燕市長善館史料館館長・吉田勝先生のご紹介で、日本医科大学医史学教育研究会委員・唐沢信安先生のご自宅へお招きいただきました。
唐沢先生は、東京で唐沢内科医院の名誉院長を務められています。
先生はこの日のために、学会発表の準備を中断されて資料集を作成してくださいました。
未発表史料であるために、先生の学会発表が済むまではお見せできないのが残念なのですが、それはもう立派な一冊なのです!
マンガ制作にとっての最高の助けになりました、大変有り難いことです。
それを用いて、先生とマンツーマンの「授業」が始まりました。ブログ管理人は大緊張しましたが、何とも贅沢な時間です。
唐沢先生が長年の研究の上で語られる長谷川泰のバックボーンと人物観は、いちいち得心の行くもので大変楽しい時間でした。
(しかし掘れば掘るほど掴みどころが無くなるというのが長谷川泰の魅力だと!)
考えてみれば、一人の過去の人物について、世代も環境も異にした初対面の者同士が長時間盛り上がるというのは、非常に面白い状態です・・・これが歴史語りの魅力ですね。
唐沢信安先生ご自身のお話も聞かせていただきました。
若かりし日の苦学の経験談は、済生学舎と長谷川泰自身を思わせるものがあり、大変心に迫るものです。先生の長谷川泰への強い愛着が頷けます。
唐沢先生の研究に見る長谷川泰のリアリティは、そんなところから来るのだと感じました。
そして、長谷川泰を語る会の活動についてのアドバイスとして、先人の文章そのままのコピーではいけない、マンガは作る者の言葉で描きなさいとのご指導をいただきました。
長谷川泰のふるさとの者ならではの顕彰が出来るよう、会の活動に活かして行きます。
長岡郷土史に連載をされていた頃の長谷川泰行さんや稲川明雄先生との思い出話をしつつ、午後からは、済生学舎を起源とする日本医科大学へ移動。
日本医科大学・橘桜会館の敷地は、文豪・夏目漱石の邸宅跡にあたり、あの有名な名前の無い猫がお出迎えです。
済生学舎で細菌学を深めた野口英世も、学内から尊敬を集めています。
橘桜会館の貴重な展示史料を、唐沢先生の頼もしい同志である日本医科大学中央図書館事務室長・殿崎正明先生からご説明いただきます。
また、特別にお計らいをいただき、図書館所蔵の一次史料を閲覧することができました。
webでの公開は控えさせていただきますが、それはもうたいへんな研究成果です。
史料のすべてが、唐沢先生が25年以上にわたり収集された物からの寄贈だそうです。
上の写真はロビーの展示史料です。嬉しいことに、良寛、河井継之助と長谷川泰との関わりも紹介されています。長岡の郷土史関係者には一度のお越しをお薦めします。
こうして学校のルーツを研究・顕彰することが、そこで学ぶ学生たちの誇りを支えているのだと強く実感しました。
実際に、学校紹介で起源が済生学舎だと明示したところ、受験者数が増加し学生の力も向上したと、唐沢先生は誇らし気にお話されていました。
--郷土史を顕彰し、郷土愛を育むことは、地域の教育にとっても同じ効果をもたらすのではないでしょうか。
--そして「済生救民」の校風を受け継ぐ医学生の皆さんにも、長谷川泰校長の故郷からメッセージを送れたら嬉しいと思います。
大学前で唐沢先生と記念撮影。
『since1876』とは、起源が済生学舎の開校にさかのぼる事を意味します。
唐沢信安先生、殿崎正明先生、そして唐沢先生の奥様、この度はお忙しい中をありがとうございました!
新事実も数々判明した、実り多い旅になりました。
日本医科大学同窓会
http://nmsa.jp/