こんにちは。スタッフの川口です。
毎週火曜日は、市民活動のお役立ち情報をお届けしています。
今週は東京・墨田区千歳のランドリーカフェ「喫茶ランドリー」を運営する田中元子さん(建築コミュニケーター/ライター)のお話しを聞いてきたので紹介します。
みなさんはサードプレイスという言葉を聞いたことがありますか?
家でも職場・学校でもない、もうひとつの場所。私もそんな意味で使っていました。
「Third place(サードプレイス)」という言葉は、アメリカの社会学者オールデンバーグによるもので、1989年出版の『The Great Good Place』の中でサードプレイスについて述べられています。
2001年に出版された『Celebrating the Third Place』には、サードプレイスに共通する8カ条が書かれています。
□1.個人が思いのまま出入りができ、もてなすことを要求されず、
全員が心地良くくつろぐことができる中立地帯としてある
□2.会員等アクセスに制限がなく、あまねく人々が入ることができる
□3.会話が楽しく、活気で満ちている
□4.アクセスがしやすく、中にいる人々が協調的である
□5.常に「新参者」を快く受け容れる「常連」がいて、
いつも心地良い空気をつくる
□6.日常に溶け込む簡素な外観(デザイン)をしている
□7.明るく遊び場的な雰囲気を持っている
□8.もうひとつの家、リビング、家族的な存在である
これは公園でも地元の喫茶店でもどんな場所でも構いません。オールデンバーグさんが、心地よいサードプレイスを観察しての条件がこれだったそうです。
喫茶ランドリーは、だれでも来ることができるというコンセプトとして、男性、高齢者でも抵抗なく来られるようなデザインにこだわったそうです。それはまちの喫茶店やスナックのような、どこにでもあるデザインです。
そこは、来た人が自由に考え、潜在能力を引き出すことのできる空間であり、集まる人がやりたいことをやれる言葉がけや雰囲気を作っているそうです。その仕掛けのひとつがミシンだったそうです。
はじめはまちの家事室をつくろうとお店に置いたミシンが呼び水となり、ミシンで楽しいことしたい人が集まりだして、次はうたをうたいたい人が来て…、主催者が主催せずともイベントが2018年1月のグランドオープンから100以上生まれたことが自慢であると田中さんは語っていました。
さて、「だれもが自由にくつろげる空間とは」の「だれも」って、誰のことでしょうか。
「だれも」とは、どんな人もという意味ではなく、一人の人を指しているそうです。人にはいろいろな場面があり、一人でいたいときも、だれかとおしゃべりしたいときもあります。多様な場面で、どんなモードでも受け入れられる空間こそが、「だれもが自由にくつろげる空間」ということだそうです。
さらっと紹介してしまいましたが、田中さんの喫茶ランドリーはコミュニティが目的ではないそうです。目的は世界平和!この場所からできていく世界に興味があるそうです。そこは自由で、多様で、許容する場所。そんな場所がたくさん生まれたら、世界もきっと平和に近づけると感じました。
みなさんのサードプレイス、ぜひおしえてください!
詳しく知りたい方はこちら⇒
○田中さんが代表を務める潟Oランドレベルが事業として喫茶ランドリーを運営しています http://glevel.jp/
○喫茶ランドリーのHP
http://kissalaundry.com/index2.html
○MEMO
喫茶ランドリーは、「2018グッドデザイン賞ベスト100」に選出され、さらに「2018グッドデザイン特別賞」である「グッドフォーカス[地域社会デザイン]賞」を受賞。地域社会の持続的発展や経済の活性化に特に寄与するデザインとして表彰されています。
2018年、リノベーション・オブ・ザ・イヤー2018 無差別級部門最優秀賞を受賞。
○たがさぽ文庫で貸出できます!
オールデンバーグ『サードプレイス コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」』