提言⒎ 介護保険 [2017年10月31日(Tue)]
提言 7
2)「共生社会」を目指すために わたしたちが目指す「共生社会」とは、「どこでも、だれでも、いつでも助け合いがある」そして、「困ったことが解決される」状況を指す。骨格になるのは、制度によるサービスだが、それを包み込むように大量のインフォーマルサービスがあり、こうしたサービス提供に誰でも参加できるということだ。人間を「助ける人」「助けられる人」という二分類しない考えである。インクルージョン(包摂)の社会といってもよい。 サービスの範囲でいえば、ニーズのあるところにサービスがあるということだが、医療や介護の世界では対象にならない人々を区別しがちだが、この対象に入らない人々にもゼロ次予防、健康推進のサービスが戦略的に必要である。そのためには、専門家ではない、「きずな」に気付いている大量の普通の人々の参加が必須となる。 この人たちの協力を得ていくためには前段があって、まずは既成の組織にいる人たちは協同の意味を実感する先進者であって、その人々の理解を得なければならない。 組織はまず助け合い・ボランティアとして漠として始まる。それが発展し、協同組合として組織機能を持っていく。労働組合もここに入る。そして、順次経営機能を持つ。そして、ネットワーク組織とマネジメント機能をあわせ持つ。あとは、これが専門的な全国組織と地域への広がりをみせる。次に、この広範な組織に飽き足らない人たちが個人で集まり各種事業体・NPOなどをつくることになる。 こうした経路をへて、ボランティア団体・NPO等、次には生協・農協ボランティアグループ、介護事業所、ワーカーズコレクティブなどが出来あがる。また、労働組合においては「労働者福祉協議会」という福祉専門部が存在するだけではなく、福祉金融機関である労働金庫、国民共済などを実施する全国労働者共済生活協同組合連合会(全労済)ができてきている。また、労働組合にはそれぞれに「退職者協会」があり、その全国協議会がある。これらの総数は5000万人に達するであろう。この数は国民総数の半数近くである。こうした意味では日本は組織化の極めて進んだ近代国家となっている。この良い方の特性を活用しない手はない。 これ以外に、既存の地縁型組織である自治会・町内会、老人クラブなどもある。 現在のところ「共生社会」は、上からの掛け声に終わっており、こうした下からの組織化には手が付けられていない。わたしたち、介護系NPOもその一員であり、この役割の一端を担う。 |
Posted by
田中尚輝
at 14:55