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種プロのブログ〜種あったね!

 種プロ(種プロジェクト)は「NPO法人 食の自給ネットワーク」の「種」をテーマにしたプロジェクトチームです。
 流通している野菜の多くは、規格がそろい、経済効率を求める市場に合うように作られた「F1種」です。一方、地域にはその風土に合って継承されてきた野菜があり「在来種」等といわれています。
 種プロは、在来種の栽培に取り組む農家との交流や、種に関する学習等を行っていきます。


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野菜を育ててみよう! 実はそんな手間じゃない その2 [2022年05月09日(Mon)]
 種プロジェクトの苫小牧の畑、「そこつファーム」で取り入れている不耕起栽培について少し説明しましょう。

 「畑をしてみたいけどめんどくさそう。

特に草取りが

と思っている人が読んでくれたらいいな。

 そこつファーム長である私は、外仕事が好きですが、めんどくさがりで細かな作業のレベルが他人より2ランクくらい落ちるという個性を持っています。
 また、そこつファームの従業員はファーム長のみです。

 故に…畑をするにあたって「したくない」ものが3つありました。
 「畑起こししたくない」「雑草取りしたくない」「虫取りしたくない」。
 
『だったら畑すんなよ』のレベルですが、畑はやりたい、でも面倒なことはしたくない 笑。

 欲しいものが一つありました。
 「従業員」

 「したくない」ことについては「なぜしなきゃならないのか?」という疑問も持ってもいました。

 「自然のままの森は地面をひっくり返さなくても豊か」
 「雑草も枯れれば落ち葉みたいなもの。土の栄養になるのではないか」
 「虫がいない自然環境はおかしい。いろんな生き物がいていいはず」

 ただ「ひっくり返さないと枯れた草とか肥料分が下にいかない。だから畑起こしは必要なのかなあ」とも思っていました。
 でも「生態系の基本を考えれば、畑にもいろんな虫や鳥が来た方がいい、だったら野菜の邪魔にならない程度に雑草はあった方がいい」というのは確信してました。
 
 そんな時に出会ったのがこの本。
 「家庭菜園の不耕起栽培」 水口文夫 著 農文協1999
hukoukisaibai.jpg
 
 この本には「土をフカフカにして豊かにしてくれるのは栽培物と雑草の根、ミミズの通り道と糞」「微生物の活躍による有機物の分解」とあり、そして「有機物はすきこむより、そのまま地面に置いておく。やがてそれが朽ちてミミズや虫、微生物によって分解され土中に入って土は上からだんだん良くなっていく(森と同じ)」とありました。
 私の疑問に100%答えてくれていました。

 なので、それ以来、私は畑起こしはしていません。
 ただし、畝の形がずっと同じというわけではありません。
 最初に、雑草削りをするので表面の土は動きますし、植えるものによって高畝や溝畝にしたりするので変わります。
 
 雑草は、野菜の背がまだ低かったり、雑草の勢力が強すぎたりすると抜きますが、根が土を良くするしグランドカバーの効果もあるのでそんなマメに取りません。
 雑草取りをしない代わりに、生えてにくくするために前年の植物の枯れたモノや雑草を刈り取ったモノを通路に敷いたり畝に撒いたりします。
 なので、キレイにしてる人から見ると「汚いなあ、ナマケモノだなあ」と思えるでしょうね。
 でも、雑草が適度に生えているといろんな虫の住処になります。
 害虫も生息しますが、枯れ草とかを敷いていると、そこは害虫を捕食するクモなどの隠れ家になります。
 害虫の存在は益虫を呼ぶことでもあ理、生態系は豊かになります。
 そして、そこに鳥も来て、庭は賑やかに…。
 
 通路に敷いた枯れた植物などは私が踏んで歩いて砕いていきます。
 私が歩いていない時は、ミミズが土から出てきて腐食した部分を食べてくれています。
 そうやって、通路の土は豊かになり、ミミズは畝に移動してそこで糞をして畝も豊かになっていきます。

 そういうわけで、私がしているのは…
 〈春 スタート〉
  崩れた畝の整地と雑草削り(雑草はまだ少ない)。
  去年の枯れた植物を通路に巻く。
  作物に合わせて畝の形を変える。
 〈夏〉
  たまに雑草抜き、雑草むしり。
  たまたま目についた害虫を捕まえる。
  収穫した作物の使わない部分は、通路や畝に置く。
 〈秋 ゴール〉
  収穫。
  枯れた茎や葉を通路にまとめておく。
  根っこはそのまま。(翌春まで残っていたら抜く)

 以上です。
 ホントは、雑草は、種をつける前に刈り取ってしまえばだんだんと減っていくんだけど、面倒なのでしてません。

 する仕事を増やすとファーム長は「粗忽者」なので失敗が多くなるし、やる気もなくなる 笑。

 まめに雑草取りをするのは、多くの消費者により良い品質で同じようなサイズを揃えてなるべく多く提供しないとならない農家さんの仕事。
 自分が食べるためなら、そんな気を遣う必要ない。
 連作障害も特に気にすることはない。
 ただ、多く植えるもの(うちだったら大豆)は、毎年動かした方がいいみたい。
 大豆にはコガネムシの仲間が来るみたいなんだよね。
 豆を食べるんじゃなくて、土中の幼虫が根っこを食う。
 たまに植えたものの近くに幼虫がいる時があって、そいつに根を食べられる時がある。
 なので、雑草含めいろんな植物の根っこがあると幼虫のターゲットになる確率が下がるので、あんまり雑草を抜かない方がいいわけです。

 いかがですか?

 やってみませんか?
 家庭菜園、ラクですよ。ましてや耕運機なんて要らないです。

 そういえば、欲しかった「従業員」も手に入りました。
 欲しかったのは害虫退治をしてくれる人だったので、それは主に「コモリグモ」さんが。
 いつもキビキビと地面を走り回ってくれています。
 春から秋の季節雇用です 笑。


【付記】
 4年に一度、畝の配置を大きく変えます。
 気分転換と全体の土のバランスを取るため。(何年に一度変えなくちゃならないなんてことはない)
 その時に、畑起こしと同じような作業をすることになりますが、通路だったところは硬くなっているもののの栄養は十分です。
野菜を育ててみよう! 実はそんな手間じゃない その1 [2022年05月06日(Fri)]
 何か一つでもいいから、野菜を育ててみませんか?

 例えば…もし一軒家に住んでいるなら、どっか地面の出ているところに一種類でも。
 空いてた地面が50p四方くらいでもOK。
 例えば、大豆(枝豆)。
 大豆なら、とりあえず大して良くない土でも育つ。
 とりあえず、ちょっとだけでも土を入れ替えて。
 砂利が残っていてもいいから。
 後は、少し肥料をあげておけば放っておいても、このスペースなら2本、育てられます。
 大豆はラク。
 最初の頃はたまに草取りをして。大豆のほうが背が高くなれば、放置していても構わない。
 8月下旬から9月には、美味しい枝豆を食べれます。
 収穫すぐの枝豆を茹でて食べたら、野菜売り場の枝豆は買えなくなりますよ!
 1つか2つしか豆が入ってない鞘が多かったり、豆が小さかったりするけれど、美味しさは格別です。
 葉っぱや茎は、乾かしてから土に戻します。茎はある程度細かくしてから。
 戻さないと、土から栄養を奪うだけになっちゃうからね。

 あ、種を撒いたら、ハトやカラスに撒いた豆や芽を食べられないように工夫が必要。
 私が一番簡単だと思うのは、あらかじめ透明の使い捨てプラコップ(大き目のもの)の底をくりぬいた物を用意しておき、それを撒いた部分に風で飛ばないように被せておくこと。
 芽を出して、本葉が開く頃(二葉が痩せたら)にはコップを外してOKです。

 同じくらいの広さ(狭さ? 笑)でも、土を入れ替えることができるなら、小松菜3株はいけるでしょう。
 ニンジンも間引きしながら6本くらい?
 大根なら2本?
 いずれも食べなかった部分は乾かして土に戻しましょう。

 草取り?
 そんなマメにやることないし、野菜がある程度大きくなったら不要です。
 野菜が日陰を作るようになれば雑草には負けません。.
 適度に雑草があった方がいいかも。
 野菜に付く害虫を退治してくれる益虫が来るかも。
 
 堆肥や肥料の匂いが気になる?
 売っている堆肥もちゃんとできているものは匂いがしないし、肥料もパラパラと撒いて水をかけるだけでいいものがあるし。これも臭くない。

 ゴボウもできるよ!
 10kgの肥料袋みたいなのを手に入れたら、上下を開いて、そこに土を入れて立てます。
 (地面も土であることが必要。少しだけ起こして土中に空気を入れておく)
 倒れないように周りを押さえて。
 そこにゴボウの種を2カ所か3カ所。
 ゴボウは袋の中の土を下に進んで育ちます。
 秋に採れたてのゴボウを食べたら「ゴボウってこんなに香り高いんだあ!」って驚きますよ。

 一軒家だけど場所がない、アパートやマンションだという人も…。
 プランターで枝豆、小松菜やシソ、パセリなどハーブ類を育てられます。
 ハーブの一種であるチャイブは花がかわいいけど、蕾がつく前は小ネギ(万能ネギ)と同じように使えます。
 あんまり日が当たらない場所ならミツバ !
 売ってるミツバとは香りが違う!!

 どうにも、日本の「食」の先行きが不安です。
 それは「自給率」だけではなく「安全性」「食品廃棄」も含みます。
 これらの問題の根幹には「食べ物がどうやってできるのかを経験していない」ということが共通してあると思うんですよね。 
 これは野菜だけではなく、畜産等にも共通すると思います。

 自分で野菜を育てることは、自給自足の第一歩で、生物との関わりを知る第一歩。
 この次のステップが地産地消で、その次が地域連携です。
 そしてそれは国家間のやり取り(貿易)を考える基礎になっていく…。
 これは「食料自給」に関係しますね。

 生物との関わりという視点で見れば、野菜を育てる中で、野菜には私(ヒト)の他にいろんな微生物や虫が関わっていることを知ります。その学びが、私と微生物や虫、その他小さな生き物との関わりを考える基礎になっていきます。(健康を考える上でも基礎にもなります)
 これは「安全性」に関係しますね。
 ※これについては、本当はスペースが広いほどいいんですが。

 そして、自分が大切に育てた野菜をどういただくか。
 これが大きな視点になれば農家や漁師がもたらす自然から恵みをどういただくか。
 その基礎にもなっていく。
 これは「食品廃棄」に関係しますね。
 
 親子でやってみるのはもちろんですが、大人一人でもやってみて欲しい。
 あなたを、さらに向上させることにつながると思います。

 ぜひ!!
何で大豆栽培をしようと思ったのか [2020年10月15日(Thu)]
 私(苫小牧)の庭のミニトマト。

F2minitomato.jpg 

 去年栽培したミニトマトの落ちたものの種から発芽したもの。
 9月中旬に撮影したもの。
 苫小牧は気温が低いので、この時期でやっとここまで。
 甘くないです。
 昔のトマトの味がします。

 さて、なぜ、大豆の栽培に取り組んだのか、ちょっと説明しますね。
 
 種プロの母体は、食の自給ネットワーク。
 会員区分を見ると団体会員、消費者会員、生産者会員、流通・加工業者会員、道外会員となっています。
 ところで「消費者」って何なんでしょう?
 「消費者」を広辞苑で調べると「物資を消費する人生産者」とあります。
 「消費者」とは「生産されたものを費やして(食べて、使って等)無くす人」であり、「産み出す人」じゃないんですね。
 環境問題が大きく取り上げられていた頃「グリーンコンシューマー(Green - Consumer)=環境に優しい消費者になろう」という運動がありました。何を買うべきかよく考えて選択し、そのことによって社会を変えていく(環境に配慮した社会を創りだす)賢い消費者になろうというものでした。
 これは、「費やす人」が「産み出す人にもなろう」とするものでした。
 今も変わらず大切な思想だと思いますが、これは直接自分が何かを産み出すわけではなく、あくまでも「消費者」という範疇で行うことでしかないという限界がありました。

 私は、20年くらい前、2年ほど初夏から晩秋にかけて大体毎週土日に厚真の大きな農家に手伝いに行っていた事があります。
 それまで知識しかない消費者だった私は、初めて自分と生産現場との関係を具体的に感じる事ができました。「作る」ってホントに大変だなあって想いました。

 販売されている種の袋の裏面を見てください。日本のメーカーが自身の所有する種を海外で交配させたのか、海外のメーカーの種子を買ってそこで交配させているのかはわからないけれど、野菜の種のほとんどが海外で生産されています。
 種子法廃止や海外で起きている種に関する問題を見ていると、私たちの食べ物が、ある巨大な企業に支配される(統制下に置かれる)、それは非現実的なことではないと思えます。
 その社会は、消費者が選択できない社会、すなわち賢い消費者など存在できない社会というものです。
 こういう社会の出現を防ぐには、私たちが消費者の反対の面、すなわち「作る」という面も持つ事が必要だと思うのです。作物でなくても構いません、例えば樹木でも。
 加工品を利用してつくる(作る)のではなく、一からつくり(創り)出すのです。

 そもそも、食べられている野菜の多くは、野生のものを人が長い時間をかけて人間が自身に都合の良いように改良してきたもの。そもそも種は、誰のものでもなく、公共物(コモンズ)だったのだと思うのです。
 より、美味しく、よりたくさん収穫できる品種を開発した人の権利は認めますが、公共物という一面は永遠に消えないものだと思います。「水」と同じように。

 私たちが、一つでもいいから何かを栽培し、それをみんなで共有し交換する事ができたら、それは決して専業農家に脅威を与えるものではないし、むしろ生産現場のことを理解することにつながると思います。
 そして、巨大企業が手を出せない、地方の風土に根ざした公共財としての種を産み出すことになります。
 自給ネットで育てられた種が、会員によって地域を超えて広がり、時代を超えて広がっていったら。
 そんなことを考えて、大豆を栽培してみました。

 
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