• もっと見る

2019年08月15日

定年後の人生、働き方、貴方の1時間の価値、売値は幾らですか?

映像関係のクラブの月例会が開かれた日の夕刻、例年の如く「暑気払い」が商店街の居酒屋で開かれました。
この日のメンバーは、夏休み真っ盛りで家族サービスの欠席者が多く、半分の8名でした。
・最年長はまだ元会社からの依頼で働いている83才
・次は悠々自適の、元大手アドマンの80才と、元シーケンスエンジニアの80才の二人
・続いて当クラブの技術的リーダー75才の二人、地元M電機元社員75才と、元自営業の75才。
・次は年齢的には中間の71才の私。
・残すは今年4月退職した、元私学高校教師 66才と
・大手メーカーを60才前に、名目介護退職した65才の計8名です。
平均年齢はと云うと、74.5才、もう立派な老人クラブです・・・が誰もそう思っていません。

この飲み会の席で話題になり、一番盛り上がったのが、今年退職した元私学高校教師・Kさん66才と、50代末の定年前退職したSさん65才の二人の定年後の生活、毎日の過ごし方です。


Sさんは、会社の定年前の退職奨励金を受け取り、長年住んでいた社宅を離れ、中古マンションを即金で購入し、先ずは老後生活の一つの不安をクリアし、年老いた両親は二人ともに老人介護施設にお世話になっており、特別、Sさんご家族には負担は少ないようでした。
Sさんは退職直後59才、知合いの伝で電気工事会社に嘱託として就職し、日給15,000円。
仕事内容は、大きなマンションの受電設備を現在の東電個別契約から一括契約に切り替える手続き、工事の下調べと当日の安全管理・監督。特別電気工事士や電験三種の免許は持っていませんでしたが、会社はフリー、不定期に働いてくれるある程度信頼できる人材を求めていたようで、平均して月に12日間、程度働き、仕事のない日は、大好きな山登りと野菜作りで日々を過ごしているそうです。
厚生年金と企業年金と、現在の嘱託の収入合計で年間500万オーバーと恵まれた内容です。

映像クラブ先輩諸氏の意見は、早期退職して、60才と云う年齢ハードル前の年齢で、現場・現業とはいえ、監理監督の仕事で日給15,000円の仕事をゲットしたのは、ラッキー、恵まれている、70才まではこの仕事に食いついて行くべきだ。
但し、Sさんの今のお金の使い方は、甘い、浪費し過ぎだ、70才でその会社を離れた後の年金だけの家計設計をし、緩やかにダウンサイジングしていかないと、定年満期まで働いひとよりも、定年前退職者は受給年金額は低いのだから、70才以降、今と同じように、好きなカメラを
どんどん買換え、毎月登山ツァーに参加し、年に一度好きな南の島へ、カミサンを残して一人でバカンスをするような生活をしていると、いつか、老後破産になるかもしれないよ。と脅かしていました。

teigo03.jpg問題はKさんです。
地方の進学校から、東京六大学W大を卒業し、鎌倉私学高校の英語教師として、43年間働いてきました。
60才で一度定年になり、65才まで雇用延長となり、今年3月退職しました。
驚いたのは、普通一般社会では55才頃が給与のピークで60才に向けて徐々に下がっていくのに、学校の先生はの給与は60才まで上昇し、一度退職し、再雇用された時の給与は60才時のまま、65才まで継続されたようです。
Kさんの奥さんもやはり教師で、今も働いているようです。
子供たち二人は、とうに大学を卒業し、まともに社会人として働き、生活しているようです。
現在の住まいのマンションは、60才の退職時退職金で一括返済しています。
66才ですから、年金は満額、なんの憂いもなく、上等日本国民として、ゆとりある老後生活が保障されているハズなんです。

そのKさんは退職前から、定年後も働きたいと云っていました
働く理由は「お金が欲しい」からと聞いた私たちクラブの諸先輩は、Kさんに向かって、「だから日本の教師は社会常識がない」と云われるんだ、なんでお前が「お金が欲しい」なんて云うんだ。
話を聞くと、Kさんの家計は全て、奥さんが管理していて、月々の定額お小遣いはなく、必要な時に奥さんから出してもらっていたそうで退職後は、定収入のないKさんには、どうやら厳しい状況のようです。

teigo02.jpg当初彼は、新広告やネットをみると幾らでも人を募集しているから、簡単と云ってました。
退職翌月、例会で会った時に聞いてみると「六戦全敗」と云います。
何が全敗?と聞くと、アルバイト募集広告を見て、履歴書を持って面接に行ったら全て断られた。と
コンビニ・ショッピングセンターのバックヤード・自転車駐輪場・中華の皿洗い・・・

もしかして、履歴書に大学名や元職場の経歴を素直に書いたの?
そんな必要はないし、却ってそんな経歴は邪魔になるくらいなんだよ?
職歴にしたって、今後、年金や労災を引き継ぐ場合は必要だけど、単なるアルバイトなら、ウソは不味いけど、余分な事を書かないほうが無難なんだよ。と

そして暑気払いの当日、Kさんから現況を聞きました。
現在、一日昼の3.5時間、ラーメン屋さんで働いているそうです。時給は1,000円
一日3,500円、土日以外週4日月に60,000円の収入で、喜んでいました。
このKさんの話を聞いた、Sさん以外のメンバーは一斉にKさんを酒の肴にして、好きな事の云い放題です。

「お前はバカか、60才からの5年間は第2の青春と云う言葉をしらないのか?」
「家にいて何もしない時間が辛いのはわかる、外に働き出たい気持ちもわかる。」
「でも、何でラーメン屋の皿洗いなの、お前にはプライドがないの」
「青年海外協力隊に行っている長男は、オヤジのことなんて言っている」
「働きたい、外にでたい、金が欲しい・・それなら少しは社会の為、ひとの為になる仕事・ボランティアで得たら」

づっと隣の席でこの話で盛り上がっていた時、私が発言した言葉に先輩諸氏は全員賛同してくれました。
「現役時代づっと働き、税金を納め、家族を養って、60才・65才、一丁上がりとなった後の定年後の自分の時間をどうするか、金が欲しい、働きたいなら働けば良い、問題なのは対価だと思う。」
「現役時代の時間は無限と感じていたが定年後の自分の時間は有限なのだと云う自覚が必要。」
「自分に残された時間の一部を労働或いは知識・経験として相手に提供する時の評価は対価・報酬である」
「自分の1時間の価値は、高校生のバイト以下の最低賃金で良いのか?」
「この1時間は、社会や人に貢献する1時間なら、最低賃金も御の字」
「定年後の家族や自分の生活、或いは趣味の為に働く1時間なのか、暇つぶしの1時間なのか、お金の為の1時間なのか、良く考えてから働くこと」

Kさんは、この私たち先輩の意見を耳にして、「云っている意味が全く分からない」と云いました。ボケでかわそうとしているのではなく、本気でそう云っているのです。
学校の教師しかやった事のない人は、社会常識からズレている、とは本当のようです。
posted by 西沢 at 07:59| Comment(1) | TrackBack(0) | シニアライフ