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【ブックレビュー】わたしの心の街には おこるちゃんがいる [2023年05月20日(Sat)]
こんにちは たがさぽスタッフおおともです。
今回はたがさぽ文庫(たがさぽの貸し出し図書)の中からおススメの一冊をご紹介いたします。


子ども当事者研究
わたしの心の街には おこるちゃんがいる


著者:子ども・子育て当事者研究ネットワーク
発行:株式会社コトノネ生活業者
発行日:2022年3月11日


この本は大人がこどもたちに対して気を付けなければならないことを教えてくれます。
7歳から14歳までのこどもたちが、自分の困りごとに対する「自分の気持ち」や「家族」のこと、「学校」のこと、「自分の体のこと」に対して当事者研究を行った結果が7例紹介されています。
「当事者研究」とは、こども自身が自分の困りごとに対して、自分の心の中を見つめ、色々な感情があることを見つけていくものです。そして、自分の心の中にはいろんな感じ方を持ったキャラクターが居ることに気がつき、様々な考えを持った人々が住んでいる街のようなイメージで、自分の心の中の感情を感じ取り文字化してゆく作業をしていきます。その結果どうしていくとよいか、対策を講じて実践していく、というものになります。

一例を紹介しますと、研究歴6年7歳の笹渕みどりさんの「お母さんと遊び足りない」の研究では、シングルマザーのお母さんが娘のみどりさんと一緒に、お互いの本心を言葉にして書き、向き合って進めた研究が掲載されています。
大人が今の気持ちを感じ取り文字化するという作業は、実はとても難しくはないでしょうか?この親子はお互いに今どうやったら寄り添えるかを考え、ことばにして真摯に策を講じてゆきます。
結果的にみどりさんは、「研究のもっともっとその後(今)」として、以下のように結んでいます。
  ”今は、当事者研究はしたくないし、嫌い。
  なんかしつこく声をかけられる。
  時間が長いのがつらい。
  短いのなら、いい。”(本書P.37)

大人はつい、「こどもにとっていいだろう」と思い込んでいろいろとやらせてしまうところがあります。こども自身の心地よさや、こどもが本当は嫌だと思っているけれど「嫌だ」を飲み込んで受け入れてくれていることを感じとったり、無意識のうちに相談したり了解も取らずにこどもに強制したりします。でも当事者研究はそういうものではないそうです。
そこでふんばって遊びの世界を守る、こどもたちの鮮やかな発想力、懐の深さを学ばせてもらえる一冊と感じました。

ノート2(開)只今たがさぽでは、入り口側のスペースで「たがさぽ新刊本」のコーナーを設置し、新刊を6冊展示してご紹介しています。ぜひお手に取ってご覧ください。

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