かおだしたとき:2023年3月4日(日)13時30分〜15時30分
かおだしたさき:日吉町生涯学習センター遊youひよし
南丹市(集落支援員室)主催の「集落活性化の取組み活動報告会」にかおだししてきました。
3回目となる今回は、@岩江戸区(美山町岩江戸)むらづくりプロジェクトの泥昌信さん、A殿田集落支援事業推進委員会(日吉町殿田)の吉田正彦さん・井尻治さん、B下集落支援事業委員会(美山町下)の澤田利通さん、C天引の活性化と未来を考える会(園部町天引)の原田久さんが登壇し、それぞれの集落でしている活動内容や成果を発表しました。
@岩江戸の泥さんからは、集落の言い伝えが途絶えてきたことを課題とし、松山城の歴史調査や跡地整備、大般若経巻子本の調査、八朔祭で使われていた音頭台の修復について報告がありました。
私は、歴史を残し伝えることが集落の活性化とどのように結びつくのか理解できず、「集落の終活に取り組まれているのだろうか?」と疑問に思ったので、「岩江戸の歴史を知ったことで得た教訓はあるのか。活動によって集落がどのように変化したのか。また、修復した音頭台はどのように活用するのか」と質問したところ、「歴史は伝えないと埋もれると分かった」や「音頭台が修復されたことで八朔祭を続けて行くモチベーションにつながった」と答えられました。なるほど・・・。
先日出席した日吉町殿田区の改革委員会で、ある委員さんが「頑張ると、頑張った分だけ執着する。執着したい気持ちを少し押さえ、他の人が自由に意見を言えるよう配慮していこう」と発言されたことを思い出し、岩江戸の音頭台修復から八朔祭継続への機運のストーリーと重なるように思いました。執着自体が悪いわけでなく、活力につながる感情なので、執着していることを自覚しながらコントロールできると良いですね。
A殿田の吉田さん・井尻さんからは、殿田で新たに生まれた有志による9つのプロジェクトの内容と、なぜ9つもの有志チームが生まれたのかの背景が説明されました。
殿田区の取り組みは私も支援者として関わってきたもので、その様子は4月発行の季刊地域No53(農文協)の「集落会議のつくり方(文・田畑昇悟)」でひも解く予定です。
B下の澤田さんからは、区民それぞれが所属する4つのチーム(農業、食文化、伝統文化、交流)の活動報告がありました。
交流イベントの参加費や伝統食(へしこ、なれ寿司など)の売上などで、補助金に依存せずに継続できる体制、さらに人件費も支出できている現状について、出席されていた他集落の人たちの注目を集めていました。
C天引の原田さんからは、無力感や自信損失、住民のつながりの薄れなどの状態にあった10年前から、古い村社会の障害を少しずつ乗り越えていった挑戦について報告がありました。出席者の注目を集めたのは、会議のルールについて。その成果として、年長者や有力者の意向を忖度することのなく、自由に発言する雰囲気へと変わっていったと発表がありました。
この工夫は私もたいへん注目しており、天引版会議ルールを少し変えた4ルール「Aすぐに実現できなくても夢を語る、B他人の揚げ足を取らない、Cやることを他人に押し付けない、D来るもの拒まず、去るもの追わず」をほか集落へ普及しようと取り組んでいます。
前回・前々回も含めた報告会全体を通して、とても気になっていることがあります。
登壇者たちの多くは、「●●●補助事業に取り組んできた」と言うところから発表を始めます。そもそも補助金とは自主的にやっている活動を助けてくれるものであって、集落にとっては補助金という事業に取り組んでいるわけではないはずです。
本来ならば、「うちの村ではこんなことしてまっせ。それをするのに、●●●補助を活用しましたよ」と発表するのが自然な言葉運びだと思います。
「●●●補助事業」を冠に置き、そうした意識で事業をされているマインドがどのように形成されてきたのか分かりませんが、放置しておくとよくないように思います。
(記事:田畑昇悟)