スタッフの川口です。
1月22日にオンライン開催しました「Tagajo Sustainable Relationship 会議 2020」。6つの地域課題の現状を共有し、ゲストの筧裕介さんと考えていきました。
→前回のブログ
https://blog.canpan.info/tagasapo/archive/2907
今回紹介するのは、「ユニバーサルなまち」。
私たちが暮らすまちは、障害があっても暮らしやすいまちかどうか。障害のあることで差別がないかどうかなど、考えていきます。多賀城視覚障害者福祉協会の佐藤広一さんにお話ししていただきました。
オンラインで開催しました
―多賀城視覚障害者福祉協会はどんな活動をしていますか?
佐藤「多賀城と七ヶ浜町の障害者手帳を持っている人で構成しています。IT機器の講習やスポーツ、体を動かすことが少ないので音が出るスポーツ、歩行、旅行会などもしています。視覚障害者の生活の場で、必要なことを一緒に学んだりという活動をしています」
―みなさんに知ってほしいこと、困りごとを教えてください
佐藤「白杖をついて歩いている姿を見るだけでは、行動が制限されることの意味がわからないと思います。視覚障害者は情報障害です。人は8割が視覚的に情報を得ていますが、そこを私たちはとることができません。みなさんもどういう風に私たちに働きかけたらよいかわからないと思います。まず出会ったら声をかけてほしいと思います」
―声のかけ方で皆さんが暮らしやすいまちになりますね。
佐藤「〈あちら〉と言われてもあちらがどちらかわからないし、一度触って確認できないと状況把握ができません。店に行って買い物に行っても、欲しい物がどこにあるかわかりません」
―情報を発信の仕方、表現の仕方、情報の伝え方など参考になる事例はありますか?
筧「視覚障害のプロジェクトはやってないませんが、認知症の方のプロジェクトを行っています。どういう状況でどう困っているかが周囲がわからないのが課題です。どう困るかをきっちり伝えていくかがこの領域では大切であると感じています」
―なるほど。佐藤さんは視覚障害者の声を集めて届ける活動もしていると聞いていますが。
佐藤「IT時代で健常者はどんどん便利になっていますが、私たち視覚障害者はタッチパネルでATM、券売機が使えなくなっています。私たちは少数派であるので、要望を伝えると何人が利用しますかと言われることがあります。良かれと思って作られたものが、障害者にとって圧倒的に使えないものも多いです。障害者の基準に合わせることも必要だと感じます」
―認知症の方のサポートの仕方との共通点。少数派の人たちの声の届け方のヒントはありますか?
筧「認知症の領域で、インフラを担う企業にとってインフラを整えているようで、不便を感じている人も多いです。企業にとっても障害のある人にとって考えることは、健常者にも便利になると思う。こういう考え方に変えていくことで、より多くの一般の方にとってもプラスになるということだと思います。」
佐藤「私たちも働きかけをしているが、障害者の人のことを決めるときに障害者抜きで決めないでほしいと言っています」
―基本的なことで使う立場の人の声を聞くことが大切なのかなと思いました。ありがとうございました。
この後の交流会では、車いすユーザーの方や自治会役員の方も参加し、車いすユーザーにとっても同じように不便を感じている点などの共通点が話にでました。障害のある私たちから「お互いさま」って言えるような地域になれるといいなという感想もありました。
ほかに防災視点で要支援者である自分たちは、地域で忘れられていないか、本当に声がえしてくれるのだろうかという切実なお話もありました。東日本大震災では視覚障害者の方の被害も多かったとのことでした。今、一度一緒にまちに暮らす人たちのことを考えるきっかけになるとよいなと思いました。
■参加者からの感想を紹介します
「困りごとを訴える人の数は少なくても、結局は多くの人の利益になりえるということ」
「地元における具体的な問題と、地道な活動状況を知ることができた」
「まずは、あまり深く考えた事がなかった事をあらためて具体的に考えさせられた事」
「どのテーマでも、少数派になってしまう人たちの困り感に寄り添うことはこれからの世の中にとって大切で、私たちの生活ももっと良くなる可能性を秘めていると感じました」
「困った事があると、つい1つの問題ばかり注目してしまいますが、他のいろいろな問題と 繋がっていて、いろんな角度から見ることで解決策が見えてくるかもしれませんね!」
「障害や病気など、社会で生活する上で生きづらさを抱えている方々の苦悩や思いを聴くことができました。どのテーマについても、地域との連携が重要であり、より多くの住民の障害や課題についての認知度を向上させていくことが大事であると感じました」
「観光案内サインの制作などUDに関わる仕事をしているが、とかく健常者内(日本人と外国人)だけの利便性だけで考えがちな点を反省すべきと、佐藤会長のお話しを聞いて感じた」
「視覚障害者の方のお話から、困っている方がいるだろう気づいても、具体的にどんな困りごとがあるの、どんな手助けを必要としているのか、知らないことがたくさんあり、また知る機会が少ないということ」
「直接取り組んでいる方の苦労、知る社会的になかなか認知されない現状、ケア(援助)が十分得られない現状を知ることができた」
「人の情報の80%が視覚から得るものであるということ」
「見かけたら声を掛けて手伝って欲しい」と言ってくださったのが良かった。「どうしたらいいのか分からない」という人もいると思うし、自分もこれからは声を掛けさせて頂こうと思えた」
「視覚障害者にとっての今の便利さは不便さへ向かっているという内容の話も、私自身便利さに慣れて障害のある方への配慮を忘れていたことを反省しました」
「視覚障害者福祉協会佐藤さんの〈社会が便利になればなるほど視覚障害者は不便になる〉という一言。後日、駅構内で視覚障害者向けの音声案内が聞けるQRコードが導入されたというニュースを聞き、まさにこのことでは?と思いました」
次回は「貧困・孤立・フードロス」についてご紹介します!