寧子医師の講演 [2009年12月09日(Wed)]
今晩は。雨が降ってきました。
さて、今日の夕方からは、先月末から始まった、スタッフ・ボランテイア研修の第2回でした。今晩の講師は、てんぽのシェルターに来て、ちょっとしんどい時に診て頂くかえるメンタルクリニックの寧子(ねね)医師でした。 てんぽのシェルターが開設以来、協力医としていつも大変お世話になっています。利用者のみならず、私が疲れた表情で同行すると、「大丈夫?」と後からメールを送ってくださるスタッフにも温かい、頼れる寧子先生なのです。そして、クリニックでは、院長始め、皆さん私服で働いておられて、医療機関という独特の雰囲気がないのですが、同じ服を着ているのを2度見た事がないという位、おしゃれな寧子先生です。 さて、「精神病院」と呼ばれて、なんだか人里離れた所に立地していた感じがある以前に比べれば、だいぶ敷居が低くなりましたが、それでも、「精神病院なんか行ったら、牢屋みたいに鎖え繋がれてしまう。」と真面目に信じていたシェルターの元利用者もいたように、内科にかかるような気分ではまだ受診はできないと思います。 それでも、シェルターに来る程、しんどい思いをしてきた人たちには、「構えないで、眠れないなら、眠れた方がよいから受診してみれば?」と勧めています。 そして、今晩、寧子医師は、睡眠障害や食欲低下などの身体状態が認められ、生活に支障を来している場合、自殺念虜・興奮などが強く対応に困難を感じる場合には、投薬の必要があるので、精神医療につなげるべきであるし、医療を居場所の一つとして利用してもよいと語って下さいました。 また、スタッフが対応に困難を感じ始めて、改めての評価を希望するために受診はありだが、只、スタッフの不安解消の為だけに受診に繋げるのは好ましくないとも。 その後、臨床医であるからと、配布資料にない、事例を話して下さったのが一番興味深かったのです。診察や診断する時の難しさ、患者と医師としてどこまで関わるべきなのかという葛藤をいつも感じながら診察をしていると聞いた時には、意外な感じもしましたが、その言葉の一つ一つに共感も覚えました。 「自分の考え方や対応のくせを客観的に振り返る時間の必要性。陰性感情(相手に対する好ましくない感情でしょうか)は持ってもやむを得ない、それを自覚し抱えこまないことが大切。」 というのは、私を始め今日の参加者の殆どが理解できることであり、心に留めておかねばならないことでしょう。 私は利用者や元利用者と同行して寧子医師のクリニックに行く事が割と多いのですが、限られた短い時間での寧子医師の「鋭い洞察力」にはいつも驚いていました。そして、今日そのことをお伝えしたら、「ドアを入った時に、大体どのような症状かは最初の印象でわかる。それを確かめていくことをしていく。」と話されました。 「やっぱり」と私は思ったのでした。 それから、最後に、毎日、毎日、人々の痛い話をきいて、一日の診察が終ると、顔をぶん殴られたり、レイプされた気分になるほど疲れ果てると話されました。 大変な仕事だと、短い受診同行の間に感じてはいたのですが、専門の医師でさえ、そんなに大変なのだと改めて思いました。ですから、私たち素人が勝手な判断をすべきでもないことも感じました。 そして、その大変な傷つきから回復するのには、「寝る・休養をとる」ということでした。 私がこのごろ週末に半日以上、寝てしまうのは、怠惰ではなく、必要なんだと客観的意見を加味して、自分の行動をポジティプに捉えられてよかったです。 寧子医師は、『子どものシェルターの挑戦』にもコラムを書いて下さっています。是非、購入して読んでください。 |
Posted by
てんぽ
at 16:36