何れも早期退職する前まで、見たことがありませんでした。
現役時代の土日、休日となればその当時担当していました、都心の大型オフィスビルのリニューアル改修工事の真っ盛り、土日・深夜の都心の大型ビルの地下深くの機械室・電気室・中央監視コンソールの前に陣取り、金曜日の夜スタート、月曜日の朝までの機器の入り変え、システムの更新、試運転試験の真っ盛りですから、世の中で話題のNHK大河ドラマとは全く無縁の生活でした。
日曜日夜8時のNHK大河ドラマをみるようになったのは、2003年からでした。
それ以前の記憶と云えば、高校生の頃の第一回(1963)の「花の生涯」と二回目(東京オリンピック1964)の「赤穂浪士」までまで、その後、実家ら離れ、日本を飛び出していたので、帰国した1975年までは全く知らず、戻ってきてからも、新しい仕事、環境、などに追われ、日曜日の夜に家庭でゆっくりと、日本の家庭の国民的な大河ドラマを見ることはありませんでした。
国民的と云えば、朝の「連続テレビ小説」に至っては、そんな朝の8時台に家庭にいるはずもなく、話題の「おしん」さえも、その後旅先のアジアで見た程度でした。
早期退職した2003年の大河ドラマは市川海老蔵の「武蔵」のようでしたが、全くこの時代には興味がなかったのと、退職後の第一の目的が海外ロングステイでしたので海外にいることが多く、なかなか、毎週、或いは毎月定期的に、日本のテレビ番組をみるチャンスもありませんでした。
実際に定期的に、日曜日の夜の大河ドラマをみるようになったのは、海外旅行を卒業した2013年あたりからです。
「八重の桜」からです。
昔は明治維新ものは、歴史的背景が難しく、薩摩・長州の立場からの歴史的史観が目立ちましたが、「八重の桜」では旧幕府側からみた明治維新が描かれており、大変興味を持って見られましたし、東北福島に愛着を感じました。
そして、今回ドラマの舞台は、武蔵ノ国「深谷」です。
今までの私達団塊世代が学んだ歴史教科書にはほとんと登場してこなかった、滅びていく側の最後の将軍と、その幕臣、それも江戸から外れた武蔵の国の農民あがりの男たちのお話です。
大河ドラマは、歴史上のエリート、指導者、武士が主人公ですが、今回の「青天を衝け」は武蔵の国の豪農の倅です。
明治維新に登場する、武蔵の国の農村の次男、三男と云えば、新選組の近藤勇も、土方歳三も江戸郊外の武蔵の国です。
ドラマのなかで、渋沢青年と土方歳三はすれ違います。
実際に二人が会ったかどうかは分かりませんが、この明治維新の社会秩序が大きく変化する時代をするには、この二人の邂逅は必要だったのです。
深谷は岡部藩二万石の中山道の宿場のひとつです。
現在のJR高崎線には深谷と岡部の二駅があり、旧城下町の岡部よりも、渋沢の出身地に近い深谷のほうが今は街の規模として大きいです。
西日本にお住まいの方や、関東でも千葉、湘南、或いは東北・北海道にお住まいの方は、この高崎線には馴染みがなく、深谷・岡部という地名を聞いてもすぐにルートを思い浮かべる方少ないかも知れませんが、信州育ちの私にとっては、憧れの関東平野の入り口、東京をイメージ起こさせる場所・地名なのです。
昔の煙を吐くSLに乗り、真っ黒な煤けた煙が入り込む碓氷峠のトンネルを超えると、関東の入り口、上州「高崎」を通過すると、遠く見えていた山々は見えなくなり一面の農地・たんぼの世界が徐々に、少しづつ建物の高さが高くなり、都会へと続いていくのです。
鉄道ファン必見の駅
この地が今回の大河ドラマの地として発表された三年前から、と新一万円札の肖像画として「渋沢栄一」が决定した頃から、頻繁に深谷という地名がマス・メディアに登場し必ず紹介されるのが、このJR深谷駅舎です。
明治維新後、幕臣から実業界に転身した渋沢栄一が携わった社会改革事業の一つが煉瓦立ての洋風建築で、現在の東京駅舎の煉瓦は、ここ、深谷に新たに建設された煉瓦工場のもので、これにちなみ1996年の駅舎改修のおりに、現在のようなミニ東京駅とよばれる姿となり、鉄道ファンなら絶対に一度は下車して撮影したい、駅舎なのです。
目指すは、渋沢の生地「血洗島」
豪農の家にうまれ、名字帯刀を許されていた渋沢は、この地で当時の最先端思想「尊王・攘夷」を、いとこの論語学者・尾高惇忠に習い、水戸学に傾倒して
行きます。時はペリー来航の時代、幕府も西日本雄藩も激動の世にま揉まれていきます。
ここらあたりは、これまでのNHK大河ドラマのなかで、多くの英傑・政治家・将軍が描かれてきたのですが、意外にも、この時代の農民階級も次第に
身分の差を学問や、富を携えて超えていったのです。
江戸郊外、八王子の農民であった、近藤勇・土方は、新選組として、会津藩に組み込まれ、水戸天狗党にはいる寸前だっただった渋沢は、当時の一橋慶喜の側用人に見いだされ、士分に取り立てられ、幕末の歴史の翻弄されて、幕臣・直参となり、幕末のフランス博覧会参加要員としてヨーロッパに亘るのです。
そのかれら、渋沢一族の原点の地がおどろおどろしい名前の「血洗島」(ちあらいじま)なのです。
この地は、今でもそのまま残っており、コンビニと国道の交差点にありました。
ここに立ち、はるか電車とバスに来た東京方面を眺めました。
自宅鎌倉から、JR深谷駅まで乗換なしで2時間10分、幕末のあの頃でしたら、強健でも3日以上はかかるのではと思います。
この、田園が広がる「血洗島」から、どんな思い・夢を持って旅立つていったのでしょうか。
私が二十歳前に横浜港から飛び立った頃をこの地で思い出していました。
渋沢の生家 「中の家」(なかんち)
大河ドラマで取り上げられる、源平・戦国時代と違って、今回の「青天を衝け」はおよそ150年前のお話ですから、資料も墓も建造物もそして、
写真も大量に残っており、驚くべきは声まで残っていました。
渋沢栄一ゆかりの建物を回るツァーバスがありましたが、私はJR駅から「渋沢記念館」までコミュニティバスで行き、生家「中の家」まで、その当時が忍ばれる「青淵公園」沿いを歩いて、行きました。
この渋沢の生家は、明治維新後に建て替えられてますが、当時の豪農のありさまが忍ばれます。
座敷のなかに、渋沢栄その一がアンドロイドロボットとして再現されており、時間帯によっては、昔録音された音声が聞こえるそうです。
碑(いしぶみ)をじっくりと読んだ
母屋の裏は土蔵が並び、青竹に囲まれた裏庭には、2つの大きな碑が立っていました。
普段、このような明治以前の碑をみても、立ち止まらず通り過ぎるだけなのですが、ここでは、原文と現代語訳と説明文が3つ展示されていました。
一つは、渋沢栄一の父親への追悼の碑で一つは、養子となった「平九郎」への追悼の碑でした。
ちょうど大河ドラマのなかに、この養子となる「平九郎」が登場するシーンを見た翌週でした。
当時の幕臣が西洋に渡航するさい、万が一の際の家督相続について決めてからの異国渡航であったようで、男子のとなかった渋沢は、従兄弟の「平九郎」を養子として、幕府に届けたのです。
しかし、この「平九郎」は渋沢が帰国(明治元年1868年11月)する前、大政奉還は終わり、鳥羽伏見の戦いに破れ、戊辰戦争がはじまる時期、養子とは云え、一度もお目通りもしていなかった主君、徳川慶喜の家来として、西から押し寄る西郷軍の前に立ちはだかる「飯能の戦い」で戦死します。帰国して、平九郎の死を知った栄一は、その思いの丈を碑文として刻み、自分の家の庭に立てたのです。
この2つの石に刻み込まれた碑文本文は漢文様式で書かれており、読めませんが、同時に現代語訳があったのと、ちょうど良いNHK大河ドラマがあり、碑(いしぶみ)の大切さをしみじみ感じた一日でした。益々、これから先の「青天を衝け」が楽しみです。
蛇足
渋沢栄一を知り、意識したのは、青森県三沢にある現「星野リゾート青森屋」の前身「古牧第1〜第4グランドホテル」に宿泊した時のことです。
大きな庭の奥に、立派な洋風建築があり、渋沢栄一の別宅を移設したものとありました。
ここは、嘗て約1660ヘクタールにおよぶ渋沢家の渋沢農場があった場所で、戦後財閥解体で政府に没収された後、渋沢農場の後始末を担ったのが渋沢栄一の書生から秘書として働いてきた杉本行雄氏(当時32歳)です。
青森とは縁もゆかりもない、杉本氏は、この地の観光開発に着手し、この三沢の地と奥入瀬観光開発を担って来ました。
その後2004年11月の経営破綻によって、一部施設は閉鎖されたが、現在は星野リゾート青森屋として、宿泊客には夜のホテル従業員によ演出の素晴らしさで人気となっています。
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