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2021年01月13日

成人の日とJR上野駅公園口の思い出

成人の日は1999年(平成11年)までは1月15日だった。
それがハッピーマンデー制度により、1月の第2月曜日にあてられるようになったのは私に団塊世代にとって、そんなに昔の話ではなく、1999年と聞くと、ウインドウズ98の翌年なのだからほんのすこし前、最近の話なんです。
成人式については、過去のブログで何度か書いていますが、私は出席していません。
団塊世代のど真ん中の1948年生まれの私はが20歳になった年は、すでに海外に出ており日本にはいませんでした。
TVのバラエティ番組で今年の成人芸能人が、浮かれている日、カミサンが一冊の文庫本を買ってきました。

柳美里(ユーミリ)の「JR上野駅公園口」です。

昨年の全米図書賞の翻訳文学部門を受賞した純文学の小説です。帯には

「全世界が感動した一人の男の物語」
オール紀伊國屋書店 ランキング1位
オール丸善・ジュンク堂ランキング1位
アマゾン ランキング1位
NHK・朝日新聞他メデイアで話題沸騰・・・・
これは、読まなくてはと云い出したのはカミサンです。

というのも、我が家では本を読む場所はお風呂のなかなのです。
1時間の半身浴でゆっくりとするには、 本を読みながら入るのが一番です。
カミサンは婦人公論など少し、硬めの婦人雜誌と中高年女性向けの「ゆうゆう」などの他、芸能人ゴップ週刊誌から、高齢者のお金・健康・介護・老後の不安を煽る記事まで、ゆっくりと1時間楽しんで入っています。
今回の柳美里の「JR上野駅公園口」は私達二人共にTVのニュースで、全米図書賞の翻訳文学部門を受賞を報じたときから興味がありました。
というのも、この小説に登場する「JR上野駅公園口」は、私たち新婚時代を過ごしたアパートの最寄り駅改札口でもあり、いまだ私達二人の本籍地だからです。
住民登録は現在の住まいの鎌倉ですが、本籍地はお互いの生まれた場所ではなく、結婚・入籍した場所にしてあるのです。
ですから、パスポートなどの申請する時の戸籍謄本は、わざわざ台東区区役所まで行くことになってます。
退職・引退・隠居し17年たち、今後発生するだろう、色々な戸籍手続きを考えると、東京都台東区から鎌倉に本籍を移そうかと話したことがあります。

未だ本籍を移さない理由は

移してしまうと、あの新婚時代に過ごした街と縁が切れ、再び上野界に出向くことがなくなってしまうのが寂しいからです。

29歳と26歳で同棲し、結婚したアパートは、三畳と四畳半二間、風呂なし。一人暮らし男性お年寄り、女性お年寄り、とアパートオーナー大工さんの小僧さんと私達の4世帯で、数年前近くまで行った時まだ残っていました。

まるでリアルな「神田川」の世界で、二人でよく銭湯に行き、帰りに500円づつパチンコをしたのを覚えています。
都心に出る時は、地下鉄「根津」駅がが一番近いのですが、私達二人は散歩を兼ねて、不忍池をとおり、水族館・動物園脇を抜けてこの小説に登場するホームレスの森を抜けて、JR上野駅公園口まで歩いたものです。
時には、言問通りの坂から、谷中経由で芸大の森を抜けて歩いた二十代の思い出の地なのです。
アパートの裏は東京大学のキャンパスがあり、商店街は東京の下町風情が色濃くのこる、肩肘張らずに暮らせる庶民的な下町でした。
やがて、55歳まで勤めた会社に就職した都合で、世田谷に引っ越し、新築マンション購入で横浜に、そして退職後に鎌倉に住むようになっても、カミサンは未だに新婚生活を過ごした、東京台東区の下町時代を懐かしみ、ああいう、学歴や夫の仕事先会社名や、周りを気にせずに住む街に戻りたいと云います。

上野駅は、この小説に登場するように、東京の北の玄関口です。

東北線・信越線・上越線・常磐線のターミナル駅で、私の生まれ育った信州の人間にとっては、初めて目にする東京そのものの地なのです。
私が18歳になった時、就職や進学で故郷を出る時、その当時はもう集団就職する姿はありませんでしたが、必ず駅には同級生が集まり、見送っていましたし、その後の10年ぐらいは、駅には新婚旅行の二人を見送り、胴上げする姿は残っていました。
故郷と上野駅が大きく変貌したのは、長野まで新幹線が開通した、冬期オリンピックの年でした。1998年。
それまでは、正月・お盆の帰省の時には、上野駅にはお土産を抱えた帰省客がホームに新聞紙を敷いて列車を待つ姿が見受けられていました。
10数年前の中国の旧正月民族大移動のような姿は30年前まで、日本にもあったのです。

カミサンは「JR上野駅公園口」を持ってお風呂へ。

30分もしないうちに出てきて、
「この本、私には難しすぎて駄目」と云います。
「どうして?」と聞くと
「私はこの本は、東北から集団就職してきた人たちのドキュメント的な本だと思ったのに」
「ストーリーが過去と現在をいったり、来たりで、苦手なの」
「ともかく、私ストーリーが単純なほうがいいのだけど、文章表現が凝っているとか、複雑でダメだわ」

と云うので、どれどれと、今度は私がこの本を持ってお風呂に入り読み始めました。

作者「柳美里」は日本生まれ育ちの韓国籍の作家で、現在福島県相馬に住んでいます。
この小説の主人公は高度経済成長期を支えた労働者の一人でやがてホームレスとなり、オリンピック誘致のために彼らの生活の場が奪われたこと、福島の復興への関心は失われつつあることなど、日本の負の現代史側面が克明に描かれており、小説の底辺には日本の天皇制への思いが流れています。
確かに、お風呂には入って、優雅に読むような種類の本でないようでした。

そうだよな・・・
私の思い出のなかの「JR上野駅公園口」といえば、懐かしい新婚時代の他に、一時期、休日にはイランから出稼ぎ労働者が溢れかえっており、異様な、危険な雰囲気が溢れた場所
そして、公園の中のブルーテント村、大震災の後の常磐線で現地に向かう、旧同僚の姿。
いまでは、故郷に向かう新幹線から眺める上野駅の新幹線ホームしか浮かばないのです。

半分ほど読み終えて、カミサンに云いました。
コロナが落ち着いたら一度、上野池之端にいつてみようか、グーグルマップで見る限り、あのアパートはまだあるようだから。と

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posted by 西沢 at 08:20| Comment(0) | TrackBack(0) | シニアライフ