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種プロのブログ〜種あったね!

 種プロ(種プロジェクト)は「NPO法人 食の自給ネットワーク」の「種」をテーマにしたプロジェクトチームです。
 流通している野菜の多くは、規格がそろい、経済効率を求める市場に合うように作られた「F1種」です。一方、地域にはその風土に合って継承されてきた野菜があり「在来種」等といわれています。
 種プロは、在来種の栽培に取り組む農家との交流や、種に関する学習等を行っていきます。


種苗法改正で考える食と農〜公共財と知的財産権の側面から [2023年01月13日(Fri)]
 更新が遅れました〜。

 去年10月1日に行われた学習会の様子をチラッと紹介します。

 講師は酪農学園大学農食環境学群准教授の正木 卓さん。

 種苗法改正の背景からその影響、そしてそもそも「種は誰のものなんだろう」ということまで分かりやすく説明していただきました。

 そもそも種苗法とは、品種登録制度と指定種苗制度の2本を柱とした法律です。

 品種登録制度とは、企業や国、自治体等、新たな品種を開発した者の権利や利益を守る制度。
 農林水産省に登録された登録品種には一定期間の育成者権が認められ、その品種の種や苗の増殖、販売、譲渡、輸出入をする場合は育成者から許可を貰わなくてはならないというものです。
 簡単に言うと「種は誰もが自由に使えるものではなく、開発した人のもの」ということです。

 指定品種制度とは、農林水産大臣が指定した特定の種苗を販売する際に、原則としてその包装等に一定の事項を表示する制度。農家には農薬の使用回数を遵守する義務があるため、種苗生産者から農家に対して農薬使用についての情報を伝達することが必要になった。具体的には、種苗についての農薬使用履歴(食用農作物の種苗等に対して使用した農薬の有効成分名、回数等)を明らかにすることです。

 今回の学習会のテーマは品種登録制度で、ずばり「種(や種苗)は誰のものなのか」ということでした。

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 この2020年の種苗法改正のメインは「品種開発者の権利の保護」だということは誰もが理解しています。
 そして、そのことについて「国際標準にあったもの」だという評価がありますが、講師の正木さんは必ずしもそうではない、逆行している部分もあると言います。

 さて、それは何か。

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 ここでは種プロとして、種苗法改正に感じる疑問点を挙げておきます。
 この記事を読んでくださった方、それぞれで考えていただければと思います。

疑問その1
  これまで長い時間をかけて国やメーカが行ってきた品種改良が、大資本によって金と規模を生
 かして行われた場合太刀打ちするのは難しい。その場合、タネは独占され、それにあった農薬の
 購入を求められるなど、育てる人、食べる人が支配されるのではないか。(実際に起きた)

疑問その2
  生物には突然変異が起きる。自然界で生まれた品種または農家が登録品種ではない品種を自家
 採種している中で生まれたものが、すでに登録品種されたものと同じ特徴を持つ場合、それを区
 別できるのか。

疑問その3
  日本で開発された品種の海外流出が大きな注目を浴び、この品種登録制度がそれを防ぐのに役
 立つというが、それが一定の効果があったとしても、それと日本の農家の自家増殖(採種または
 苗木で増やす)を禁止することに直接の関係がないと思われる。

疑問その4
  品種開発への努力の価値を認めることは必要だと思う。しかし、そもそも「『生き物の種』に
 所有者があるのか?」という視点が必要だと思う。品種改良は公共の福祉が目的であって、努力
 への称賛はその範囲を超えてはいけないのではないか?


 従来、公共のものと考えられていたものが「技術j開発による権利」の名の下にどんどん大企業に独占されています。
 
 種を守ること、農水産物を十分に国内で生産することを、「公共」の視点であらためて考えてみませんか?
 とても大切なことだと思います。
【種子についての公開学習会2022の最新記事】
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