本来は「遊牧民」や「放浪者」を意味する言葉です。
私たち、団塊世代の間では、ノマドと云うとヨーロッパを放浪する民族「ジプシー」を思い起こさせる言葉です。
私たちの若い頃流行った、一つの生き方としての、一つの場所・国に定住せずに、既定観念、職業に捉われずに世界中を暮らすように旅するスタイル、「ヒッピー」とも呼ばれていたあの頃を思い起こしますが、最近の若者の間使われている
「ノマドワーカー」とはかなり違います。
ノマドワーカーとは、ノートパソコン、スマートフォン、タブレット端末などを使い、Wi-Fi環境のある喫茶店など、通常のオフィス以外のさまざまな場所で仕事をする人を指す日本語の表現のようで、世界で通用するかどうか分かりません。
2020年・第77回ベネチア国際映画祭で最高賞にあたる金獅子賞を受賞し、第45回トロント国際映画祭でも最高賞の観客賞を受賞した注目の映画ノマドランド

この映画と、今の日本のコロナ社会で使われている一種のIT用語「ノマドワーカー」とは全く違います。
実際に封切りされた週の日曜日午前の109シネマのシアター4の167席は30%程度の入りで、観客の多くは50歳前後の映画好きと見受けられました。
アメリカ西部の路上に暮らす車上生活者たちの生き様を、大自然の映像美とともに描いたロードムービーという面もありますが、大国アメリカが抱えている国民医療保険のない低所得ワーカー、ラストべルトの失業者、低年金の高齢者、IT社会長者たちとの格差浮き彫りにする、社会派映画です。
この映画の原作タイトルは「ノマド・漂流する高齢労働者たち」です。
ストーリーとしては
ネバダ州の鉱山会社で働いていた主人公60代の女性ファーンは、夫をがん失くす、そして会社はリーマンショックによる企業倒産、砂漠の中の企業城下町はあっという間に廃墟とかし、郵便番号までなくなり、元の砂漠となっていき、長年住み慣れた家を失ってしまう。
キャンピングカー(映画の英語版ではVanと呼んでいる、日本のような本格的な生活、旅する設備ではなく、大型のライトバンを自分で改造して寝るだけにしたもの)に全てを詰め込んだ彼女は、“現代のノマド(遊牧民)”として、過酷な季節労働の現場を渡り歩きながら車上生活を送ることになる。と呼ばれる
映画の最初の場面は「アマゾン」の巨大な配送センターです。
時はクリスマスが近づいている季節、多くの季節労働者や「ノマド」と呼ばれる、家を持たずにアメリカ全土を仕事と自然、そして自分の時間を求めてVANで移動する高齢者姿をカメラは映し出していく。
先ず、主人公の言葉で印象つけられるシーンがある。
ネバダの企業城下町で代理教員をしていた頃の生徒と偶然に会うシーン
元生徒の女の子は尋ねる「先生、ホームレスになったのですか?」と
彼女は答える「いいえ、ハウスレスになっただけよ」。
彼女は毎日を懸命に乗り越えながら、行く先々で出会うノマドたちと心の交流を重ね、誇りを持って自由を生きる彼女の旅は続いていく。
この映画にはアクションはありません、派手なロマンスもなく、ひたすら主人公の女性の生き方にのめり込むだけです。
ネダバレ
主人公の女性を演じた女優フランシス・マクドーマンドと男優の一人以外の出演者はすべて素人のノマドの生活をしている人々なのです。
つまり演技素人の一般人。
そんな彼・彼女らに、ジャオ監督は“自身のリアルな胸中”をそのまましゃべらせ、物語と調和させる手法を採用した。
これによりフィクションとドキュメンタリーの境界を融解させ、映画という芸術の新たな側面を発掘したと言えるのです。
素人を起用した作品は数多くあるが、そのほとんどが「よくやってる」レベルの演技にとどまっている。
しかし本作は、ほぼ全員が「名演」レベルの演技を見せているから驚かされる。
日本でのマスコミ試写において、エンドロールで「実際のノマドが出演者」と明らかになった時、その事実を知らなかった場内ではどよめきが起こったほどだ。
リアルなノマドたちによる「名演」には、名だたる俳優たちの芝居とはまた違った説得力がある。
もちろん、マクドーマンドらがノマドのなかに違和感なく馴染んでいる姿にも圧倒されるが、それらの素晴らしい”役者”たちが、ひとつの世界で同じノマドとして息づいている

確かに、今まで毎日同じ時間に起き、通勤電車に乗って都心オフィスで働き、用もたいしてないのに残業し、帰宅するのは9時過ぎという生活から、自分の行き先、時間、観光する場所、宿泊地、全て自分自身で決められる快適さ、自由にあこがれて旅立ったご夫婦は沢山見聞きしました。
しかし、長くても3年でした。ほとんどのご夫婦は多くても3回以内で、VANによる旅を止めています。
これが設備の整った大型の「キャンピングカー」ならもう少し違ったかも知れませんが、手狭なVANによる旅プラス生活は、ロマンを好む男性には少しは耐えられますが生活となる女性主婦には、長時間の旅は苦痛になるのです。
日本は、アメリカに比べて停車して安全に宿泊出来る駐車場は多いと思われがちですが、現実に夫婦ふたりで道の駅や、高速サービスエリアで一泊するにしても許されているにしても、外の音、明かりなどで安眠とはほど遠く、仮眠でしかなく、2日に一度はちゃんとしたホテルに泊まりたいし、3日に一度は温泉・食事付きの旅館に泊まりたくなるのは、定年を迎えた50代~60代のご夫婦でしたら、全く当たり前ことなのです。
今年は私は73歳、カミサンはついに70歳になりました。
55歳、52歳で退職して、アジア・南米の旅にでていた頃と体力面・考え方でも大幅に違ってきています。
できれば、優雅な、楽な、疲れない、ゆったりとした、満足の行く旅のスタイルがしたい・・・
でも、相変わらず貧乏性は当分治らないでしょう。
何時もカミサンに云います。
「年に一度や二度の旅行なら我が家だってもう少し、豪華になるだろうけど、一年に10回行くとなるとね、お金が続かないよ」
最後に、この映画のなかで働く高齢者にお金があったら何処で老後を過ごしたいと、質問する場面がありました。ほぼ全員の答えは。
「ハワイ」でした。
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