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種プロのブログ〜種あったね!

 種プロ(種プロジェクト)は「NPO法人 食の自給ネットワーク」の「種」をテーマにしたプロジェクトチームです。
 流通している野菜の多くは、規格がそろい、経済効率を求める市場に合うように作られた「F1種」です。一方、地域にはその風土に合って継承されてきた野菜があり「在来種」等といわれています。
 種プロは、在来種の栽培に取り組む農家との交流や、種に関する学習等を行っていきます。


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固定種、F1種、遺伝子組み換え種子、ゲノム編集種子 その4 [2021年11月27日(Sat)]
 ※2021.11.27 一部修正しました。

 2021.11.20に行った学習会の様子を紹介していきます。
 今回は、ゲノム編集種子について。

 まずは基本から。

(1)ゲノムとは?
    「生物のもつ遺伝子(遺伝情報)の全体」のこと。

(2)これまでの品種改良と遺伝子の関係
     生物の体の中では、自然環境下でもDNAが切れ
    てしまうことがよくありますがが生物はそれを元
    通りに修復します。
     でも、たまに修復の仕方を間違えてしまって、
    その部分のDNAの配列が変化して、その生物の性
    質が変わってしまうことがあります。
     突然、同じ種の中で変わったものが現れるので
    「突然変異」と言われます。
     これまで見てきた固定種作りやF1種作りという
    う品種改良の手法は、DNA配列の変化を「突然」
    「偶然」行うのではなく、人が時間や手間をかけ
    て行っていくものです。その過程でDNA配列が変
    わってくので、その植物の性質が変わるという点
    では突然変異と同じです。
    注)細胞中のDNAには遺伝情報を持つ部分と持た
     ない部分があり遺伝情報を持つ部分を遺伝子と
     いいます。

(3)ゲノム編集とは?
     品種改良で使われる一般的なゲノム編集技術は、
    生物のDNAのどこを切るのか狙って切断すること
    です。
     ゲノム編集をするためにはその生物のDNA配列
    を正確に読み取らなければなりませんが、それは
    コンピュータで容易にできるようになりました。
     DNA解析により切り取りたいところを特定し、
    そこを集中的に切り続ければ、自然環境下と同じよ
    うに修復に間違いがおき、突然変異を人の手で起こ
    すことができます。
     ゲノム編集を行うためには、DNAの特定の場所を
    切るハサミの役目をするものが必要ですが、それも
    すでに「CRISPR/Cas9」に代表される手法が開発
    されており、容易にできるようになっています。
     要するに、例えば「もう少し収量の多い大豆が欲
    しい」と思えば、その大豆のなる量を抑制している
    DNA部分を特定して切り取ってしまい、同じ種なの
    のに、収量が際立って多い突然変異の大豆を作って
    しまうということなのです。
     これまで時間と手間をかけてやってきたものが、
    本当に簡単にできてしまうのです。
     さらに、最近では、DNAを「切らずに書き換え
    る」ゲノム編集技術も開発され、利用が進みつつ
    あるそうです。

(3)固定腫とF1種とゲノム編集種子の目的は同じ?
     固定種はヒトが毎年の種の選抜を繰り返し、一つ
    の品種としてどの株も同じようにできるようにした
    ものです。(同じ特徴を持つように変異していくの
    で、DNA配列が同じようになっていく)
     F1種は、違う品種をかけ合わせる試行錯誤を繰り
    返し、求める特徴を持つ品種が現れたら、毎年その
    配合で求める品種(同じDNA配列をもったもの)
    を作るものです。(これも〇〇という品種に△△と
    いう品種を配合した結果生まれた〇〇の変異種と
    言えます)
     遺伝子組み換え種子は、自然界では絶対に起きな
    いと思われる(突き詰めていうと本当に起きていな
    いと言えるのかは不明。全てを調べることなどでき
    ないから)遺伝子をもった種子なので突然変異とは
    異質なものでしょう。
     ゲノム編集種子は、突然変異が起きるように種子
    に人間が手を加えたものです。
     固定種、F1種、ゲノム編集…いずれも人間がその
    植物の特徴を変えていく、すなわち遺伝子の配列を
    変えていくのは同じです。
     違うのは遺伝子を直接操作するかしないかだけ
    でしょう。

(4)私たちはなぜゲノム編集を不安に思うのか
     種子に起きていることは同じこと、なのに、な
    ぜ私たちはゲノム編集種子(種子だけではなく、
    魚や家畜にも応用されていますが)を不安に思う
    のでしょうか?
     「ブロッコリー食べてるでしょう?あれも突然
    変異ですよ。ブロッコリー食べてどうにかなった
    って話は聞かないですよね?」
     そのとおりですね。
     でも、私たちの不安はその質問では解決され
    ません。
     この日の学習会で示された不安をはこうです。

    「ゲノム編集によって作られた種子は、人間の都
    合によって起こされた突然変異によって作られた
    ものであって、その植物が自然環境の中で生育す
    る中で起こった突然変異とは異質なもの。
     人間が起こした突然変異によるその植物への影
    響は現時点での人間の能力ないでしか推し量るこ
    とができない、だから、今後人体にどんな影響が
    起きるか分からない。
     この想定できない危険性は、食べた本人でなく、
    その子ども、さらにその子どもになって現れてい
    く可能性がある。それが一番の不安である」


 さて、 ここまでがこの日のゲノム編集種子についての議論でした。
 結論は、やはり遺伝子組み換えと共通する不安が示されましたね。

 ところで、上で示した不安をもう少し詳しく説明しましょう。
 遺伝子組み換えに関する記事と同じく、この日の議論から推測するものですが、やはり遺伝子組み換えと共通するものになります。

 ゲノム編集において想定する危険性は、強制的な突然変異によって起こされる植物の体の変化やそれによって作り出された何らかの物質です。
 このことによって人の健康上に悪影響が生まれ、例えば気づかないうちに何かのアレルギーを持ち、何かの要因によって突然それが発症するとか、内分泌撹乱化学部物質のように遺伝子を損傷したりしないかということ、そしてそれが遺伝情報として次世代へ伝わっていくことです。
 
 
 この記事のゲノム編集に関する部分は、以下を参考に作成しました。

 国研)農研機構 HP 「ゲノム編集とは」
  「品種改良とバイオ入門」
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