならない中国』に注目 [2020年10月18日(Sun)]
このところ中国の尖閣諸島領有に向けた攻勢が厳しさを増していることは、本ブログ10月14日等で取り上げたが、その動きは止まらない。15日午前には尖閣諸島周辺の領海に中国海警局の船2隻が侵入し、大正島の西南西約22キロの海上で日本の漁船1隻に接近しようとしたと報じられている。

なお、前回ブログで取り上げた、11日に尖閣諸島周辺の領海に侵入した中国海警局の公船2隻は13日まで57時間39分にわたってわが国領海にとどまり、その間に操業中の日本漁船に接近しようとする動きも見せた。これは平成24年9月の尖閣国有化以降の最長記録だという。

中国は、わが国の外交ルートを通じた再三の厳重抗議に対しても、尖閣諸島は「中国固有の領土であり、その海域でパトロールを行うことは中国固有の権利だ。日本は尊重すべきだ」と外務省報道官が記者会見で真正面から反論する始末で、南シナ海で行ってきたように、国際法及び周辺諸国の管理を無視して、力により島嶼及びその周辺の海域と資源を自国の支配下に置こうとする中国の意図が明確になってきた。

このような尖閣諸島と東シナ海の新たな状況を前にして、今私たちは、中国の強引な海洋進出とその戦略的行動をきちんと把握し、力による現状変更の企てから日本の海と領土を守るにはどうしたらよいかあらためて確認し、それに従って行動することが求められている。

そんな折も折、私たち日本国民がこれらの問題を真剣に考えるにあたって大変参考になる新著『侮ってはならない中国―いま日本の海で何が起きているのか』が信山社新書として出版された。

著者は、私たちも海洋政策で大変お世話になっている坂元茂樹同志社大学教授である。

坂元先生は、国際法を専門としているが、海洋の問題に、海洋法だけでなく海洋に関するさまざまな知見にも関心を持って総合的に取組み、発信もされている。(本ブログ2019年11月12日等も参照)

そのような坂元先生が、いわゆる専門書ではなくて、多くの人々に私たちにとって大切な日本の海で今何が起きているかを知ってもらい、東シナ海、そしてそれと大いに関係のある南シナ海の現状に関心を持ってもらいたいと考えて、新書本として緊急出版したのが新著『侮ってはならない中国』である。

本書は、第1部 南シナ海、第2部 東シナ海の2部構成になっている。

中国の、東シナ海、そして尖閣諸島周辺における行動を考える上では、中国が、その大半を中国の海域であると主張して東南アジア諸国を相手にその囲い込みを着々として進めてきている南シナ海の事例がいい参考になるので本書はまず南シナ海から始まっている。

第1部の目次の章立ては次のとおり。

第1部 南シナ海
第1章 中国の海洋進出と「法の支配」、第2章 南シナ海における中国の海洋進出、第3章 南シナ海における九段線の主張、第4章 南シナ海仲裁裁判の開始、第5章 管轄権に関する南シナ海仲裁判決、第6章 本案に関する南シナ海仲裁判決、第7章 深まる米国との対立―南シナ海における航行の自由作戦の展開

続いて本書は、第2部で今問題となっている東シナ海について取り上げている。その目次の概要は次のとおり。

第2部 東シナ海
第1章 いま日本の海で何が起こっているのか
1 日本よる尖閣諸島の領有、2 脅かされる尖閣諸島
第2章 尖閣諸島周辺海域における中国公船の動き
1 東シナ海で増す中国の圧力、2 中国は何を狙っているのか
第3章 日本のあるべき対応
1 日本はどう対処すべきか、2 中国公船と無害通航権、3 日本が中国公船に対してとりうる措置、4 武器の使用に関する国際基準
第4章 強まる中国の軍事的圧力
1 東シナ海における中国軍の動き、2 国際海峡制度と日本の対応、3 中国海軍によるトカラ海峡の通過問題
第5章 海洋の科学的調査と日本
1 海洋の科学的調査とは何か、2 科学的調査に関する日本の立場
第6章 尖閣諸島周辺海域の中国海洋調査船への対応
1 中国による海洋調査に関する特異事例、2 中国海洋調査船の取締りにおける困難性、B 東シナ海の海洋境界画定をめぐる日中の対立
第7章 沖ノ鳥島周辺海域の中国海洋調査船への対応
1 大洋号事件(2020年7月)、2 沖ノ鳥島の法的地位に挑戦する中国
第8章 米国の新たな動き―南シナ海および東シナ海制裁法案
1 日米安全保障条約の適用対象たる尖閣諸島、2 南シナ海および東シナ海制裁法案
第9章 侮ってはならない中国、侮らせてはならない日本
1 侮ってはならない中国、2 侮らせてはならない日本

一読して、目下の尖閣諸島をめぐる中国の強引な海洋進出と戦略的行動を前にしてこれにどう対処すべきか、行間から坂元先生の熱い思いが伝わってくる。

先生が「第9章2侮らせてはならない日本」の中で述べている次の言葉は胸に響く。

「尖閣諸島を中国に奪われ、南シナ海と同じように軍事基地化されれば、日本の安全保障は重大な危機に直面する。沖縄の漁民は漁業権を奪われ、そして尖閣諸島周辺の豊かな海洋資源も奪われることになる。
200カイリの排他的経済水域を考えれば、島の価値をその面積で量る時代はとっくに過ぎ去り、その島の周辺海域の豊かな水産資源や海洋資源で量る時代であるのに、その認識が日本国民には大きく欠けているように思われる。」

東シナ海、尖閣諸島の周辺海域の問題は政府だけに任せないで私たち国民一人一人が関心を持って取り組んでいくことが求められているときが来ていることを実感した。

本書は、新書版で手軽に持ち運びが可能であり、電車の中でも読みやすい。日本の海と領土や隣国中国との関係に関心のある方々に是非一読をお奨めしたい。
Posted by 寺島紘士 at 15:38
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