共同住宅の場合、電気が止まっても水道が一定時間送水出来るケースはあります。
屋上に高架水槽を置くタイプの給水システムの場合、各戸には高さ分の水圧がありますので、タンクが空になるまで、各戸の蛇口に水はでます。
私の住む小規模な5階建ての場合、屋上に高架水槽は置かず、加圧給水方式となります。
受水槽から一旦、加圧タンクに水を貯め、このタンクと各戸の蛇口間の圧力を検知して、加圧給水ポンプを運転して、各戸に送る方式です。ですから、停電すると同時に水もストップします。
19号の被害から1週間経つのに、多摩川沿いのタワマンでは、停電が続いていると報じてます。
私は、現役時代横須賀線を使って通勤していました。
武蔵小杉新駅の建設当時から毎朝、同じ建設業界に属する人間ですから、あれよ、あれよ、と云う間にニョキニョキと建っていく、タワーマンションを車窓からながめていました。
このタワマンの売り出し価格を聞いて、こんな殺風景な場所の、こんな高い価格の物件を買う人、買える人がいるのか?と不思議な思いをしていました。
そして、このような高層マンション・・・停電した時、どんな対処をするのだろうか?と業界人として考えていました。
少なくとも、数時間は保つ自家発は備えているはず・・・復旧まで持つ容量の自家発は、全て共用部用、各住戸は、東電の復旧を待つしかない。
しかし、2011、東電原発事故で考え方は根本から変わったハズではないのか?
自家発が水没して使えない・・・と考えることはなかったのか?
私の苦い経験
私はビル建設業界のなかで、ビル全体の設備(電気・ガス・水・空調・セキュリティ等)の自動制御、監視を行う、中央監視コンピューター及び、端末センサーのシステムを構築、施工する業界の現場担当を20年以上やってきていました。
20数年の工事経験で、竣工間際に台風よる水没被害を被ったことがあります。
東京都内に建てる、オフィスビルは、立地・交通の良い場所(イコール地価の高い場所)に、如何に広い賃貸、貸出スペースを造るかです。
一階はオフィスビルの顔ですから、抜きぬけがあったり、見栄えの良さそうなエントランスホールになります。
三階からは、貸し出し用の基準フロアーで、退職直前の頃は、天井も床も間仕切りもない、スケルトンが増えていました。
で、これらの高層ビルのインフラを支える、電気・水・空調・防災などの設備機器の場所は、賃貸、貸出、収益になりにくい地下階となります。最近のビルは地下1,2階まで、ショッピング、商用エリアと活用することが多くなり、インフラをささえる部署は益々、地下階奥深く潜っていきます。私が担当し水害・沈没したビルは、12階建ての小さなビルでした。
それでも、インフラを支える受電電気室・空調機械室・衛生ポンプ機械室は地下二階でした。その当時、これらのビルインフラ機械室に、水の侵入にたいしての防御は簡易防水ドア程度でした。
この時の水没は竣工前でまだ、防水ドアや止水シャッターも完成していない時でした。
私の担当していた、メインコンソール廻りの機器は机の上で水没は免れましたが、制御盤の下1/3は水に浸かり、端末からの配管のなかは水浸しとなりました。
大型台風が来ることは解っていたのですが、ゼネコンはじめ、設計事務所から、このような水害を全く予想していなかったのです。それも、完成前の段階での災害を。
ここで思い起こすのは、2011東日本大震災、福島第一原発の商用電源消失事故です。
私が経験した、小さなオフイスビルの機械室水没事故はまだ昭和の年号の時代です。
都内のオフィスビルを企画する大手不動産や設計事務所、ゼネコンの間でも、このような事が起こりうると認識がし始めていました。こんな、民間の私たちでさえ、解っていたのを、日本の秀才の集まる東電原子力部門が怠っていたとは。
再び、タワマンの停電の話
台風19号から1週間経っても、40数階だてのマンションのエレベーターは、動かず。
各住戸は水も電気もない生活のようです。
このようなタワマンは、都内の一等地オフィスと同じです。
売れないもの、金にならないものは、目に触れない場所に置く。
地下深い所に電気室、設備機械室があるのでしょう。
水没した機械類は自然乾燥が一番と云うのが私たちの時代のでした。
乾燥させてから、一つづつ分解し、電気回路はテスターで、通電・漏電・接地を確認して・・・・
しかし、今の機器類は、電子機器・ICが多く使われているので、乾かしても無理でしょう。
一生の一度の高い買い物である持ち家を買うには・・・
今回の台風の災害は、私たちの子、孫世代に色々な教訓を教えてくれたと思います。
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新聞によると電気室を四階に移すとか、遮水壁で囲むとかの莫大な経費の案が語られています。
しかし、地下電気室の浸水防止にはアイデアがあります。
電気室を空気的密閉室として、コンプレッサーで0.6気圧の加圧を行います。これで6メートルの浸水に対抗できます。
数百万円の費用で済むと思います。