こんにちは。スタッフの浅野です。 〇感覚過敏とは? 著者の加藤路瑛さんは感覚過敏の当事者として活動をしている現役の高校生です。 加藤さんが初めて「感覚過敏」という言葉を知ったのは、中学1年生の夏でした。 休み時間になりクラスが賑やかになると、甲高い声が耳に突き刺さり、頭痛がしてきて保健室に駆け込むことが多くなりました。 先生とつらくなる原因を探るなかで、感覚過敏について調べてみるとその症状の多くが自分に当てはまりました。 感覚過敏とは、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚などの感覚が過敏になり、日常生活が困難になる状態のことです。 加藤さんはこのとき「自分が弱虫なのか神経質なのか」「なぜ人と同じようにできないのだろう」などずっと抱えていた違和感の答えにたどり着いた気がしたそうです。 〇カビンくんとドンマちゃん 本書は、加藤さんをモデルにした感覚過敏の中学生の男の子を主人公とした物語です。感覚過敏とは対照的に寒さや痛みを感じにくい「感覚鈍麻」の女の子も登場します。 感覚過敏なカビンくんと感覚鈍麻なドンマちゃんの日常をかいまみることで、これらの人々がどんなことで困り、どんなことに葛藤を抱えて生活しているかを知ることができます。 まわりの雰囲気に同調できない まわりとズレているのかもしれない 同じ悩みを抱えていたカビンくんとドンマちゃんはお互いの特性について語り合い、理解を深めていきます。 制服、給食、友だちの声、窓際の席など何でもないことがつらいカビンくん。 寒さ、暑さ、空腹、満腹を感じにくい不思議ちゃんと言われるドンマちゃん。 「感覚」は見た目にはわからないので、まわりと違う言動が目立つと「変わった人」「わがまま」と誤解されてしまうこともあるかもしれません。多くの人にとって何でもないことが、当事者にとってはとてもハードなこともあります。 最近では、感覚過敏の人たちが生活しやすいよう配慮する試みも始まっています。 静かな環境でスポーツ観戦や買い物ができる「センサリールーム」「クワイエットアワー」や建物内の光の明るさや音の大きさなどの情報を示す「センサリーマップ」を公開する施設も増えてきています。 加藤さんは現在感覚過敏研究所を設立し、当事者コミュニティの運営や普及啓発に取り組んでいます。五感にやさしいセレクト商品や自社開発商品の紹介もしています。詳しくはHPをご覧ください。 |