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2021年04月21日

評判のアカデミー候補韓国映画「ミナリ」を見に行く

私の田舎、信州長野市で暮らす、未亡人の姉は77歳、喜寿を迎えました。
かなり信州女子のエリート街道を歩いてきた姉が言いますに、東京や湘南と住むところは違っても、今の日本は全国何処へ行っても、同じレベルのサービス、生活スタイルを得ることができる、これは高速交通網と電子、ネットのおかげであることは間違いない、でもたった一つ、地方に住んでいる不公平感、悔しさ、不便さを味わうのは映画館だと云います。

かなり読書好き、映画好きの姉は、所属している「良妻賢母」をモットーとする羽仁もと子さんの「友の会」の強力メンバーでもあり、県庁所在地の長野市でさえ評判・話題の映画が上映されないことに、苛立っています。
時たま、私にかけ放題のスマホで連絡してくる時に、「あれ」見た、と聞いてきます。
今回、聞いてきたのは、評判の韓国映画「ミナリ」でした。

先月、アメリカ映画の「ノマドランド」を見るか、「ミナリ」を見るか迷っていた時、「ミナリ」の上映時間が午後遅かったの敬遠し、「ノマドランド」を見た経緯がありました。

姉は、「今、あんたの近くの109で『ミナリ』やってるわよ」とわざわざ教えてくれました。
どれどれとネットでみると、確かに何時もシネコン、二駅先の109シネマ湘南やっています。
しかし問題は上映時間です。上映は一日一回、小さなシアター6(定員136名)、その時間はなんと8時15分開演なのです。

シネコン109湘南が入っているショッピングプラザ・テラスモール湘南の開店は朝の10時ですから、このような時間帯は入り口は一箇所のみと制限されています。
8時15分から10時まで「ミナリ」を上映して、それ以降は、きっと若者向けのドラマか、アニメでもやるのでしょう。
マイナーの映画好きのみが見たい、韓国映画はこの隙間のような時間帯に、一回だけ上映と云う、109としてはせい一杯の観客サービスなのでしょう。 

8時15分上映に間に合うようにいくとすれば、
何時に自宅を出るのか、?
その前に何時に起床するのか、?
果たして、それほどの映画なのか?
こんな時は旅計画でなれた逆算方法です。
4階のチケット受付に8時10分 
チケットを事前ネット購入
入り口から一台だけ動いているエレベーター前に8時5分
辻堂駅改札から北端の早朝用エントランスまで10分
とすると、東海道線辻堂駅ホーム到着は7時55分
大船駅発の電車は7時44分の熱海行きで辻堂に7時53分
となると、余裕を見ると徒歩15分として自宅7時25分
となると、朝ごはんなしで6時半、いつもと同じ時間でも間に合う・・・
ということになり、まあ大丈夫だ、これで行こうとなりました。

地方で車生活している方々と、ちょっとした都会(?鎌倉・大船は田舎だと思いますが)に住んでおり、車を待たない私達との間での大きな違いは常に移動は公共交通機関、バス、電車、になるので、旅先でも分単位の時刻表で動いています。
退職して、時間はたっぷりあるのだから、そんなコマネズミように動かなくてもと、おもわれるでしょうが、干支がねずみで、仕事にもそんな時間と図面に追われるような仕事、人生でしたので、旅と同様全く気になりません。

朝の7時半の駅に向かう道は、反対に神奈川の進学名門校男子校と、お嬢様学校へ向かう生徒で一杯です。
そして駅前には、前日から始まった鎌倉市議会議員選挙の立候補者が声を上げていました。
うーん、やはりリタイヤ年金シニアは時々、朝の社会の始動する時間帯に触れなくては、ボケるのだと実感した次第です。

テラスモール湘南には8時前に着きました。
シネコンがある4階へエレベーターで向かうと、すでに数人のお客さんが109シネマの前で待っていました。
シネコンの上映予定時間ボードを見ると、私が見たい「ミナリ」が一番はやい8:15なのですが、8時台開演の映画は他にも5本もやっているのです、全て、人気になりそうなアニメばかりでした。
8時に入場し、上映する6番シアターに行くと、私、一人だけです。
これは、かなりSNSで自慢できる、と密かに喜んだのですが、最終的に上映までに8人になりました。ほぼ女性、一見して皆さん、映画が好きそうな雰囲気の人たちでした。

さて、映画はどうだったか

タイトルの「ミナリ」は、韓国語で香味野菜のセリ(芹)。
たくましく地に根を張り、2度目の旬が最もおいしいことから、子供世代の幸せのために、親の世代が懸命に生きるという意味が込められている。

ストリーとしては
時代は、レーガン大統領の時代、場所は南部のアーカンソー州の田舎の農地
韓国で結婚し、二人の子供を持つ夫婦の米国へ移住した家族のドラマです。
夫は、鶏の雛のオスメスを判別する仕事をカリフォルニアでしてたが、韓国野菜を生産することを目指してここへやってくる。
映画はこの荒れた土地にやってくるところから始まる。
荒れた土地とボロボロのトレーラーハウスを見た妻は、いつまでも心は少年の夫の冒険に危険な匂いを感じるが、しっかり者の長女と心臓に病を持つが好奇心旺盛な弟のは、新しい土地に希望を見つけていく。
二人で働かないとやっていけないところに、下の男の子の病気の世話、そして知らない土地での寂しさもあって凹む妻に対して、夫は妻の母親をソウルから呼び寄せる。
かなり破天荒な母親と親子4人の新しい、アメリカ南部での生活が始まる。

登場人物はこの韓国人家族5人だけ、と言っても過言ではなく、大スペクタルなロケ、映像もなく、ましてやデジタルCGもない、奇想天外な話もない。
ひたすら、1980年代のアメリカと、そして経済成長していく韓国の世界が背景にある。
ストリーに、朝鮮戦争、ベトナム戦争、昔の日本統治の影が投影されている。
新たに登場する妻の母親は、「花札」を持ってきて、子どもたちと遊ぶ姿が無言で物語っているように思える。
そして、この地でもキリスト教会に縋ろうとする妻の姿と言動は、日本及び世界各地で見る韓国社会の拠り所である、在外韓国系協会の存在が透けて見える。
エンディング はアメリカウッドの映画に見られるような、色々な問題で苦労はするが最後は、みんなの努力でハッピーエンドという方向には終わらない。
そうなって欲しいと観客に思わせるような終わり方でアジア人らしく、好感が持てる。

今年度アカデミー賞6部門ノミネート! アメリカで成功を夢見る、韓国系移民の家族の物語
こういうミニシアター系の作品がアカデミー賞最有力候補というのが気に入ってます。
来週の月曜日年4月26日がアカデミー賞の発表ですが、おそらくグランプリは「ノマドランド」でしょうが、この「ミナリ」も何かを受賞するのは間違いないでしよう。
ここ数年、韓国映画界の才能の素晴らしさに共感しています。
映画っていいな。
半日、1,200円で、別な世界へといざなってくれるのだから。

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posted by 西沢 at 07:00| Comment(0) | TrackBack(0) | シニアライフ