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2021年02月20日

垣谷美雨の小説「四十歳 未婚出産」

カミサン世代に圧倒的な人気のある作家垣谷美雨の文庫本が幻冬舎から発売されたのを知ってカミサンは、大船地区でただ一軒頑張っている大型書店へ行って買ってきました。
「これでお風呂の中が楽しみになったわ」と喜んでいました。
内容はだいたい書評でも知っており、高齢者と云われるカミサン世代には全く関係のない話なのですが、とかく世の中、ジェンダーレスの時代、こういった女性特有の出産に関わる話は、元産科看護師と働いていたカミサンには妊娠から出産に至る、未婚女性の話は興味があったようで、文庫化を待ちわびていました。

ストーリーは
未婚の母になったりしたら苦労するに決まってる。
でも、子供を産む、最初で最後のチャンスだ。
だったら……。
四十歳を目の前にして思わぬ妊娠に揺れる、旅行代理店で課長代理として働く優子。
お腹の子の父親は28歳のイケメン部下・水野で、恋愛関係にあるわけでないし、本人にはどうしても言えない。
偏見のある田舎の母親やパワハラ上司、不妊治療に悩む同期にも、言えない。
しかし、どこからか優子の妊娠の噂を聞きつけた水野とその彼女があれこれまとわりついて嗅ぎ回る。
女は出産したら一人前には働けないというパワハラ上司からも意地悪をされ、四面楚歌。
産むのか、産まないのか、言うのか、言わないのか。シングルマザーで仕事はどうするのか……。
結論が出せずに悩む優子だったが、田舎の同級生やかつて不倫していた上司、兄のブラジル人妻、仕事と子育てを両立する同僚など、少しずつ味方が現れて、揺れながらも、気持ちは固まっていく。
痛快で優しい、全ての女性への応援小説

垣谷美雨の小説は、とてもテンポ、展開よい、変に表現にこだわらず、抽象的、心理的な内面をえぐり出すような言葉を主人公の口からは出ずに、周りの人物から伝わってくる。
そして、平成・令和の世の中らしい描写力。
垣谷美雨の小説には、生まれ育った田舎の町が登場する。
※現在婦人公論に連載されている「もう別れてもいいですか」は山陰地方の田舎町をでたことのない主婦の話、まだ完結していない。
この小説の「四十歳 未婚出産」なかで彼女の描写力に感嘆しました。

自分の生まれだった町の描写は

昨日、実家の最寄り駅に降り立った時、よそよそしさを感じたのだった
ーー私には帰る場所がない。・・・
そう寂しい思って寂しい気分になったほどだ。
最近ではファストフードをもじってファスト田舎と呼ぶらしい。
駅前にはヤマダ電機やユニクロがあり、ミスタードーナツとマクドナルドがある。
その隣にはAUショップで、一軒おいてドットールがあり、そのまた隣にはTUITAYA大型店だ
いったいここは何処だろうと思う。
実家の近くに帰っても、どの家も世代交代が進み、見知らぬ土地から見知らぬ女性が嫁いで来て、主婦として切り盛りしている。
これだけ変わってしまうと、懐かしさ見つけることは難しい。


この一節を読んで、私は実家に戻る度に感じたことをものの見事に表現していると感心しました。
私の場合、実家の町はオリンピックで様変わりし、子供頃、通学していた頃の面影は全く残っていませんし、生まれ育った町の中心は新幹線駅前と移り、寂れ、現在の実家のある場所は郊外の開発された住宅街ですから、知り合いと云うものは全くいません。

ストーリーはテンポよく進んでいきます。
テーマは、都会に住む未婚のキャリァウーマンの出産と子育て、育児、教育、そして日本の戸籍にかかわるお話です。
少子高齢化、女性活躍時代とは名ばかりで、実際に未婚でシングルマザーとして生きていくには、現在の日本は表向きは、男女平等、同等待遇、同一賃金といってますが、この小説でも、生むまでにはくぐりぬけなくてはならないマタハラ・セクハラ・パワハラが待ち構えているのです。

先ずは戸籍問題です。
世界に戸籍制度が残っているのは、中国と日本だけ?

生まれたら出生届を出して親の戸籍に入り、結婚したら”入籍”をして、自分が死ぬまで必ずどこかの戸籍に入っている。
日本人であれば誰もが当たり前のこととしてやっていること。
日本人にとって戸籍とはそういう存在です。
それが外国人の場合、どのような存在になっているのでしょうか
戸籍とは「人の出生から死亡に至るまでの親族関係を登録公証するもの」です。
親子二代までが一つの戸籍に入り、結婚や亡くなることによって戸籍から除籍されます。
時代を遡って戸籍を辿ってゆけば、先祖の世界がどんどん広がってゆき、自分のルーツというものが明らかになるでしょう。
親族関係はもとより、日本国籍をも公証するたった一つの制度である戸籍。
調べると、どうやら日本のような戸籍制度があるのは、日本と中国だけのようです。
台湾・韓国にもありましたが、現在では身分登録と住民登録の機能を併せて持っていて、国が一元的に管理しています。


この小説のなかでは、主人公がなやんでいたのがこの戸籍問題と、シングルマザーとしての経済的な問題、働き方でした。
働き方、経済的な問題は、当初かなり危ぶまれたのですが、主人公の働く中規模旅行企画会社の次期社長との昔の関係から好転していきます。
が、現実社会では地方から東京に出てきた女性が、一人で子供を産み、育てていく困難さを、この小説のなかでは書かれています。

問題の戸籍問題は・・・
読んでいてそれほど拘る問題ではないのでは・・・と私は思ったのですが。
主人公の女性の住む田舎の親族類の思惑よりも、将来大きく成長した子供の人生に思いやると、父親の記載ない戸籍はどんなに子供の将来の進路に、はては結婚にまで影響するかを考えてしまうのでした。

結果は、ほぼ3/4ほど読み進めていて、「こうなるんじゃないのかな」と思ったとおりの結末でした。私たちの世代の中学の同級会でも、この小説のなかで語られていた話題、テーマを何度も話題になったことがあったのです。
中年になって、まだ独身の元生徒会長の会社社長と、同じく独身、長年大企業に勤めてきた女医性・・・一緒になったらと何度も声をかけたのですが!
いつも返事は一緒、「そういう問題ではない」でした。

次は、婦人公論連載中の「もう別れてもいいですか」の結末が楽しみです。

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posted by 西沢 at 07:00| Comment(0) | TrackBack(0) | シニアライフ
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