天声人語の執筆は、毎日同じ人物によって書かれていると推測していますが、365日、1年を通じて欠かさずに掲載するには予め、コラム記事のストックがあると思われます。
私たち素人が、ネットでブログ記事を欠かさず更新するのと同じで、ある程度のストックを用意しているのと同じだと私は勝手に想像していますが、前日の夜の10時過ぎの記者会見の後に、これだけの大新聞のコラムを書くのですから、新聞、TVのマスコミは事前にある程度の情報を入手していたのではないのか、と想像するしています。
11月20日朝日新聞朝刊の天声人語抜粋引用
高額の報酬の多寡を問われたゴーン氏は、”グローバル企業のトップの報酬基準は、グローバル市場の基準で、報酬を支払う、必要がある。”と答えている。
「スイカ2つを片手では持ていない」。ゴーン氏の出身の中東のことわざがある。
かの地のスイカは巨大で2つを両手が運ぶのも難しい。欲を戒める言葉だ。
彼の手腕をもってすれば、法にかなうやり方で、望みのままに2倍のスイカを手に入れられただろうに。
日本企業のトップに対するする報酬の多寡については、欧米と日本では意識が違うと思う。
今回の事件?で、私たち団塊世代で思い浮かべたのは、元東芝会長で、経団連での代表でもあった「土光 敏夫」さんである。「ミスター合理化」として、東芝の立て直しに辣腕を振るった。
ひん死の状態にあつた、日産自動車を立て直したゴーン氏と似ている。日産も東芝も立て直しの折には、コストカット、工場閉鎖、リストラなど数々の試練があり、社員・家族・協力下請け会社のなかには、恨み・つらみもあっただろう。
しかし、日本資本主義のトップ経団連会長の「土光敏夫」さんに対する悪評はほとんど聞かれない。それは、ご本人の質素な生活スタイルが日本人の美意識にあるからだろう。
以下はウイキペディアより引用
穴とつぎはぎだらけの帽子。
戦前から50年以上使用しているブラシ。
妻に「汚いから捨てたらどう?」と言われた使い古しの歯磨き用コップ。
農作業用のズボンのベルト代わりに使えなくなったネクタイ。
とりわけインパクトが大きかったのは、妻と2人きりで摂る夕食の風景であった。
メニューはメザシに菜っ葉・味噌汁と軟らかく炊いた玄米。これが「メザシの土光さん」のイメージを定着させた。
経団連会長になってからも通勤には公共のバス・電車を利用していた。石川島播磨社長時代の疑獄事件で土光の捜査を担当した検事によれば、初聴取のため早朝土光宅を訪ね夫人に敏夫の所在を確認したところ、もう出社したという。こんな朝早くにといぶかしむと、「今出たところなのでバス停にいるはずです。呼んできましょうか?」とのこと。
すぐさまバス停に向かうと果たして土光はバス停でバスを待っていた。この時に検事は土光の無罪を確信したと後に述べている。
経団連会長就任後、それまで会長出張の慣例だった「前泊し2泊3日の日程」を全て日帰り出張に変更、地方側からの接待を一切断った。経団連会館のエレベーターも来客用の1基だけを稼動させ残りは停止。高齢ながらも自ら階段を利用して経費削減に努めた。
また、夜の会合を廃止する代わりに朝食会を頻繁に開いたため、朝に弱い財界首脳は困り果てたという。
コストカッターとして、あれだけ大ナタを振るっての日産再建は評価に値する。
あれだけ廻りに、コストカットを要求した裏で巨万の報酬を得て、しかも隠していたとは、日本人的な感情からすれば、知っていた法人としての日産も含め、されない。と云うのは仕方ないことでしょう。
一方、海外で多くの外国人と接してきた経験から、建前を大切にする日本人と違って、本音で生きる、中国・ラテン・アラブ人種からすれば、当然の報酬と考えるのは理解出来ます。
簡単な安易な言い方をすれば、カルロス・ゴーンは日本・日産をなめていたのでしょう。