現在総務省が「消防法施行規則の一部を改正する省令(案)等に対する意見募集」を実施中(1/30まで)。 →
クリック これは昨年12/9まで募集していた同「政令案」への意見募集に続くもの。この中で障害者グループホームへのスプリンクラー設置義務の強化が進められようとしている。
参考:障害者グループホームへのスプリンクラー設置義務強化へ。省令案への意見募集中(1/30まで)。→
クリック案の内容はとてもわかりにくいが、従来スプリンクラーの設置義務がなかった小規模のグループホームにもその義務を課している。
グループホームは障害者が地域で自立生活を送る重要な社会資源として広がりを見せ、制度化されてからは地域移行の要としても大きな実績を挙げている。
複数の障害者がそこで暮らしているが、その人数は10人以下が基本。地域の中に溶け込む生活の場として違和感のない住居であり、入居者も4〜5人程度のところも多い。
一戸建ての持ち家のホームもあるが、借家や集合住宅の一部を借りているホームも多い。
障害者が地域生活をするとき、住む場所の確保は今でもとても困難な課題。個室の確保ができるか?交通の便はいいか?生活上必要な社会資源が身近にあるか?仕事や日中活動に行きやすいか?必要な支援は受けやすいか?地域の理解は??…そして安全面ももちろん大切な課題。
それらを総合的に判断して、ようやく作れるのがグループホーム。
今回意見募集もしている「消防法施行規則」改正は、重度障害者の入居する小規模のグループホームにもスプリンクラーの設置を義務付けていくもの。
防火上の安全性を高めるという点では異論の余地がないように感じる方が多いかもしれませんが、ちょっと待ってほしい。
このまま政省令がきまり、進んでいくと、障害者のグループホーム、地域生活の基盤整備にとっては大打撃となります。
まず、グループホームは障害があり、支援が必要であっても地域でふつうに暮らせるための生活の場です。
集団の暮らしなので、共用スペースや個室の確保等は当然必要ですが、入居者4〜5人がそれぞれ必要な支援を受けながら地域の他の住民の方と同様に日常生活を送る場です。小規模であり、支援が充実していることが特徴といえます。
参考「大阪障害者自立セミナー2013 午後の施設分科会「大規模グループホームは何が問題か?」より→
クリック 重度障害者が入居している場合、日常的に支援スタッフが常駐し、防災や防犯への備えもできる限り行われています。防火訓練にも当然取り組み、避難方法も決められています。スプリンクラーの効果を否定するものではありませんが、このような安全対策を入居者・支援者共に行っている小規模なグループホームに義務化するのは、あまりにも過度な負担となります。
様々な防火への努力をこれまでもしているにもかかわらず、グループホーム以外の地域住民と比べ、格段に重い義務が課される事になります。莫大な費用がかかります。借家の場合、家主さんの許可が必要です。構造的に設置しにくい建物であることが普通です。集合住宅では、グループホーム以外の居室にも設置しなければならず、さらに大きな負担となります。
参考:負担増で運営に影響も 知的障害者施設スプリンクラー義務化 →
クリック普通の暮らしの場としてのグループホームがこれからは今まで以上に作りにくくなってします。これまでグループホームを営んできたところも、転居や廃止を余儀なくされることになります。
グループホームの防火対策については「スプリンクラー」以外でも改善できるところはあるはずですし、実際取り組まれているところもあります。
グループホームだけに過度な義務・負担をかけることは、障害者の地域生活を奪い、障害を持ったら暮らせない地域を作っていくことにつながります。
大阪では重度障害者のグループホームが多く、今回の案のまま設置が義務化されると大きな混乱につながる。住まいを奪われかねないことにつながる重要性をもっとわかってほしいと思います。
検討会でも拙速な結論に警鐘が鳴らされている中、また、各地でグループホームで暮らしている人の実態にも十分即さない内容のままどんどん決められていくことは問題です。
参考:障害者施設等火災対策検討部会→
クリックまとまりませんが、とり急ぎアップしました。
どうか皆さんからも、このまま政省令を決めていくことについて反対の声を挙げていただきたいと思います。
もちろん安全対策は大切なので、有効な代替案があれば、そちらもぜひお願いします。
参考:はたして「スプリンクラーがあればよかった」のか? →
クリックグループホームとスプリンクラーのやっかいな関係について→
クリック【消防法施行令の一部を改正する政令(案)等についての御意見の概要及び御意見に対する考え方】→
クリック意見はこちらから応募できます。資料もご覧になれます。
消防法施行規則の一部を改正する省令(案)等に対する意見募集
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