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種プロのブログ〜種あったね!

 種プロ(種プロジェクト)は「NPO法人 食の自給ネットワーク」の「種」をテーマにしたプロジェクトチームです。
 流通している野菜の多くは、規格がそろい、経済効率を求める市場に合うように作られた「F1種」です。一方、地域にはその風土に合って継承されてきた野菜があり「在来種」等といわれています。
 種プロは、在来種の栽培に取り組む農家との交流や、種に関する学習等を行っていきます。


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固定種、F1種、遺伝子組み換え種子、ゲノム編集種子 その5 [2021年11月28日(Sun)]
 2021.11.20に行った学習会の様子を紹介していきます。
 今回は、新たな技術と私たちというテーマです。
 当日は、遺伝子組み換え作食品の輸入が認められてから25年経った現在、あらためて私たちが遺伝子組み換えの何を、そして新たな技術としてゲノム編集の何を不安に思っているのかを話し合いました。
 また、食品に関わらず医療分野でもゲノム編集技術が使われている中で、何を基準に判断していけばいいのかについても話し合いました。
 時間がなく、急ぎ足で進んだので結論は出ませんでしたが、この記事ではこの日の議論を踏まえ、現在の「遺伝子組み換え」「ゲノム編集」の定義等を紹介し、私たちはこれからどのように新しい技術に対峙していくのを投げかけたいと思います。


 遺伝子組み換えから始まった食料への「遺伝子への直接操作」という技術の適用は、ゲノム編集という技術により新しい局面に入ったと言えます。
 当初の遺伝子組み換え技術は、対象の生物に別の生物のDNAを組み込むだけで、どこに組み込むかまでは特定できませんでした。
 しかし、ゲノム編集技術により、対象の生物のDNAのどの部分を切り取り、別の生物のDNAをどこに組み込むかまでを特定・実行できるようになりました。
 このことは遺伝子組み換え生物を作れる主体が多様になったことを示します。
 農薬とセットで遺伝子組み換え作物を普及させていたモンサント社が医薬品関係を軸とするバイエル社に買収されたのはその象徴のように思います。

 さて、ゲノム編集を経た現在の遺伝子組み換えについて確認しましょう。

 遺伝子組み換えの定義です。
 食品の観点から見てみます。
 消費者庁HPではこのように定義づけしています。
 「遺伝子組換え食品とは、他の生物から有用な性質を持つ遺伝子を取り出し、その性質を持たせたい植物などに組み込む技術を利用して作られた食品です」

 環境相中央環境審議会のカルタヘナ法におけるゲノム編集技術等検討会での定義を見ると簡単に言うとこのように定義されます。(ゲノム編集技術により得られた生物のカルタヘナ法上の整理及び取り扱い方針について
 「ウイルス・ウイロイドを含めた生物について、その細胞からDNA(RNAやmRNAも含む)を取り出してそのDNAに何らかの加工をして、それを再び細胞内に戻されたことで組み替えられたDNAを持つ生物」
 「ウイルス・ウイロイドを含めた生物について、他の生物のDNA(RNAやmRNAも含む)がその生物の細胞内に入れられたことで組み替えられたDNAを持つ生物」

 この他、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)第2条の2項第二号から「(ウイルスや化学薬品を使って)異なる科に属する生物の細胞を融合させた細胞を持つ生物」(融合すると細胞の核が一つになる)

 要するに加工されたDNA(RNAやmRNAも含む)か他の生物のDNA(RNAやmRNAも含む)が細胞内に移入されたことにより本来のDNAが組み替えられた生物を遺伝子組み換え生物と言い、細胞内に移入されてもDNAが組み替えられなかった場合は遺伝子組み換え生物とは言わないのです。
 なので、DNAを切るだけのゲノム編集では遺伝子組み換え生物とは言わないのです。
 突然変異が起きて遺伝子が組み替えられているのにね。

 しかし、異なる意見もあります。
 遺伝子治療分野からは遺伝子組み換え技術を利用した治療を進める観点から、国民の遺伝子組み換えに関する不信感をなくすために正しい情報を発信すべきだとしています。その中で「ゲノム編集は遺伝子組み換え技術の一つである」と言っています。
 ここで言うゲノム編集技術の適用には、肉厚の魚などの食材の開発や新型コロナウイルス感染症ワクチン(mRNAワクチン)も含まれています。
(首相官邸HP 健康・医療戦略推進本部 第3回再生・細胞医療・ 遺伝子治療開発協議会資料) 


 さて、遺伝子組み換えの記事で指摘したように、今の私たち日本人は「自分の国で食料の自給もできないし、遺伝子組み換えを作ることも拒否してるくせに、いっぱい食料を輸入して、輸入したものなら遺伝子組み換えでもそんなに気にしない、ご都合主義の不思議な人たち」です。
 これからどうしたらいいのでしょう?

 最後に、みなさんに投げかけをしてこの記事を終えようと思います。

 
 殺虫成分を持った遺伝子組み換えの大豆、あなたは食べたいですか?

 殺虫成分を持った遺伝子組み換えの大豆を含んだ飼料を食べて育ったニワトリ、あなたは食べたいですか?
 ※資料もニワトリもたくさん輸入されてるので多分食べてますよね。

 生ワクチン(弱体化した細菌やウイルスが含まれたワクチン)、不活化ワクチン(死んだ細菌また不活性のウイルスが含まれたワクチン)を接種または飲水投与されたニワトリ、あなたは食べたいですか?
 ※フツーに行われているので多分食べてますよね。

 遺伝子組み換えワクチン(遺伝子組み換えされたウイルスが含まれたワクチン)を接種または飲水投与されたニワトリ、あなたは食べたいですか?
 ※遺伝子組み換えワクチンはすでにありますが、ニワトリ
  用の遺伝子組み換えワクチンは聞いたことがありませ
  ん。でも、これから実用化されるかもしれません。

 mRNAワクチン(説明は文末付記に)を接種または飲水投与されたニワトリ、あなたは食べたいですか?
 ※まだありませんが、これまでのワクチンより安く、簡単
  にできそうです。今後、実用化されるかもしれません。

 さて、みなさんは何を根拠にどこで食べる食べないの線を引きますか?

 次回は、当日の会議で提起された、食べ物の選択に経済状態が大きく関わっていることについて触れます。


付記 :mRNAワクチンについて)
 mRNAワクチンの代表的な例が新型コロナウイルス感染症ワクチンです。
 この感染症は、ヒトの体に入ったコロナウイルスがスパイクタンパク質を使って細胞に結合することによってこれをヒトが異物(抗原)として感知し、それに反応して侵された細胞を殺すために抗体を作り出して戦い出すこと(発症)で起こります。
 このスパイクタンパク質を作り出す遺伝子情報(mRNA)をゲノム編集技術で解読し複写して作り出してワクチンに入れたのがmRNAワクチンです。
 あなたがmRNAワクチンを接種すると、あなたの体の細胞は細胞に入ったmRNAの情報を読み解き自身の細胞の成分を使ってスパイクタンパク質を作ります。それをあなたの体は抗原として認識し、抗体を作り出します。
 なお、mRNAはDNAの中に入り込んだり、mRNAの情報がDNAに転写されることはないと言われています。
 ただし、これは現時点で言われていることです。
 誰でも普通に思いつくことだと思いますが、例えば、本来は遺伝情報になかった他の生物(ウイルスは生物ではないけど)の遺伝情報でスパイクタンパク質を自ら作り出したと言う経験が遺伝子レベルでどう処理され、それが子孫にどう伝わっていくのか(伝わらないのか)は誰もわかっていないのです。
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