東京五輪2020、極暑の次は連日の豪雨、そして止まらないコロナ禍、3日も4日も外出しない日が続き、少しの晴れ間を見て、二駅先の109シネマに行ってきました。
見るのは先月の「竜とそばかすの姫」の時に見た予告編「キネマの神様」です。
正直、山田洋次監督の映画は少々、食傷気味です。
同じ配役・俳優のゆるやかな、古き良き昭和の香り立つ喜劇・・・
予告編ではそんな印象でしたが、暇なので行ってきました。
映画を見終えて、帰宅すると必ずカミさんが
「どお、私でもお友達と一緒に見れる映画」と聞きます。
「竜とそばかすの姫」の時は、いいや、あなた達向きではないと思う。
と答えましたが、6s@g 今回は胸を張って云います。
「絶対に見るべき映画」
「特に、地元大船・鎌倉に住んでいるシニア層にはマストの映画」
「だって大船撮影所が舞台の映画なんだから」
「でも109シネマは一番小さなスクリーンで、しかもコロナで50%制限がかかつていて、
40名ぐらいしか席がないから、早いうちに予約しないと当日では難しい可能性があるよ、」
「今日だって、行く前にネット予約したけど、残り2席だけだった」
「お客さんはほぼ99%、シニア夫婦か女性連れだったよ」
監督 山田洋次
配役
主人公 映画監督を目指していた男ゴウ 沢田研二(元キャスティングは志村けん)
ゴウの若い頃 菅田将暉
ギャンブル依存症ゴウの妻、淑子 宮本信子
淑子の若い頃 撮影所食堂の娘 永野芽郁
ゴウ友人 テラシン 映写技師 野田洋次郎
映画館主となったテラシン 小林稔侍
主人公ゴウの娘 寺島しのぶ
松竹映画のスター女優 北川景子
あらすじ
ギャンブル&お酒好きが原因であちこちに借金をこさえ、妻・淑子をはじめ家族にも見放されたダメ親父のゴウ。
今はこんな体たらくだが、かつては映画の撮影所で助監督として働いていた。
あのころのゴウは、映画を愛し、最高の映画を監督することを夢見ていた。
親友の映写技師・テラシンとともに、時代を代表する名監督やスター俳優に囲まれながら、がむしゃらに夢を追い求め、青春を駆け抜けていた。
映画をあきらめ、淑子と一緒になったゴウは78歳、借金取りに追われる生活、娘から離婚を勧められる淑子、すでに映画づくりの世界とは無縁だと思っていた所、昔書いた脚本「キネマの神様」を読んだゴウの孫は、書き直して懸賞100万円の新人脚本賞への応募をすすめる。
果たして、借金はかえせるのか?
現在と過去が交差する、シニア世代・団塊世代の私達には懐かしく、ほろ苦く、涙なしでは見られない、昭和の純愛(+山田洋次的喜劇)映画そのもの。
映画の舞台は戦後の松竹大船撮影所、私の地元です。
松竹大船撮影所は1936年1月15日から2000年6月30日まで神奈川県鎌倉市大船にあった映画スタジオで、現代劇を担当していました。
それまでの松竹は東京都大田区の蒲田撮影所で撮影をしていたが、町工場の多い蒲田では騒音がトーキーの撮影に差し障るという理由から大船に移転しました。
この頃の映画作りの様子は映画「蒲田行進曲」に登場しています。
1982年公開 松竹蒲田撮影所を舞台にしたスターと大部屋俳優の奇妙な友情、そしてこの二人の間で揺れ動くスター女優の姿を描く、「階段落ち」の名場面が話題をよび、「うちのこれがこれで」(小指をたて、膨らんだお腹をさする)という名セリフを残した、つかこうへいの直木賞受賞作の映画化。
風間杜夫、平田満、松坂慶子主演で多くの映画賞を受賞した名作です。
戦後、映画文化の興隆と歩調を合わせるように、多くの映画人たちがその才能をここ、大船撮影所で花開かせることになりました。
「東京物語」(53年)で知られる小津安二郎監督をはじめ、木下惠介監督、大島渚監督らが作品を次々と世に送り出し、山田洋次監督・渥美清のコンビによる「男はつらいよ」シリーズも大船で撮影されました。
特に庶民の日常を丁寧に描いた小津監督の作品群は「大船調」という言葉を生み出し、現在も世界中の映画関係者に多大な影響を与え続けています。
松竹大船撮影所は時代の流れか、1995年に閉鎖され、テーマパーク「鎌倉シネマワールド」をオープンさせました。
私は当時、このテーマパークの建設に若干関わっていました。
1Fは「日本映画ゾーン」。
『男はつらいよ』のセットを実物大やミニチュアで再現。他にも時代劇の町並みや、松竹映画の資料館、歩行型および3Dサウンドシステム採用型の2種類のお化け屋敷などのアトラクションがありました。
2Fは「アメリカンシネマゾーン」。
黄金期の古き佳きハリウッドの町並みを再現していたフロアには、SFX(ブルーバック合成)をリアルタイムで体験できるアトラクション「シネマ・スタジオ」をはじめ、ライド型アトラクション「ファンタジックシネマライド」、キャラクターグッズショップなどがありました。
3Fは「フューチャーゾーン」など、当時のテーマパークブームに便乗した形ですが、3年で閉鎖され、現在は跡地にはショッピングセンター・鎌倉市芸術館・鎌倉女子大学のキャンパスとなっています。
今は昔、桜並木プロムナードだけが残る
この「キネマの神様」を見た後に、元撮影所記念公園に寄ってみました。
かつてここには、名画「寅さん」と「美空ひばり」のタイル画が飾られていましたが、6年前、劣化により撤去されていて見当たりませんでした。
タイル壁画は撤去後、寄付者の名前が書かれた芳名版とともに、東京都中央区築地にある同社倉庫に保管されています。
2つの壁画はすでに国宝の襖絵などにも使われる技術を用いて「画像化保存」された、同社は「有償にはなるが、地域のイベントなどで要望があった場合、データや印刷物として提供したい」としているようです。
昭和は少しづつ、消えていっているのです。寂しい思いです。
交差点信号機に名前だけが残る
「キネマの神様」は戦後、日本映画、特に小津監督らの作品群は「大船調」を生み出した頃の大船撮影所を描いています。
北川景子が演じる「大女優」とその取り巻き、主人公ゴウに心寄せる、撮影所近くの食堂の看板娘「淑子」。
つい数年前まで、撮影所通りと呼ばれる通りには、映画関係者で使っていた「レストラン三笠」がありました。現在は閉鎖されています。
私の自宅町内会には、寅さんの柴又のお寺の住職などを演じていた「笠智衆」さんのご自宅がありますし、写真クラブの元代表は、松竹撮影所の脚本部だったりりして、松竹映画とは結びつきの強い町で、現在でも跡地前の交差点は「松竹前」と表示されています。まるで「青天を衝け」の血洗島のよう・・・
アジの押し寿司とシュウマイ弁当も
この映画「キネマの神様」でも、主人公のゴウが友人のテラシンの下宿に見舞いにいく時、弁当を持っていくシーンがあります。
時には、「崎陽軒のシュウマイ弁当」「大船軒のアジの押し寿司」だったりします。
この地の名物弁当ですが、今やコンビニや専門弁当屋チェーンが沢山でき、地元の「崎陽軒のシュウマイ弁当」「大船軒のアジの押し寿司」はお土産用の高級品となっています。
カミサンはカーブスのお友達と一緒に見に行く予定だそうですが・・・
もしかすると、私はもう一度見に行くかも知れません。
一度見た映画を再び映画館へ出向いて見る、という経験は私はありませんが、しかし、良かった、心置きなく、暗い劇場のなかで一人泣ける。
主人公である、昔は夢をもっていたけど、今は酒とギャンブルに溺れ、家族I迷惑をかけて老後の人生を生きている78歳の、元輝いていた男は自分の受賞した脚本の映画を暗い劇場でみながら「映画を見ながら死ねたらいい」の言葉のとおり、そして脚本のとおり、スクリーンから抜け出た、大女優(北川景子が演じる)の元に崩れるように亡くなっていくのです。
これを団塊世代、古希を迎えて男性なら、涙なしで見れるものか。
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