
日本人退職シニアの定年後の生き方として、第一次海外ロングステイブームはプラザ合意の後、政府指導のシルバーコロンビア計画があり、ゆとりのある世代の南スペイン移住がもてはやされました。しかし、スペインのユーロ参加による物価上昇と、日本人が西欧・ラテン社会で生きて行く難しさで自然消滅しました。
その後起きたのは、第二次海外ロングステイブームです。
団塊世代の定年を迎えた2008頃から、これまでの白人国、オーストラリア、カナダのリゾートではなく、夫婦ともに国民年金の範囲で暮らせると云う幻想のなかで、アジアの国々が注目を集め、タイのチェンマイが人気を集めていました。
何故、チェンマイがロングステイの人気地として持てはやされているのか?
長年の疑問でした。
現役時代に何度か、北部タイ【いわゆるゴールデントライアングル】を短期旅行者として訪れた経験があり、退職後にもソンクラーン・水掛祭りを楽しむためのチェンマイの10日のミドルステイでその謎の理由の一部が氷解 しました。フーン、そういう事なのね。
チェンマイはタイの北のバラと呼ばれている古都です。
城壁と堀に囲まれた旧市街の中及び周辺には、由緒ある寺院・古刹が数多くあり、新 市街は現在も発展を続け、タイ第二の都市として、北部タイの中核をなしています。
ラオス・ミャンマーの国境も近く、少数民族の村々を訪れ観光客や、気軽な秘境気 分を味合う日本人団体客で一年中賑わっています。
この街の名前が、最近TV・マスコミの間で頻繁に登場するようになったのは、ここ10年の事です。気軽に安く簡単にロングステイが出来ると云う情報が駆け巡りました。 TVでは、プール付き・家具付きの一軒家の賃貸値段の安さを強調し、週に4回のゴルフ 三昧と誇らしげで語る中年オヤジが登場し、キャベツ一個20円よ、と目を輝がやす主婦 がインタビューに答えています。
確かに、日本よりは安いのは解ります、がアジアでは普通の事、過去何度もこの街にき ているカミサンも私もこの街がどうして、そんなに日本人に人気なのか、理解に苦しみ ました。
解りました。日本人に人気なのではなく日本人中年男性に大人気なのです。
実際、町のレストランでも、日本人が多く集まると云う喫茶店でも、中年の男性が一人で食事をしたり、日本語新聞を 読んでいる寂しいそうな姿を多くみかけました。
そのうちの一人の方からお話をお聞きしました。
もともとは、ご夫婦でいらっしゃったのですが、奥様は、最初は外国に住む事への憧れや、異邦人として何の束縛のない 生活を夢見て来たのですが、古くからの友人もいない、趣味のサークルもない、 TVを見ても解らない、毎日同じ、限られた食材でなかの食事造りの連続、しゃれた買物も出来ない、この地に暮らす同じロングステイする ご婦人達との、古い村社会の付き合いに嫌気がさして、ご主人一人残して、三ヶ月で日本へ帰って行ったそうです。
一方のご主人は、日本へ帰っても待ち構えているのは、リタイヤ後の自宅地域コミュニティ・毎日嫌でも飛び込んで来る 情報過多の社会・何もしない事への罪悪感に怯え、逃避しているのです。此処にいれば、同じ環境におかれている、日本人中年男性同士の仲間意識(昔の会社の同僚意識)で、安いゴルフとマージャン に明け暮れる生活ができ、しばらくの間かも知れませんが、男の楽園での単身赴任生活が満喫できるのです。
以後数回に分けて続く
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