固定種、F1種、遺伝子組み換え種子、ゲノム編集種子 その3
[2021年11月25日(Thu)]
2021.11.20に行った学習会の様子を紹介していきます。
今回は、遺伝子組み換え種子について。
遺伝子組み換え食品の輸入が認められたのが1996年です。
あれから25年経ち、日本で栽培されて一般流通に乗っているのは青いカーネーションとバラだけですが、家畜の飼料や食用油脂や甘味料用にトウモロコシ、ダイズ、セイヨウナタネを大量に輸入しています。
また、繊維用としてワタも大量に輸入されています。
これらが原料としてではなく、加工品や衣服等としても輸入されていることを考えればものすごい量なのではないでしょうか。特にワタはほとんどなのでは?と思えます。
その一方で、国内では栽培は厳しく制限されています。
食料自給率37%の国なんだけどよほどの信念があるのかな?
でも、前述のとおり輸入はいっぱいしてるんですよね。
日本はろくに食べ物も作れないのに遺伝子組み換えは嫌だって。
食べ物は他所から買えばいいっていっぱい買って、自分で作りたくないけど買ってきたものに入ってるのは仕方ないって。
論理が破綻してますね、ご都合主義ですね。
EUも遺伝子組み換えは拒否しています、食料自給率はフランスで125%、ドイツで86%、イギリスだって65%あって、それなりに自立しています。
この日本人の考え方の一貫性のなさは、遺伝子組み換えとゲノム編集においてちょくちょく顔を出しますので注目していください。
断っておきますが、種プロメンバーは、遺伝子組み換え作物はNO!です。
さて、まずは「基本のき」。
遺伝子についておさらいから順を追って調べましょう。
(1)遺伝子とは?
遺伝子とは、細胞の核の中にあるDNA(デオキシリボ核酸)の一部です。
でも、一般にはDNAも遺伝子も同義語で使いますね。
遺伝子は20種類のアミノ酸を様々に組み合わせ様々なタンパク質を作り出す。
タンパク質は、生命活動に必要な体内の化学反応を助ける酵素として働くほか、体の形態維持や運動、体内での栄養分等の輸送、情報伝達、病気の防御などに関わっています。
つまり遺伝子とは、生物の個々の形質を決めているものであり、それが親から子以降に伝わっていくのが遺伝と言われるものなのです。
(2)遺伝子組み換えとは?
ある生物から、目的とするタンパク質を作るため(=目的とする性質を表すため)の情報を持つ遺伝子を取り出し、改良しようとする生物の細胞の中に人為的に組み込むことで新しい性質を加えるものです。(植物遺伝子+昆虫遺伝子など自然界では起きない組合せ)
従来の品種改良手法(例えばF1種育成の交配、自然または放射線等を使って起こす突然変異)においても、遺伝子の組み替えは起きています。
なお、改良しようとする生物への別な生物の遺伝子の組み込みは…面倒なので略しますが、微生物を使う「アグロバクテリウム法」か化学装置を使う「パーティクルガン法」があります。
詳しく知りたい方は以下のリンクをご覧ください。
(バイテク情報普及協会 「遺伝子組み換え作物の開発」)
(3)遺伝子組み換え種子の作り方
(参考 スギ花粉症治療イネ(改変Cry j蓄積イネ, Oryza sativa L.)(OsCr11)の栽培)
(詳細は、農林水産技術会議 HP)
スギ花粉症の原因であるCry j 1というタンパク質とCry j 2というタンパク質にちょっと手を加えて変化させ、それを作り出す遺伝子を「コシヒカリ a123」の遺伝子に加える。この米を食べることにより食べた人の免疫がCry j 1というタンパク質とCry j 2というタンパク質を抗原として記憶するので、いざ花粉症の時期になってスギ花粉を吸い込んでも獲得免疫が働くので花粉症の症状を抑えられる。
さて、種プロメンバーもそうですが、私たちが遺伝子組み換え種子、作物を拒否する理由はなんでしょう?
地球環境や人体への悪影響、農業(食料)の支配といった視点では明らかです。
○農薬の使用が減るという触れ込みであったが、実際に
は農薬の使用量は増えており(セット農薬)、人体や
環境上の危険性が増加している。
○モンサントやデュポン等4社が遺伝子組み換え作物を
独占しており種子の支配と利益の独占を行っている。
そして、種プロメンバーの共通したもう一つの重要な視点は次のようなものでした。
「遺伝子組み換え作物は自然界では絶対に起きない交雑、例えば『植物の遺伝子に昆虫の遺伝子を加える』ことで作られた作物である。その自然では絶対生まれない作物を食べることは、今後人体にどんな影響が起きるか全く分からない」
「この想定できない危険性は、食べた本人でなく、その子ども、さらにその子どもになって現れていく可能性もある」
「だから遺伝子組み換え種子は使うべきではない」
ここまでがこの日の議論でした。
もう少し、突き詰めたいですね。
これだと、厚労省HPの以下の指摘に反論できません。
厚労省HPでは遺伝子組み換え作物の人体に与える影響についてこのように言っています。
「私たちの体では、食べたものが一度分解され、 用途に合わせて再構成されています。DNAも消化器官で分解されます」
「食品に由来するDNA上の遺伝子がそのまま吸収され、体内で作用したりすることはありません」
これはそのとおりだと思います。
ここからは、議論を踏まえた上で、おそらくこの日出席した種プロメンバーも同感できると思われる反論をしてこの記事を終えます。
例えば、フグの毒に当たるのはフグの遺伝子ではなくフグの遺伝子が作り出した毒です。
私たちは遺伝子が遺伝子に直接影響を与えるのではなく、その食品に含まれた物質が遺伝子に影響を与える可能性を懸念しています。
遺伝子組み換え作物においても、その危険性は作物の遺伝子ではなく、その遺伝子によって作り出された何らかの物質です。
遺伝子組み換え作物に含まれる成分によって人の健康上に悪影響が生まれ、例えば気づかないうちに何かのアレルギーを持ち、何かの要因によって突然それが発症するとか、内分泌撹乱化学部物質のように遺伝子を損傷したりしないかということです。
(参考:消費者庁HP 食品表示一元化検討会 遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン提出資料)
〈補足〉
遺伝子は消化されるといっても、例えば食べ物が中途半
端な消化で便と一緒に排出されることがあるように、遺
伝子にも消化しきれなかった場合もあると思います。
また、栄養素や毒素は血液によって運ばれ、細胞に取り
込まれていきます。
未消化の遺伝子が細胞に取り込まれることはないのか?
もしあったらどうなるのかはわかりません。
「遺伝子組み換え作物を食べても遺伝子組み換え人間に
はならない」なんていうのは当たり前のことで、そんなレ
ベルの心配をしているのではないのです。
親の遺伝子情報は子に伝わります。
例えば、アレルギーや免疫力の低下など好ましくない形に遺伝子が影響を受け、それが子に伝わりさらにその次の世代へと…。
実際に「化学物質によって体質が変わり、それが世代を超えて伝わっていく」、この可能性については研究が行われているのです。
以上が、「子どもから、その子どもへ」と心配する理由です。
ところで、遺伝子組み換えは農業だけで行われているわけではありません。
医療分野でも利用されており、子宮頸癌ワクチン、B型肝炎ワクチンは遺伝子組み換えワクチンです。
ワクチンがヒトの複雑な免疫システムを利用したものだということだと踏まえれば、そこに自然界にはないウイルスを送り込むということもなかなかリスクの高いことだと思います。
いずれにしろ、社会は遺伝子組み換え作物が開発されたときとは大きく変わっています。
25年間続けてきた「食べるの嫌だし、作っちゃダメだけど、外国から買ってくるのはいいよ」というご都合主義では、もうダメだと思います。
このままでは、少なくとも「子ども、その子ども」に対する責任を果たしたことにはならないでしょうね。
この記事は文中で紹介した他、以下を参考にして作成しました。
農林水産省 HP「生物多様性と遺伝子組み換え」
Akira Magazine HP 「細胞核・遺伝子・染色体・ゲノムのお話」
消費者庁 HP 知っていますか?遺伝子組み換え食品表示制度
毎日新聞HP 医療プレミア(無料記事部分) 世代を超えて伝わる「化学物質による体質変化」
KAKENN(研究概要紹介ページ) 環境化学物質の内分泌撹乱作用と遺伝毒性の発現機構
今回は、遺伝子組み換え種子について。
遺伝子組み換え食品の輸入が認められたのが1996年です。
あれから25年経ち、日本で栽培されて一般流通に乗っているのは青いカーネーションとバラだけですが、家畜の飼料や食用油脂や甘味料用にトウモロコシ、ダイズ、セイヨウナタネを大量に輸入しています。
また、繊維用としてワタも大量に輸入されています。
これらが原料としてではなく、加工品や衣服等としても輸入されていることを考えればものすごい量なのではないでしょうか。特にワタはほとんどなのでは?と思えます。
その一方で、国内では栽培は厳しく制限されています。
食料自給率37%の国なんだけどよほどの信念があるのかな?
でも、前述のとおり輸入はいっぱいしてるんですよね。
日本はろくに食べ物も作れないのに遺伝子組み換えは嫌だって。
食べ物は他所から買えばいいっていっぱい買って、自分で作りたくないけど買ってきたものに入ってるのは仕方ないって。
論理が破綻してますね、ご都合主義ですね。
EUも遺伝子組み換えは拒否しています、食料自給率はフランスで125%、ドイツで86%、イギリスだって65%あって、それなりに自立しています。
この日本人の考え方の一貫性のなさは、遺伝子組み換えとゲノム編集においてちょくちょく顔を出しますので注目していください。
断っておきますが、種プロメンバーは、遺伝子組み換え作物はNO!です。
さて、まずは「基本のき」。
遺伝子についておさらいから順を追って調べましょう。
(1)遺伝子とは?
遺伝子とは、細胞の核の中にあるDNA(デオキシリボ核酸)の一部です。
でも、一般にはDNAも遺伝子も同義語で使いますね。
遺伝子は20種類のアミノ酸を様々に組み合わせ様々なタンパク質を作り出す。
タンパク質は、生命活動に必要な体内の化学反応を助ける酵素として働くほか、体の形態維持や運動、体内での栄養分等の輸送、情報伝達、病気の防御などに関わっています。
つまり遺伝子とは、生物の個々の形質を決めているものであり、それが親から子以降に伝わっていくのが遺伝と言われるものなのです。
(2)遺伝子組み換えとは?
ある生物から、目的とするタンパク質を作るため(=目的とする性質を表すため)の情報を持つ遺伝子を取り出し、改良しようとする生物の細胞の中に人為的に組み込むことで新しい性質を加えるものです。(植物遺伝子+昆虫遺伝子など自然界では起きない組合せ)
従来の品種改良手法(例えばF1種育成の交配、自然または放射線等を使って起こす突然変異)においても、遺伝子の組み替えは起きています。
なお、改良しようとする生物への別な生物の遺伝子の組み込みは…面倒なので略しますが、微生物を使う「アグロバクテリウム法」か化学装置を使う「パーティクルガン法」があります。
詳しく知りたい方は以下のリンクをご覧ください。
(バイテク情報普及協会 「遺伝子組み換え作物の開発」)
(3)遺伝子組み換え種子の作り方
(参考 スギ花粉症治療イネ(改変Cry j蓄積イネ, Oryza sativa L.)(OsCr11)の栽培)
(詳細は、農林水産技術会議 HP)
スギ花粉症の原因であるCry j 1というタンパク質とCry j 2というタンパク質にちょっと手を加えて変化させ、それを作り出す遺伝子を「コシヒカリ a123」の遺伝子に加える。この米を食べることにより食べた人の免疫がCry j 1というタンパク質とCry j 2というタンパク質を抗原として記憶するので、いざ花粉症の時期になってスギ花粉を吸い込んでも獲得免疫が働くので花粉症の症状を抑えられる。
さて、種プロメンバーもそうですが、私たちが遺伝子組み換え種子、作物を拒否する理由はなんでしょう?
地球環境や人体への悪影響、農業(食料)の支配といった視点では明らかです。
○農薬の使用が減るという触れ込みであったが、実際に
は農薬の使用量は増えており(セット農薬)、人体や
環境上の危険性が増加している。
○モンサントやデュポン等4社が遺伝子組み換え作物を
独占しており種子の支配と利益の独占を行っている。
そして、種プロメンバーの共通したもう一つの重要な視点は次のようなものでした。
「遺伝子組み換え作物は自然界では絶対に起きない交雑、例えば『植物の遺伝子に昆虫の遺伝子を加える』ことで作られた作物である。その自然では絶対生まれない作物を食べることは、今後人体にどんな影響が起きるか全く分からない」
「この想定できない危険性は、食べた本人でなく、その子ども、さらにその子どもになって現れていく可能性もある」
「だから遺伝子組み換え種子は使うべきではない」
ここまでがこの日の議論でした。
もう少し、突き詰めたいですね。
これだと、厚労省HPの以下の指摘に反論できません。
厚労省HPでは遺伝子組み換え作物の人体に与える影響についてこのように言っています。
「私たちの体では、食べたものが一度分解され、 用途に合わせて再構成されています。DNAも消化器官で分解されます」
「食品に由来するDNA上の遺伝子がそのまま吸収され、体内で作用したりすることはありません」
これはそのとおりだと思います。
ここからは、議論を踏まえた上で、おそらくこの日出席した種プロメンバーも同感できると思われる反論をしてこの記事を終えます。
例えば、フグの毒に当たるのはフグの遺伝子ではなくフグの遺伝子が作り出した毒です。
私たちは遺伝子が遺伝子に直接影響を与えるのではなく、その食品に含まれた物質が遺伝子に影響を与える可能性を懸念しています。
遺伝子組み換え作物においても、その危険性は作物の遺伝子ではなく、その遺伝子によって作り出された何らかの物質です。
遺伝子組み換え作物に含まれる成分によって人の健康上に悪影響が生まれ、例えば気づかないうちに何かのアレルギーを持ち、何かの要因によって突然それが発症するとか、内分泌撹乱化学部物質のように遺伝子を損傷したりしないかということです。
(参考:消費者庁HP 食品表示一元化検討会 遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン提出資料)
〈補足〉
遺伝子は消化されるといっても、例えば食べ物が中途半
端な消化で便と一緒に排出されることがあるように、遺
伝子にも消化しきれなかった場合もあると思います。
また、栄養素や毒素は血液によって運ばれ、細胞に取り
込まれていきます。
未消化の遺伝子が細胞に取り込まれることはないのか?
もしあったらどうなるのかはわかりません。
「遺伝子組み換え作物を食べても遺伝子組み換え人間に
はならない」なんていうのは当たり前のことで、そんなレ
ベルの心配をしているのではないのです。
親の遺伝子情報は子に伝わります。
例えば、アレルギーや免疫力の低下など好ましくない形に遺伝子が影響を受け、それが子に伝わりさらにその次の世代へと…。
実際に「化学物質によって体質が変わり、それが世代を超えて伝わっていく」、この可能性については研究が行われているのです。
以上が、「子どもから、その子どもへ」と心配する理由です。
ところで、遺伝子組み換えは農業だけで行われているわけではありません。
医療分野でも利用されており、子宮頸癌ワクチン、B型肝炎ワクチンは遺伝子組み換えワクチンです。
ワクチンがヒトの複雑な免疫システムを利用したものだということだと踏まえれば、そこに自然界にはないウイルスを送り込むということもなかなかリスクの高いことだと思います。
いずれにしろ、社会は遺伝子組み換え作物が開発されたときとは大きく変わっています。
25年間続けてきた「食べるの嫌だし、作っちゃダメだけど、外国から買ってくるのはいいよ」というご都合主義では、もうダメだと思います。
このままでは、少なくとも「子ども、その子ども」に対する責任を果たしたことにはならないでしょうね。
この記事は文中で紹介した他、以下を参考にして作成しました。
農林水産省 HP「生物多様性と遺伝子組み換え」
Akira Magazine HP 「細胞核・遺伝子・染色体・ゲノムのお話」
消費者庁 HP 知っていますか?遺伝子組み換え食品表示制度
毎日新聞HP 医療プレミア(無料記事部分) 世代を超えて伝わる「化学物質による体質変化」
KAKENN(研究概要紹介ページ) 環境化学物質の内分泌撹乱作用と遺伝毒性の発現機構