私たち団塊世代はほぼ、親の代からの相続を終えており、これからは、配偶者・子・孫・兄弟への相続が発生する時期に差し掛かってきています。
実に40年ぶりの改正の背景には、社会情勢や家族あり方の大きな変化があるのでしょう。
戦後ベビーブーマー世代の高齢化が進み、老々相続が負担になったり、子供のない夫婦の増加、兄弟間の疎遠、離婚・再婚が増え、家族関係が今までより多様化していています。
カミサンの愛読書「婦人公論」から参照、要約は
今回の改正で大きく変わり、私たちに関係するポイントは7つあります。
1,配偶者がそのまま自宅に住める「配偶者居住権」
2,配偶者への「住宅贈与の優遇」
3,姑を介護した嫁も財産がもらえる「特別寄与料制度」
4,故人の預貯金を引き出せる「預貯金払戻し制度」
5、共有財産分割ではなく、お金で請求できる「遺留分の見直し」
6,遺言状の一部をパソコンで作れる「自筆証書遺言の方式緩和」
7,遺言を安価で保管できる「自筆証書遺言の保管制度」
1,配偶者がそのまま自宅に住める「配偶者居住権」のケース
亡くなった夫の遺産は、自宅(評価2,000万)、預貯金1,000万の合計3,000万円
再婚で二人には間には子供がなく、先妻との間に一人、同居はしていない。
妻と子供で財産を相続すると、妻1/2、子供1/2となり、各々1,500万となり、妻が自宅を相続すると、預金はゼロ、どころかさらに子供に500万を払わなくてはなりません。
配偶者の生活に配慮されたのが「配偶者移住権」です。
自宅の相続権を移住権のない「相続権」と「配偶者居住権」に分割し、妻は「配偶者居住権」のみを相続します。
このケースでは、子供は預貯金の1/2の500万と、自宅の相続権を相続します。
この場合、子供はこの家を売却したいと思っても、妻の承諾がない限り、売却も貸し出すことも出来ずできず、亡くなるまで住むことが出来ます。
2,配偶者への「住宅贈与の優遇」
これまでは、夫婦間で自宅を生前贈与すると、財産を先に受け取ったとみなされ、遺産分割のさい、贈与された自宅も分割される財産の対象とされていましたが、婚姻期間が20年以上の夫婦であれば、配偶者に生前贈与された住宅は、相続のさい除外されることになりました。
ただ夫婦間の贈与でも妻が不動産を取得した時には不動産所得税や名義変更登記税がかかります。
そこで夫婦間の相続では、「配偶者の税額軽減」と云う特例、1憶6,000万までは相続税はかかりません。ので敢て、一般的な家庭では「夫婦間の生前贈与」は、得策とは言えないと云われています。
3,姑を介護した嫁も財産がもらえる「特別寄与料制度」
法的には、相続の対象は血のつながって人のみとされています。
特に、義母よりも夫が先に亡くなっていた場合、介護をしてこなかった夫の兄弟に相続権があっても、義母を長年介護してきた、夫の配偶者である嫁には権利はありません。
こうした不公平感を解消する為に、「特別寄与料制度」が設けられました。
これにより介護に貢献してきた妻は、相続人である夫の兄弟に対して、金銭的要求ができるようになりました。
請求できる金額に規定はないので、話し合いで決めることになり、こじれた場合は家庭裁判所での調停となります。
夫が生きている場合は、これらの権利で、夫の相続分を上乗せ請求する形になります。
4,故人の預貯金を引き出せる「預貯金払戻し制度」
これまでは、金融機関が預貯金の名義人の死亡を知った時点で口座を封鎖し、遺産分割が終わるか、相続人全員の同意がないと引き出しが出来ませんでした。
今回の改正では、方法は2つ
A、金融機関に直接出向いて依頼する方法
引き出せる額は「残高×1/3×依頼相続人の法定相続割合」となります。
例えば相談者が亡くなった子供のいない夫の配偶者と義姉はの場合で預貯金残高が1,000万円のケースでは「1,000万×1/3×3/4」となり、2,470,5000円となりますが、一つの金融機関から引き出せる上限は150万円と決まっています。
B,家庭裁判所に申し立てる方法
上限は法定相続分になり、750万引き出せますが、申し立て手続きば煩雑なうえ、時間も手間もかかります。
5、共有財産分割ではなく、お金で請求できる「遺留分の見直し」
会社経営していた父が亡くなり、遺言状には、「事業を引き継ぐ弟に全ての財産、自宅兼会社を相続させる」とあり、異論はないものの、他に遺したものがなく少し、不公平に感じると、云う相談者にたいして回答は
遺言状に「全ての財産」と書かれていても、遺留分は請求出来ます。
子供二人の場合、法定相続分は1/2づつですが、遺言状が優先されつつも、この相談者には「1/2の半分の遺留分」があります。
土地とか、会社を分割できないので、弟さんが引き継いだ分から1/4分は何らかの方法で受け取ることが出来ます。その時期、方法、手段はお互いに話し合うか、こじれた場合は、先ずは家裁による調停となります。
6,遺言状の一部をパソコンで作れる「自筆証書遺言の方式緩和」
子供たちの誰に、何を、金額、割合を相続させるかを自分の意思、考えを法定相続分を超えて相続させるには、遺言状は必須です。
これまで、自筆証書遺言は手書きが原則でした。
しかし、不動産の情報、預貯金の銀行口座名、番号、支店名や、不動産の登記簿を正確に手書きする作業は大変でした。
そこで、今回の改正で、登記簿や銀行口座情報などはパソコンで作成しても良いことになりました。
また、全部事項証書や表紙はコピーなどでも認められることとなりました。
しかし、その他相続割合や相続人にかんしては、従来通りの自筆、日付入り、登録印鑑の押印は必要です。
7,遺言を安価で保管できる「自筆証書遺言の保管制度」
自筆証書遺言を自宅や貸金庫に保管しても、死後、見つからないことも多々あり、開封には相続人が家庭裁判所での「検認」を受ける必要がありました。今回の改正で「法務局」に預けることが可能になりました。
保管申請料は3,900円です。
ただ、自筆遺言書は、記載方法のちょっとしたミスで法的効力を失うこともありますので、確実性を求めるなら費用がかかりますが、公正遺言書の作成を推奨されています。費用は財産の額に応じて数万~から発生します。
我が家の遺産相続は
私の場合、
父は享年71歳、私が38歳の時、母は86歳、私が59歳の時に亡くなりました。
私の育った家庭はもともと貧しい家庭でしたから、鼻から遺産相続があること自体を考えたこともありませんでした。
両親と一緒に暮らしていた兄夫婦に感謝し、葬式費用の一部やこれからづっと長く続く、お寺さんや親せきとのお付き合いを考えると、全て、兄が相続するのに、何ら疑問も不満もありませんでした。
それでも、兄から父の遺産ほんの一部だが、家のローンの一部として、当時の私のボーナス一回分の半額程度をもらった記憶があります。
母の時は、それこそ、父が亡くなって21年間、国民年金だけが収入だった母ですから、遺産と云われるようなまとまったものは、なかったハズで、全てお葬式とお寺さんの費用として消えていったハズです。
妻の場合は
父親は72歳、妻が43歳の時に亡くなり、母親は92歳、妻が67歳の時に亡くなりました。
地方の小さな町の工場に勤めていた父親で、地元の母親のもとに婿養子として入ったような環境ですから、そんな遺産と呼ぶようなものは、ないと思っていましたが、先の大戦で激戦地域に長い間兵役を務めていたからでしょう、かなりの軍人恩給を貰っていたと推測されましたが、金額など知りませんでした。
妻の実家の遺産相続には、夫である私は一切関わり合いは持たず、全て、実家を継いだ義理妹夫婦にお任せしました。
聞くところによると、当時のカミサンのボーナス一回分ほどいただいたそうです。
後から聞いた話では、実家を継いだ妹は、カミサンの10倍ほどの金額を遺産として受け取っていたようです。
それでも、これから長い間、寡婦となった母親と暮らしていくのですから、何ら不満も在りませんし、時代はバブル期、人並み以上収入があった
私たち夫婦ですから、特に問題はありませんでした。
母親が亡くなった時も、そう思っていました。
父親が亡くなって、数10年、年老いていく母親の介護もあったので、遺産相続は、これまでの経験から何ら問題なく済むと思っていましたが、
母親が亡くなってから義理妹から、遺産相続手続きの書類が届いてから、びつくりしました。
92歳の母の遺産相続金額が思っていたよりも多かったのです。
三姉妹での1/3づづとすると、数百万半ばになります。この時も私は全く関わりを持たずに、カミサンにはアドバイスさえしませんでした。
妻が受け取った書類には、法定相続人が三姉妹ではなく、4人になっており、実家を継いだ妹の夫も法定相続人となっていたのです。
婿養子とは、この書類が届くまで知らなかったようです。
いいじゃないか、仕方ないじゃないか、特別、我が家はお金で困っているわけでもないのだし、田舎でこれからお寺や親戚とのお付き合いもありお金がかかるのだから、と伝えましたが、何か引っかり、納得出来ないものがあったようです。
これ以降、カミサンと妹との間ではギクシャクしたものが残ったようで、母親の葬式後お付き合いはないように見受けられます。
確かに、遺産相続トラブルというものは、大金持ちの間で発生する訳ではない、ということを学びました。
私たちのこれからの場合
子供のいない夫婦の場合は、妻に3/4にが原則で、次に両親が健在の場合、第二相続人は亡くなった人の両親へ1/4で、第三は、亡くなった人の兄弟、兄弟が死亡したいた場合は、兄弟の子供へと相続権は移っていきます。
これは、昔から知っていて、危惧していました。
私たち、夫婦が共同で築き上げた財産をなんで、夫の兄弟へ、或いは甥っ子、姪っ子へ・・・?
でも、そうなんです。
それを回避、遺された妻に最大限残す手段は2つ
1,夫婦の財産は常に、夫婦二人、各々の名義にして分散させる。
私たちの場合、家の購入・登記時から名義は50%づづにしています。
預貯金口座も常に、二人の名義で50・50或いは、どうせ私が先に逝くハズですから、カミサンの口座に多く残しています。
仮に法定通りの3/4にしても、私名義の財産は全財産の1/2ですから、その1/4ですから僅かなものしかないはずです。
2,1年に一度、自筆遺言状を書き直しています。
全財産は、配偶者へと書いています。
これで片付くはずですが、私の兄弟、甥っ子は遺留分は私の全財産の1/8とごく僅からものになるでしょう。
それでも、カミサンは納得していないでしょうが・・・
私のサイトに訪れてくる、同じ団塊世代の仲間・友人は書いています。
残された年数は、後6年、そう遠い将来の話ではなく、あっという間にやってくるごく近い将来に備えて置かねばならない問題なのです。
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