子供のいない夫婦二人の生活で、カミサンが買ってくる本の傾向は、これから私たち夫婦が直面するであろう、超高齢化・少子化の日本の社会に関する内容の本が多いです。
貧困・高齢化・車上生活する人・孤独死、今の自分たちには縁がないかもしれませんが、常に手が届く隣にはこのような社会問題があり、いつ、何時、私たちもこのような問題を抱えるかも知れない、恐怖があるのです。
この本は2019年発行4月発行「東京貧困女子」に次ぐ第2弾です。
「東京貧困女子」に登場するのは、相対的貧困の指標である可処分所得が年間120万程度を下回る、東京や東京近郊で暮らす、一般都民・市民です。すでに「単身女性の3人に一人」「子供の7人に一人」が貧困状態にあると報じられてなかで、誰にでもすぐ隣にいる貧困女性を取材したノンフィクションでした。
東京では、非正規雇用で一人暮らしをしていると、手取りが15万円程度。
家賃6万円をはらえば、もう可処分所得は貧困ラインに乗ってきます。
その苦しさから逃れる為、長時間労働、ダブルワークをしたり、夜の風俗世界に踏み入れることになり、負の連鎖として「子供のネグレクト」へと発展することは、最近の新聞紙上でよく見かけることです。
本書抜粋紹介
私たちの世代では、「若い頃の苦労は買ってでもすべき」みたいな云われた時代がありました。
貧しい経験ををして、苦労を知り、成長して這い上がって行く・・・ロマンは現在では通用しません。現在の貧困は固定化された階層であり、一度組み込まれると抜け出すことが出来ません。
「一億総中流社会」から「格差社会」へ、そして現代は「階層社会」となっています。
富裕層や上流層は、上層だけのコミュニティを持ち、中流は中流だけ、貧困層や下層も同じで、一度下層に落ちれば下層たけの人間関係、生活環境になり、這い上がる為の有益な情報が入ってこない。
貧困層に落ちてしまった者は、ただただ苦しいままの日々を乗り切るだけの日々が続き、その親元で育った子供たちにも貧困が遺伝していまう。
貧困の連鎖、遺伝は、昭和の時代からあったこと、しかし現代の貧困の恐ろしさは、就職活動の失敗、配偶者の暴力、離婚、長時間労働、健康状態を崩したなど、誰にでもある些細なつまづきで、どんどん階層が転落してしまう。
下には簡単に落ちるが、上に戻るのは極めて困難と云う、国民の転落システムが出来上がってしまっている。
退職後、色々な趣味のクラブや、市民活動、ボランティアに参加するようになって、現役時代には、触れあわなかった人々を知ることになりました。
先日も、元大手建設業の知り合いを、趣味のサークルにお誘いした時に、その友人は云いました。
「この齢になって初めて気が付いたとは恥ずかしいけど、建設業のような世界に数十年いると、廻りはみんな、自分と同じ学歴、年収、同じような人生を歩んでいる人たちだけの世界だった、と定年退職後に解ってきたよ」
私「解っただけで偉い、俺の廻りにはそれが解らないオジサンが多いんだよ」
私の近くに、「東京貧困女子」を象徴する女性A子さんがいます。
離婚した両親の元で高校を卒業し、二十代半ばで結婚し、30前に、夫の浮気で離婚し、子供二人を育てるシングルマザーとなりました。
母親は離婚して、一人暮らしなので親元では暮らせず、アパートを借り、市内の民間団体の非正規職員として働き、市からの子供手当と夫からの扶養手当で暮らしています。
団体の非正規職員の時給は神奈川県の最低賃金です。
この団体に彼女の他に、多くの有償ボランティアとして働く女性たちがいます。
彼女らは、この団体が目指す活動に賛同して働いているのてすが、全員、大企業の正社員の夫と家庭を営んでおり、Aさんの境遇には理解しめしますが、その裏では、「子育てをしながら経済的に大変なのだから、何もこんな慈善団体で最低賃金で働かないで、若いんだから、資格をとったり、手に職をつけて、正社員としての道を目指せば良いのに」と云っているのが聞こえます。
そう云う彼女らは、ずっと生まれてからの属してきた階層が違う人達の考え方なのです。
この方々の育ったのは、鎌倉・湘南のしっかりした家庭(良家の子女)、四大卒で夫は大学時代に知り合い、一部上場企業の正社員、生まれた子供たちは幼いころから、塾・習い事の環境で、ほとんどの方の子供は、一流大学に学校推薦で入り、就職先も親と同じレベルの一流企業になっています。
A子さんは勿論解っており、この現在の状況から抜け出す為に、、正社員の道を模索していても、なかなか抜け出すことは難しいのです。
A子さんは、同じ時給なんだから、スーパーのパートで働くよりも、デスクワークのこの仕事のほうが、どれだけ楽なのか、あの人たちは解っていないと云います。
世界の最低賃金は幾らか
1ドル112円換算では
1位 オーストラリアで時給1,456円にもなります。
2位 ルクセンブルクで時給1355円、
3位 フランスで時給1,198円、
4位 ニュージーランドで時給1176円、
5位 イギリスで時給1154円です。
ちなみにアメリカは第11位の806円です。カナダは10位で952円です。
※アメリカの最低賃金が低いのは、メキシコ・アジアからの非正規移民が押し下げていると云われています。
世界経済がグローバル化し、日本の労働環境が小泉内閣の派遣労働改正後益々、非正規労働者が増え、日本社会の階層化に拍車がかかっているのは、歴然たる事実です。
現在の地方自治体職員の臨時職員の割合は30%を超えています。
そのほとんどは、自治体の窓口や、外部の実業職員で、賃金は特殊技能部分をのぞいて最低賃金です。まずは、政府からこの状況を変えないと、日本の階層化はこれからもっとひどくなっていくでしょう。
本書抜粋2
貧困女子の苦境を聞くと、原因はほぼほぼ労働系の法律改正と国の制度変更であり、現在の安倍政権の推進する新自由主義(民営化、規制緩和、市場原理、労働の自由化、働き方改革)路線によつて生まれた、貧困と断言できる。
人々の労働がセーフティーネットではなく、安くコキ使われる商品として流通させて起こってしまった。
現在は悲しいくらい人間の価値が暴落している。
もひとつは、中級以上の中高年男性たちに蔓延する、貧困者に対する自己責任論がある。
「努力不足、自分自身の選択の結果であり、あなたの苦境はあなたに責任がある」と。
私たちが育った時代は、中卒でも高卒でも、社会の底辺に近い町の小さな八百屋の子供でも、現場作業員の子でも、真面目に働けばいつかは、日本社会の経済の一員となることが出来、都会の郊外に小さいながら家族みんなで暮らす家庭が築けたのに。
私たち団塊世代の子供、孫たちの将来に不安をいだきながら、静かに消えていくしかないのでしょうか?
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団塊世代の海外ロングステイと定年後の過ごし方
タグ:少子化 規制緩和 小泉改革 非正規職員 格差社会 働き方改革 貧困女子 衰退する日本 最低賃金ランキング 世界の最低賃金 派遣労働改正 階層社会 一億総中流 自治体臨時職員 超高齢化 北関東のマイルドヤンキー 民営化 市場原理 労働の自由化
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