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こんにちは。スタッフのあさのです。 マイノリティの「つながらない権利」 ひとりでも生存できる社会のために
発 行:2025年1月15日 近年、コミュニケーション能力という言葉の解釈が広がりつつあります。「話す」、「聞く」などに加え、「空気を読む」といった周りの雰囲気を感じ取る能力まで多岐にわたります。 本書は、世の中でポジティブに捉えられているコミュニケーション能力、ネットワーク、つながりといった言葉を著者の視点で別の角度から見つめなおした一冊です。 〇有益な情報を得る手段 著者の雁屋さんは、昔から人と話すことが得意ではなく交流も限定していたそうですが、学業や趣味に没頭していたため「人間関係は気にならなかった」と振り返っています。そんな雁屋さんが他者とのコミュニケーションを考えるようになったのは、アルビノ、弱視、ASD、うつ病、セクシャルマイノリティといった自身のマイノリティ性に関係しています。 マイノリティ性のある人にとって、どのような進学や就職の選択肢があるのか、日常の助けになるアイテム、病院の評判などは必要不可欠な情報です。雁屋さんがこれらの有益な情報を初めて得ることができたのは、大学生になって参加した当事者の会でのこと。当事者との交流は楽しむことができたけれども、「マイノリティ性のある自分が生きるための情報を、当事者コミュニティの中でしか得られない現実に愕然とした」と言います。当事者の会でもコミュニケーション能力がネックになり、自力で会話を広げて情報を共有してもらうことの難しさを痛感させられました。「書いた方がずっとうまく伝わる」と思い直した雁屋さんはライターの道へ進むことを決意したそうです。 〇「つながらない権利」 マイノリティは「つながらない」を選べない。そうすると生活の質が下がるから仕方なく「つながる」を選んでいる人がいることを忘れて、手放しで「つながる」を称賛していいのだろうかと雁屋さんは疑問を投げかけています。 人と人のつながり方には、グラデーションがあると言います。生活していく上で他者との関りは避けて通れないのならば、適度な距離感で付き合うこともできる。必要な情報へのアクセスに不利が生じないこと、どのように生きるか自己決定できるマイノリティの「つながらない権利」を世の中に伝えたいと雁屋さんは本書を書き上げました。 コミュニケーション能力があらゆる場面で影響力をもつ社会だからこそ、不得手な人を置き去りにしないために私たちにできることを考えたいとこの本を読んで改めて感じました。 こちらは「たがさぽ文庫」新刊図書のコーナーにあります。当事者、経験者、支援者などさまざまな立場の方におすすめの一冊です。ぜひお手に取ってご覧ください。 |




