こんにちは。スタッフの浅野です。 毎週土曜日は市民活動のお役立ち情報をお届けします。本日はスタッフによるブックレビューです。 僕たちはヒーローになれなかった。
発 行:2019年11月27日 著者の葉田甲太さんは、子どもの頃から国境なき医師団に憧れ医師を志すようになったそうです。 葉田さんが大学2年生のとき人生に転機が訪れます。「150万あればカンボジアに小学校が建つ」というポスターを見たことがきっかけでカンボジアのコンポントム州に小学校を建設します。そのストーリーを綴ったノンフィクション小説『僕たちは世界を変えることができない』は2011年に映画化されています。 大学卒業後、臨床医として日本で多忙な日々を送っていた葉田さんは、支援を続けていたカンボジアで生まれたばかりの赤ちゃんを亡くして悲しむお母さんの姿を目の当たりにします。 やがて「子どもの頃の自分が憧れたヒーローとは何だったのか」と自問自答するようになり、本当にやりたかったことに向けて一歩踏み出す決心をします。 〇メッセージ 本書では、葉田さんとスーダンでNPO活動をしている先輩医師との出会いや現地の人との友好を通して「困っている人を笑顔にしたい」と改めて決意し、カンボジアの僻地に新しい保健センター(病院)を建てるまでの軌跡が綴られています。そして、カンボジアの現状を遠い国の問題ではなく、自分事として当事者に寄り添う気持ちや人前では語りづらいはずの医師としての迷いや無力さなども率直に綴られています。 なかなか変えられない現実と自分の限界を知ってもなお「行動を止めない」という選択をした葉田さんの姿からは「ひとりの力は小さくてもみんなの力を合わせれば世界を変えることができるかもしれない」というメッセージが伝わってきます。 私たちの周りを見渡してみても「困っている人を助けたい」「自分の夢をかなえる活動をしたい」と考えてNPOを立ち上げる方は年々増えてきていますし、まちづくりや防災といった身近なボランティア活動への関心も高まっています。 この本は、たがさぽ文庫「A6ボランティア」のコーナーにあります。春から新しく何かを始めたい人や人生の岐路に立っているという人におすすめの一冊です。ぜひお手に取ってご覧ください。 |