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2024年11月12日

地域別パートナーシップ・ミーティング

かおだしたとき:2024年11月12日(火)13時30分〜16時30分
かおだしたさき:京都府南丹広域振興局 亀岡総合庁舎

京都丹波地域パートナーシップミーティング202411.jpg
京都府京都丹波パートナーシップセンター※1が主催する「地域別パートナーシップ・ミーティング」にかおだししてきました。

地域別パートナーシップ・ミーティングは、同じ地域で活動する団体活動家たちが集まり、さまざまな分野での取り組み内容などを共有しながら交流を図ることで、事業や団体運営の課題解決や、団体間の関係を築く場として毎年実施されています。

今回は、京都府庁NPOパートナーシップセンターの協働コーディネーター※1・久留宮共樹さんのファシリテーションで、2つのグループディスカッションが行われました。
参加者は、子育てや移住促進、要配慮者支援などの分野で活動する45人。中には、南丹市・亀岡市・京丹波町の協働担当職員や南丹保健所所員の参加もありました。

参加者は5グループに分かれ、まず、アイスブレイクのご当地クイズやチェックインで親睦を深めました。私が入ったグループは、だいたい知った顔だったのですが、京丹波町から来られているはじめましての人もいて、ゲームを通じて仲良くなれたように思います。

2セッションあったグループディスカッションでは、広報や受益者負担金額(参加費等)の設定などについて話し合いました。
広報の話題では、「毎月決まった日に広報をいっきにする」「ターゲットを想定して平日のお昼にLINEする」「通勤距離の長い人が担当し、通勤・帰宅ルートでチラシを配架して回る」「イベントの参加者に次回の告知ができるよう、タイミングを考えて日を設定する」などといった工夫が聞かれました。お金については、「最終どんな金額にするにしても、まず全体経費を出して、それを見込み参加者数で割った数字を計算しよう」「複数の事業があれば安定する」「活動分野によって、対象となる行政や財団の助成金の数がぜんぜん違う。近ごろは子育て分野を対象とした助成金がたくさんある」などの知恵が交換されました。

私が興味深いと思ったのは、南丹市・亀岡市の2市と京丹波町で、市民活動に対する土壌の育ち具合に大差を感じたことです。南丹市・亀岡市では、例えば「非営利」の意味をわざわざ説明しなくても、だいたいの人が(少なくとも活動家自身や市職員、振興会職員ぐらいは)理解していて、コミュニケーションに困ることは少なくなりました。京丹波町では、そうした基礎知識的な理解がまだまだ進んでいないようで、まるで20年前の南丹市・亀岡市を聞いているようだと感じました。

地域活動の一般教養-10.jpg
〈テダス流 地域活動の一般教養※3 P10の図より〉

もう一つ、印象的だったのが「活動をいつまで続けるのか」という悩みです。当然、なんとかしたいと思っていた課題がクリアーされれば、ハッピーエンドで解散すればよいのです。また、受益者に設定している人たちがいなくなれば、それもやめどきです。しかし、居場所や娯楽といった活動分野だと、終わりが見えにくい。「いつでも辞められるけど、楽しみにされるとやめるにやめられない」や「ないと困る存在になってしまうと、やめにくい」といった声がありました。また、続けることこそ正しいといった思い込みのなかで、「組織が高齢化している。引き継ぎ手がいない」と悩まれている人もいました。
活動のゴール設定、やめどきをイメージしながら、「対応・対処」、「対策」、「予防」── それぞれの活動のバランスを考えていくことが重要なのだと改めて思いました。

蛇足のレポートになるかもしれませんが、今回のような集まりの際、発表者がいるのに話を聞かず雑談しているのは、だいたい高齢男性です。「若者と一緒に活動したい」や「周囲の信頼を得たい」という気持ちがあるのなら、そういうところから改めていった方がよかろうと思います。また、雑談者の近くにいる主催スタッフ(今回で言えば京都府職員)は、忖度せず、反射的にこっそり注意するのが愛だと思います。前にいるファシリテーターやほか参加者が注意してしまうと目立ち、雑談者たちに恥をかかせますしね。

今回はファシリテーター役の久留宮さんが、冗談を交えながらもきっちり説明しながら場を進めてくれたおかげで、心地よく安心感のあるミーティングになり楽しい時間でした。
(記事:田畑昇悟)

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【京都府パートナーシップセンター】※1
京都府が設置する5カ所のパートナーシップセンターは、管轄地内の協働を推進し、活動団体の交流や情報交換の促進、活動支援をするための拠点です。略称はパーセン

 ◇ 府庁NPOパートナーシップセンター
 ◇ 中丹パートナーシップセンター
 ◇ 山城NPOパートナーシップセンター
 ◇ 丹後NPOパートナーシップセンター
 ◇ 京都丹波パートナーシップセンター

〈参考〉京都府「京都府庁NPOパートナーシップセンター(https://www.pref.kyoto.jp/npo/psc)」より。

【協働コーディネーター】※2
協働コーディネーターは、各パーセンに配置されている京都府職員です。各コーディネーターがそれぞれの専門分野を持ち、協働の場づくりや活動支援、相談対応などを行うことになっています。略称は協働Co。府庁に6名、南丹・山城・中丹の各パーセン(振興局)に1名ずつ。丹後地域では、「つながる丹後」が協働Co及び丹後パーセンの役割を担っています。

〈参考〉京都府「協働コーディネーター(https://www.pref.kyoto.jp/npo/psc/kyoudou-coordinator.html)」より。

【テダス流 地域活動の一般教養】※3
『テダス流 地域活動の一般教養』は、NPO法人テダスが出版する書籍です。地域活動・市民活動の現場に用いられる600語を図解付きで紹介しています。また、思考整理や現状整理のためのワークシートと、テダススタッフのコラムも収録しています。

 ◆ 定価 1,000円+税
 ◆ ISBNコード 978-4-600-01314-1
 ◆ 出版 特定非営利活動法人テダス
 ◆ 判型/頁数 A5/64ページ
 ◆ 販売サイト http://tedasu.com/worksheet.html
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2024年11月10日

地域おこし協力隊 活動報告会│協力隊だから!?

かおだしたとき:2024年11月10日(日)14時〜16時30分
かおだしたさき:南丹市国際交流会館

南丹市で活動する「地域おこし協力隊※1」の活動報告会にかおだししてきました。

協力隊の活動報告会は毎年開かれています。私がかおだしするのは久しぶりで、(来場者をカウントし忘れていましたが、)「あれ!?昔に比べてかなり少ない」という印象を持ちました。現役隊員を含めるとこれまでに24名の隊員が活動してきており、南丹市民にとって「協力隊だから」という注目度は落ちて、「新しく来はった移住者が、新しい活動をしてはる」といった慣れの印象になってきているのかもしれません。私自身、協力隊だからという関わり方を昔ほどしなくなったように思います。

今回の報告会に登壇したのは、8月末に任期満了した2人と、現役で活動する4人。そのほか、任期がスタートしたばかりの新規隊員の自己紹介がありました。

 ◇ 鈴木 健司さん 元隊員、7期生 (2021/9〜24/8)
 ◇ 谷川 英愛さん 元隊員、7期生 (2021/9〜24/8)
 ◇ 永尾 俊晴さん 現隊員、8期生 (2022/9〜 )
 ◇ 米澤 弥央さん 現隊員、8期生 (2022/9〜 )
 ◇ 矢野 大輔さん 現隊員、9期生 (2023/9〜 )
 ◇ 山内麻衣子さん 現隊員、9期生 (2023/9〜 )
 ◇ 土井 辰郎さん 新隊員、10期生(2024/9〜 )

各隊員のプロフィールは、南丹市定住促進サイト「nancla(なんくら)」で紹介されています。
なんくら https://www.nancla.jp/kyoryokutai/

報告会で隊員たちは、自身の経歴やそこで得たスキル、南丹市との縁、南丹市に来てからの活動、今後の動きなどを各15分ほど報告。隊員それぞれが、市民や団体、時には市外の団体とも繋がりなら活発に活動してきたことが分かりました。また、隊員同士の横繋がりも生かしながら活動している様子も伝わってきました。地域に与えた刺激も多かったのではないでしょうか。

これまで頑張ってこられただけにちょっと残念だったのが、どこまでが協力隊としての活動で、どこからが協力隊業務とは別の活動(生業づくりなど)なのかが分からない報告が半数あったこと。そこが分かりにくかったせいで、協力隊の業務時間で個人事業主としての営利活動をしているかのような印象を私は持ちました。完全に切り分けることは難しいと思いますが、税金で活動している立場として、「協力隊だからきちんと説明しよう!」とする自覚や姿勢がもう少しほしかったのです。
昔、個人で経営する施設の改修作業を協力隊業務として報告した隊員がいて、来場者から厳しい非難の声が上がったこともありました。それに比べると、「協力隊だから」の部分に対する近ごろの市民の反応は温かいのか、ぬるいのか、無関心なのか。この10年でだいぶん変わったように思います。協力隊だからで注目してもらえる下駄が低くなった分、市民からの圧も低くなったが、協力だからの責任は変わらないとも言えるかもしれません。

9期生までの協力隊は、自らが提案した活動を行うフリーミッション型で、地域振興課の管轄です。10期生の土井さんは、南丹市観光協会連絡会の事務局業務や観光情報の発信などのミッションが与えられており、商工観光課の管轄となります。自治体が用意した仕組みに入って活動する、いわゆるミッション型です。南丹市でミッション型の協力隊員ははじめてです。土井さんは「教師だったこれまでの経験や視点を活かしながら活動します」と明るい表情で抱負を語っていました。これからの活躍が楽しみです。
南丹市ではありませんが、京都府やほか市町で、年々削減される人員の穴埋めに、専門枠の人員をほか一般事務の「会計年度任用職員※2」と同列の業務に従事させるといった事例が見られます。ミッション型の場合、そうしたポジションになる可能性が高くなるように思います。市民益としてはそれでもかまわないと思っていますが、せっかくだから、協力隊だからや土井さんだからが光る3年間になることを期待しています。
(記事:田畑昇悟)

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【地域おこし協力隊】※1
地域おこし協力隊員は、ほか市町から過疎地域等の条件不利地に住民票を異動し、自治体等からの委嘱と報償費等を受けて地域おこしの協力活動を行っています。隊員の任期は最長3年で、1年ごとの更新です。活動スタイルは大きく「フリーミッション型」「ミッション型」に別けられます。2023年度の隊員数は全国で7,200人。前年度比753人増で、2009年に制度がスタートして以降増加の傾向にあります。
南丹市では2015年に1期生となる4人の協力隊員が入り、それから10年で、現役も含めて計24名が協力隊員として活動してきました。19名の元隊員のうち約6割が南丹市に定住(全国平均は6割)。市外へ転出後も地域との良好な関係が続いている元隊員も多い。また、任期満了前に退任しても定住または関係人口になっている元隊員が多いことも、南丹市での協力隊事情の特徴の一つです。

【会計年度任用職員】※2
会計年度任用職員は、2020年から導入された非常勤の地方公務員です。業務繁忙期や職員に欠員が生じたときなどに、職員の補助として1会計年度内を任期として任用されます。
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2024年11月04日

南丹の森を知る│第一回「獣害から森を再生する自然配植とその技術」

かおだしたとき:2024年11月4日(月・祝)9時30分〜16時
かおだしたさき:天引倶楽部、園部町天引の山林

南丹の森を知る第1回.jpg

特定非営利活動法人つむぎが独立行政法人環境再生保全機構(地球環境基金)の支援を受けて開催する「南丹の森を知る」と題した3回シリーズの第1回に、ファシリテーター役としてかおだししました。

この3回シリーズのきっかけとなったのは、2023年2月開催の「農×地域シンポジウム 未来を耕す これからの農と地域を考える※1」(NPO法人つむぎと同実行委員会が主催)で、分科会の1つとして「森林と農村」をテーマにディスカッションが行われた際、「山林所有者不明」「荒れていて入山困難」「獣害」「林業の担い手不足」「土砂災害」「森や山に対する市民の関心が低い」などといろいろな角度の課題が出されました。それを受け、今年度の3回シリーズは、「生物多様性」「林業」「学びや遊びの場」の3テーマで、個人や団体、行政が今後どのような取り組みや関わりができるのかを模索する場として設けられました。

●NPO法人つむぎ 「南丹の森を知る」
https://tsumugi-kyoto.net/2024/10/11/nantanforest2024/

◇ 11月4日:終了
 「獣害から森を再生する自然配植とその技術」
   講師 自然配植技術協会 高田研一さん
 ファシリ NPO法人テダス 田畑昇悟

◇ 11月30日
 「林業の施業地視察@日吉町と市民による取り組み事例@びわ湖源流に学ぶ」
   講師 日吉町森林組合 堀田暢さん
      朽木GreenKONG 廣清乙葉さん
 ファシリ 自伐型林業家 林益郎さん

◇ 1月19日
 「“痕跡探し”で森の動物を知る」
   講師 南丹Wildlife tours 榎本拓司さん
 ファシリ NPO法人つむぎ 前田敦子さん

11月4日の第1回目は、生物多様性をテーマに自然配植※2の専門家である高田研一さん(自然配植技術協会 会長、NPO法人森林再生支援センター 常務理事)がゲスト講師に招かれました。午前中は高田さんからの講演、午後から会場の裏山に入って現地研修、下山後、学びの共有や意見交換などを行いました。私ははじめて知ることばかりで、ぎゅっと詰まった濃い時間となりました。
参加者は約20名で、森林プランナーや自伐林家、山主、ネイチャー活動プログラマー、集落活動の支援者など。「苗木を育ててみたくなった」「地球温暖化と森林との関係がよく分かった」「山を見る視点が少し分かった」「多様性の重要さが分かった」「もっと学びたい」「防獣するだけでは自然に回復しないところまできていると思った」などの感想がありました。

私はここ1年ほどの間、山や森について心地の悪さのようなものを感じていました。
関わりのある山が、多様な選択肢やメリット・デメリットといった議論がないまま大規模な森林計画※3で工事が進められることになりました。そのことに不満を持つ人も少なからずいます。また一方では、自伐型林業※4といわれる施業方法に注目する人が身近にもなってきています。2023年のシンポジウムに刺激を受けた市民や、松茸復活・城跡整備・トレッキングコースの整備といった活動をはじめる集落も増えつつあります。そうしたこともあって、日常の会話のなかで山や森が話題になることが増えてきていました。それは嬉しいのですが、会話がかみ合っているようで噛み合わない、そんな心地悪さがあったのです。同じことを言っていても、違った思いや規模をそれぞれが思っているような、そんな感覚です。
高田さんのお話の中で森林には「経済林」「防災林」「景観林」「生物多様林」の視点があることを知りました。この1年ほどの会話では、どの視点を主に、または従として語っているのかをお互いが明らかにしないまましていたせいで心地悪さになっていたのだろうと気づきました。また、これら4つの視点のどれも持たず、森林を放置していることへの罪悪感、それから森林に関与していること自体を善だとしたい感情のようなものを相手から感じ、目的不在の気持ち悪さもあったのだと気づきました。

後日、今回の参加者たちの数人から、代わりばんこに「地域性苗木※5を一緒に育てませんか」と誘われました。高田さんの話が、とても魅力的だったのでしょう。私もまんざらではありません。
(記事:田畑昇悟)

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【農×地域シンポジウム 未来を耕す】※1
地方移住や“小さい農”をはじめたい人、地域づくりに関わる人、農に携わる人など、さまざまな立場の参加者100人以上が”農”をテーマに集い、農と地域のこれからを話し合ったシンポジウム。2023年2月、南丹市日吉生涯学習センター遊youひよしで開催。

〈参考〉特定非営利活動法人つむぎ「農×地域シンポジウム 未来を耕す(https://tsumugi-kyoto.net/2023/03/30/smallfarmproject2023booklet/)」より。

【自然配植】※2
自然配植は、その場所の立地を読み解き、そこに適した樹種を選び自然のもつ多様な力を生かしながら植栽していく技術です。自然配植による緑化では苗木を使い、密に、あるいは疎に組み合わせて行われます。既往の樹林化工法では陥りがちな単純な同齢林とは異なる群落を志向しています。

〈参考〉自然配植技術協会「自然配植とは(http://www.shizenhaisyoku.org/page1/shizen1.html)」より。
〈参考〉一般財団法人環境イノベーション情報機構「事例6-1:宮川森林組合の取り組み(https://www.eic.or.jp/library/bio/case/c6_1.html)」より。

【森林計画】※3
森林計画は、森林整備、林業経営を行うために立案される計画です。無秩序な森林伐採による荒廃、無計画な伐採による森林資源の減少を防ぐため、森林法によって森林計画制度が定められています。規模によって分類され、農林水産大臣がたてる「全国森林計画」と「森林整備保全事業計画」、都道府県知事がたてる「地域森林計画」、森林管理局長がたてる「地域別の森林計画」、市町村がたてる「市町村森林整備計画」、森林所有者又は森林の経営の委託を受けた者がたてる「森林経営計画」、それに「一般の森林所有者に対する措置」があります。

〈参考〉林野庁「森林計画制度とは(https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/sinrin_keikaku/)」より。

【自伐型林業】※4
自伐型林業には、森林所有者が経営・管理・施業を委託する林業形態と、農家林家などによる自家伐採がある。一般的には、作業道の原則が道幅2.5m以下・切り高1.4m以下で、毎年間伐生産しながら長期的に営む森林経営手法のことを指します。

〈参考〉サストモ「大規模伐採ではなく「自伐型」林業を(https://sdgs.yahoo.co.jp/featured/328.html)」より。
〈参考〉Wikipedia「自伐型林業(https://ja.wikipedia.org/wiki/・・・)」より。

高田さんは自伐型林業のことを”良心的な林業”と表現されていました。

【地域性苗木】※5
地域性苗木は、その地域に自生する樹木の個体から種子を採取して育てた苗木のこと。地域性苗木の育成・植栽によって移入種による遺伝子の攪乱を防ぎ、「種の中の多様性」を保全することができます。

〈参考〉一般社団法人日本植木協会「地域性苗木(https://www.ueki.or.jp/?catid=100&itemid=1497)」より。
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