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東アジア海洋会議2009開催(2) [2009年11月30日(Mon)]

先ず、2009年11月23日(月)から28日(金)までマニラで開催されていた東アジア海洋会議が、大きな成功を収めて27日に終了したことを報告したい。



11月21日からバタアンで開かれたPEMSEA地方政府ネットワーク(PNLG)会議などの関連会議を含めると一週間に及ぶ会議には、東アジア地域の14カ国を含む43カ国からおよそ1600人の人々が参加して大成功だった。



初日23日の開会式では、フィリピン元大統領のフィデル・ラモス氏がパフォーマンスを交えて参加者に語りかける熱のこもった基調講演を行なって、会場を沸かせた。
また、26日にはマカパガル・アロヨフィリピン大統領が参加11カ国の閣僚や在フィリピン駐在の各国大使を含む多数の参加者の前で基調講演を行なった。

東アジア海洋会議は、会を重ねるごとに規模が大きくなり、今回の会議の参加者は前回2006年の会議の2倍、今回の会議の開催に協力した国際、地域の機関・団体は、50余にのぼる。海洋政策研究財団も非政府パートナーとして毎回会議の開催に協力し、海洋・沿岸域政策に関するワークショップを開催している。

東アジア海洋会議の主要会議は、「国際会議」と「閣僚フォーラム」である。

「国際会議」には東アジアの各国、並びに国際機関、地域機関、NGOなどのPEMSEA非政府パートナーを始めとする多くの官学民の海洋関係者が参加し、海洋・沿岸域の総合的管理について、様々な問題を取り上げて検討し、その結論に基づいて勧告をまとめている。
23−25日に開催された今回の「国際会議」は、「沿岸・海洋ガバナンス」「自然、人為の災害の予防と管理」「生息地の保護・回復・管理」など6つのテーマを掲げて、その下で28のワークショップが開かれた。

海洋政策研究財団は、テーマ1「沿岸・海洋ガバナンス」の下で、ワークショップ1「沿岸・海洋政策と法律制定:実施と新しい取組み」を24日に開催した。このワークショップの議長は私が務め、チュアさんに 共同議長を務めてもらった。



このワークショップは、3つのセッションからなり、午前中のセッション1では、「各国の海洋政策」を取り上げ、日本、インドネシア、中国、シンガポール、韓国、ベトナム、マレーシアの7カ国がそれぞれの海洋政策の取組みを紹介した。日本の取り組みについては、私が発表し、海洋基本法の制定、海洋基本計画の策定などの取り組みとその内容について紹介した。ここ数年の間に各国の海洋・沿岸域政策は大きく進んでおり、海洋・沿岸域政策や、それを推進する法律が次々と制定されている状況がそれぞれ紹介されて、大いに参考になった。
このワークショップに対する参加者の関心は予想以上に高く、会場は途中から椅子を増やしてもまだ足りず、一時は立ち見の人が出る盛況だった。150人ほどの人々が参加したと思われる。

午後のセッション2は、「統合沿岸域管理(ICM)のための環境整備」を取り上げ、チュアさんなど7人が発表した。この中で、当財団客員研究員のエノックさんが「ICM実施における重層的(nested)アプローチ」について、また、文部科学省教育課程課の田村学さんが「日本の初等教育における沿岸・海洋教育」について発表し、参加者の関心を集めていた。

夕方のセッション3は、「国会議員の対話」と題してフィリピン、韓国、カンボジア、ベトナムの現・前の国会議員による討議が行なわれた。フィリピンのピア・カエタノ上院議員が議長となって積極的に議論を進め、韓国の諸淙吉前議員などがこれに応じて内容のあるやり取りが行なわれた。



海洋・沿岸域政策を総合的に推進するためには「政治的意思political will」が重要だと午前、午後のセッションで指摘されていただけに、東アジア地域各国の国会議員による政策対話がPEMSEAの東アジア海洋会議の中で行なわれたことは画期的なことである。今後は日本の政治家にも参加していただいてこの環をさらに広げていきたいと願っている。

「閣僚フォーラム」は、東アジアのPEMSEA参加国の閣僚クラスが集まり、「国際会議」の勧告なども参考にした上で、PEMSEAの運営の根幹に関わる重要決定を行う。
今回は、日本からは国土交通省の藤田武彦技術総括審議官が出席した。

2003年にマレーシアで開催された第1回の東アジア海洋会議2003では、2002年の「ヨハネスブルグ持続可能な開発首脳会議WSSD」で採択されたWSSD実施計画の海洋に関する部分を東アジア海域で実施するための「東アジア海域における持続可能な開発戦略SDS-SEA」を採択した。

2006年に中国で開催された東アジア海洋会議2006では、PEMSEAをSDS-SEA実施のための地域協力メカニズムとして位置付け、優先的目標やフォローアップ行動を盛り込んだ「海口パートナーシップ協定」等を採択した。

26日に開催された今回の東アジア海洋会議2009では、閣僚フォーラムの議論に先立って、PEMSEAの国際的法人格を認める協定の署名式が行われ、参加国のうち、カンボジア、中国、韓国、インドネシア、フィリピンなど8カ国が署名した。わが国を含む3カ国は、今回の署名には間に合わなかった。しかし、最低3カ国の署名が必要といわれていたのに対して、各国の対応は予想以上に積極的で、大方の参加国が署名を完了するのは時間の問題と思われる。

これにより、PEMSEAは、国連プロジェクトとしてだけでなく、自身の法人格で活動し、資金を得ることができるようになり、地域協力機構への移行に向けて大きな第1歩を踏み出したことになる。
この後これにあわせてPEMSEAとフィリピン政府の間で本部協定の署名も行なわれた。

「閣僚フォーラム」は、さらに「東アジアの海域における持続可能な開発のための統合沿岸域管理(ICM)と気候変動への適応の実施に関するマニラ宣言」を採択した。



この中で、2015年までにICMプログラムを地域の20%以上の沿岸で実施し、70%以上の国々で海洋・沿岸政策を採用する、という地域目標の達成に向けて、ICMの実施を強化・加速するため10の具体的な方策を掲げている。
この「マニラ宣言」については、日本語訳を当財団ホームページに掲載する予定であるので、是非そちらもご覧いただきたい。(続く)
Posted by 寺島紘士 at 00:18
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