
原作は第54回文藝賞、第158回芥川賞受賞の同名の小説「おらおらでひとりいぐも」
著者は若竹千佐子さん、 1954年岩手県遠野市生まれ。岩手大学卒業。
55歳で小説講座に通いはじめ、8年の時をかけて本作を執筆。
2017年、本作で第54回文藝賞を史上最年長の63歳で受賞しデビュー。翌年、第158回芥川賞受賞した作品の映画化です。
74歳、ひとり暮らしの桃子さん。
おらの今は、こわいものなし――新たな「老い」を生きるための感動作。
青春小説の対極、「玄冬小説」と云う言葉が作られたほどの、シニア女性に影響力・支持を集めた小説の映画化です。
※玄冬小説とは……歳をとるのも悪くない、と思えるような小説のこと。
映画館は、何時もの東海道線で二駅先の辻堂駅前のショッピングモール内にある「109シネマ湘南」です。
前評判上々ということで前の日に、ネットで席を確保しました。
平日の9:25開演ということで、空いているかと思いましたら、意外と混んでいます。
10スクリーンある109シネマ湘南のなかで、小さいほうから2番目の95席のシアター9です。
私が行った先々月は、いままでコロナ禍で50%の座席しか売ってなかったのが、現在では全席売っており、見回したところ、開演の9:25にはほぼ90%の入りでした。
予測していたとおり、客の8割以上は私と同じ世代と思える女性たちです。
映画は意外なオープニング映像から始まります。
地球誕生からの進化「カンブリア紀」「白亜紀」から恐竜の滅亡、マンモスの登場、そして人類の祖先の誕生から現代にいたる進化の過程・・・
映画は、平成から令和に生きる、桃子さん(田中裕子)の一人暮らしの日常からはじまるのですが、画面の展開は、昔の若い頃(蒼井優)の思い出に飛んだり、少しボケが進んでするいるのではないかと不安と思う、自分自身が頭のなかで作り出した「幻想」のなかの人物(濱田岳などの3人)と入り乱れます。
最初はこの映像の展開に戸惑うのですが、少しづづストーリーを追うごとに、今まで見た映像を理解すると展開です。
ストーリーは
主人公の女性桃子さんは、東北生まれ、東北育ち。
1964年、高校生時代オリンピックを見て、自由にいきること、イコール東京の大都会に憧れます。卒業後、親の決めた相手と見合い、結納までいきますが、自由に行きたいと親の元を逃げ出し、一人夜行列車に乗って東京に向かいます。
東京の住み込み可の定食屋で働きます。
東北弁訛りに苦労する姿。ここの常連客の同じ東北出身の青年と出会い、結婚し、埼玉県所沢周辺に住み、子供二人を育てあげますが、数年前に夫に先立たれます。
その桃子さんの日常がこの映画のメインストーリーなのです。
ストーリーは、現実・過去・妄想の世界と交差しながら進みますが、劇的な展開、事故、事件はありません。淡々と、私が現在経験、見聞きしている、団塊世代女性の日常のちょっとした出来事を映し出しているだけです。
親元を離れて地方で暮らす長男は結婚せず、音沙汰もなし、自宅近くで結婚した長女は子供の教育の為と借金の無心にくる、オレオレ詐欺の電話。
桃子の唯一の趣味は、図書館で地球誕生以来の出来事をイラストにすること。
映画を見ていると、どこかで大きな出来事で盛り上がるのか、或いはどういう展開でエンディングを迎えるのかと、多少、映像に関わって自主映画作り志しているビデオクラブにいる私はおもうのですが、本当に淡々と進み、そして終わります。
では、盛り上がりのないつまらない映画かというとそうではなく、私は時々、目頭が熱くなり、我が家のカミサンのことを考えてみていました。
最終エンド近くで心に残ったシーンがありました。
桃子の幻想のなかで、亡くなった夫と出会います。
「貴方が亡くなって、辛いと思った、その反面、これで本当に、自由に生きられるとも思った」
「私たちが一番輝いていた時は何時だったんでしょうね」と問いていましたが、夫の幻想は何も答えませんでした。
映画館を出るとそこは、湘南の青い空、行きかう人々は若く、溌剌と動いています。
しみじみと「今の自分たち夫婦・・一番輝いていたのは何時なんだろう」と行きかう人を見ながら考えていました。
「ホテルローヤル」
同じ週の週末、再び109シネマ湘南へ映画を見に行きました。
作家 桜木紫乃 1965年北海道生まれ。2002年「雪虫」で第82回オール讀物新人賞を受賞
「ホテルローヤル」は第149回直木賞受賞作の映画化です。
同じ週に109シネマ湘南に見に行こうと思った理由は2つ
1つは、この映画の舞台はここ数年、毎年訪れている北海道の釧路であること。
2つ目は、主演が私のお気に入りの女優「波留」であること。
清純派路線の彼女がラブホテルを舞台とした映画、どんな姿、一面を見せてくれるかが楽しみでした。朝9時開演とあって時間的にはまだ早いせいか、85席のスクリーンに座っていたのは14人だけでした。観客を見まわたすと、やはりと云うか、映画好きと思われる中高年の一人参加が目立ちました。

北海道の釧路湿原を臨む場所にあるラブホテル「ホテルローヤル」
経営者のひとり娘である雅代(波瑠)は大学受験に落ち、渋々ホテル経営を手伝うことになります。
ホテルにやってくる客は様々で、投稿ヌード写真の撮影にやってきたカップルや、礼服姿の中年夫婦、教師と高校生のふたり組など。
雅代は通気口から漏れ聞こえる客室内の会話に耳をすませながら、単調な日々を過ごしていました。
ある日ホテルの一室で起きた事件をきっかけに、世間の注目の的となってしまったホテルローヤル。
さらに雅代の父が倒れ、窮地に追い込まれていきます。
そこで、ホテルとともに生きてきた雅代はある決断をするのです。
映画の内容は、予想していたとおりの展開です。
特に、大事件・大転換・展開がある訳でもなく、たんたんとこの釧路郊外、釧路湿原が見渡せるラブホテルを利用するカップルの愛・憎と働く従業員、そして主人公雅代(波瑠)の生き様を描いていきます。
今年、波留主演の映画は3本目です、春に見た「やよい3月」夏のNHKドラマ「路(ルウ)〜台湾エクスプレス〜」、そして今回の「ホテルローヤル」
いずれも彼女の恋はハッピエンド、めでたしで終わりませんでした。
女優「波留」の外観・印象、私の勝手な思い入れからすれば、これでいいんです。
この映画は全編、札幌と釧路でロケが行われそうです。
●釧路港(釧路市浜町)
●和商市場(釧路市黒金町)
●釧路市内の商店街(釧路市末広町)
●幣舞橋(釧路市北大通)
釧路はこれまでに高校時代から三回街歩きをした場所で、先々月にも訪れており、自分の知っている、歩いたことがある場所が大型のスクリーンに映し出され、お気に入りの女優さんが登場するのを見るのは、楽しく、懐かしいものです。
アニメファンが、原作を片手にロケ地をまわる、聖地巡礼をする気持ちは良く解ります。
先々月の旅で釧路はもういいや、と思っていましたが、「ホテルローヤル」の聖地巡りでもう一度行ってもいいかなとも思うようになりました。
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タグ:109シネマ湘南 玄冬小説とは おらおらでひとりいぐも 若竹千佐子 第158回芥川賞受賞 第54回文藝賞受賞 田中裕子主演 蒼井優 助演 ホテルローヤル 桜木紫乃 第149回直木賞受賞 波留主演 釧路ロケ 聖地巡礼
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