こんにちは。スタッフの金子です。 本日はTagajo Sustainable Relationship2021〜防災とインクルーシブなまちを考える〜ゲストトークBをレポートします。 @とAでは、それぞれのゲストのみなさんがお話した内容をレポートしました。本日はそのみなさんのお話を踏まえて、ゲストのみなさん同士のトークセッションをレポートします。 ―のび塾の神桂子さんが「日常からの挨拶が大事」との話もありましたが、日常からの取り組み、災害時の備えをキーワードに、一般社団法人tentenの藤本菜月さんはどう思いますか。 転勤族の女性の支援をしている 一般社団法人tenten代表の藤本菜月さん *日常から考えることが大事 宮城県も福島県も災害が多い。今年の2月(2021年)にも大きな地震があった。2年前には台風19号の豪雨で福島も被害があった。そのたびにいつも思うのは、もっと日常から考えておけばよかった、ということ。思ったときに備えておくこと。どういう備えが必要か、を団体の座談会(月1回開催)で新しく来た方にも伝え合うことが大事。 *webページで「防災」を発信 台風19号のときに、避難所に避難した人に「どのタイミングで避難したのか」「車で行ったのか?歩いて行ったのか」「何を持って行ったのか」「行ってから後悔したことはあるか」などを聞いて、記事にして発信している。 *県の防災講座を受講 県の防災講座に団体として申込(個人での申込はできないため)をして、県に新しく転入された方と一緒に受講することで、日常からの備えを考えるきっかけづくりのために行っている。 【参加者募集】2022.3.8 tenten 社会科見学@危機管理センター | tenten (tenten-f.info) ―真部さんは、東日本大震災時は多賀城に住まわれていたとのことでしたが、そこで直面した困りごとなどはありましたか。 転勤族の女性の支援をしている 一般社団法人tenten真部さとみさん 東日本大震災時は多賀城に住んで2年目。夫の転勤で多賀城に住んでいた。東日本大震災の日はたまたま夫が仕事を休んでいて、夫の判断で避難したため、被害はなかったが、同じく多賀城に住んでいた友人は、ちょうど子どもがお昼寝の時間でそこからゆっくりどうしていいのか分からず、市役所に向かっている途中のアパートの2階に避難したそうだ。自分も夫がいなければどうしていいのか分からなかった。 ―日常の備えが大事ということですね。 のび塾主宰の神桂子さんは、障がいのある方に「自分から伝えるように」と伝えているとのことでしたが、なぜそのように伝えているのですか。 障がいのある子どものことばの支援をしている のび塾主宰、言語聴覚士の神桂子さん *日常から障がいのある人も想像する力を持つために 東日本大震災時に、障がいのある子どもたちは大きな精神的不安を持ったが、日常から「避難するってどういうことか」「避難はどこに行けばいいのか」を説明したり、実際に避難所まで行ってみたりするなどの体験をすることで状況を掴むことができる。日常から、家族や学校、通所施設などで話すことが大切では、と思う。 *「困った」カード 災害時に家族や知人が助けてくれるのを待っていたのでは命が危ない。言葉で伝えられないときは「困ったカード」を持っていたら近くにいる人が助けてくれるかもしれない。また日本語が得意ではない外国の人も「外国語で書いたカード」を日本語に訳して書いてあるカードを持っていると助けてもらえるかもしれない。カードを持つことも備えの一つ。 ―NPO法人筋強直性ジストロフィー患者会の佐藤美奈子さんは、ご自身に変化があり、同じ避難でも状況が変わってきていると思いますが、備え方も変わってきていますか。 筋強直性ジストロフィー患者で車椅子ユーザー NPO法人筋強直性ジストロフィー患者会副理事長の佐藤美奈子さん *備え方も変化する 自分の状況が変わってきたことで考えた方も変わってきた。以前は、自分の子どもが小さいときは子どものこと、町内会の役に付いているときは町内会の人たちのことも考えていた。今は自分以外の誰かを守らなければいけないというのは自分の命が助かってから、と思うようになった。 *役に立つこと、立たないことは万一のときにならないと正解はわからない。 東日本大震災前に、缶詰のような食品や電池やろうそくなどの防災用品を備えて、バッグではなく、蓋つきのケースに入れて、すぐに持ち出せるように1階に置いていた。 震災で、津波が140cm自宅に上がってきた。自分は仕事で不在、夫は家にいたが、防災用品を持ち出すことはできなかった。自宅前の道路は車でいっぱいで車での避難はできない。車イスの同居の母親と息子を連れての避難で防災用品を持ち出すことはできなかった。備えは必要だけれども、万全ということはない。 *優先順位は命。 震災を経験して、通帳や印鑑、キャッシュカードがなくなっても、その後どうにかなった。まず、逃げられるのであれば逃げる。逃げられない状況であれば、覚悟を決めて自宅の2階に上がる。自宅の2階にまで水が上がることを想定して脚立を上げておくなど、備えを年々変えていかなければならない。 *一番大事なのは話し合うこと。 家族とは話し合って、話し合ったことを共有しているが、町内会や家族以外のコミュニケーションを取る機会がないため、なんとかしなければいけないと考えている。 ―先日、佐藤美奈子さんと打ち合わせをした際に、自分が車いすの生活になって初めて避難経路を車いすで通ったときにいろいろと感じたことがあったということでしたが、それは車いすで暮らしている方以外のベビーカーを使う子連れの方にも共通する困難なことになりそうだと感じたとの話も伺っていました。 佐藤さん)相手の立場に立って考えることはとても難しいため、考えるときに大事なのは想像力。ここまで考えたけれども、合っているかどうか不安なときは、相手に聞いてみることも大事なのではないかと思う。 ―佐藤美奈子さんからも「想像力」が大事との話が出たが、災害時に大事なキーワードに「想像力」とあげていたてんでん宮城の佐藤夏色さんは、みなさんのお話を聞いてみてどう思いましたか。 性的マイノリティに関する活動をしている てんでん宮城代表の佐藤夏色さん *自分のことは自分で守る。 「こうしてほしい」「ああしてほしい」ではなく、まずは自分のことをどうやって守るか、を考えるようになった。それから地域に困っている人はいないか、という順番になった。 LGBTの困りごとは自分で守ったほうが、早い。プライバシーも守られる。自分はLGBTの困りごとだけで困っているわけではない。今は、大勢の人と会うのが苦手なため、避難所生活は難しいと思う。また、避難生活ではカレーライスが多かったが、実はカレーライスが苦手。支援には感謝していたが、避難生活中は食事が楽しみのため、食事がカレーライスだと落ち込んだ。 ―日本で働くミャンマー人技能実習生のみなさんは地震や災害が起こったときに、スマートフォンで翻訳したりしながら情報を得るとお伺いしていました。日本では日本語で災害の情報を伝えられることが多いと思いますが、日本で暮らす外国の方にどのように情報を伝えるかも防災のポイントの一つではと思っています。 いかがでしたか?ゲストのみなさんの立場や状況は異なりますが、困りごとや防災への備えなど共通することもあるのではと思います。 次回はTSR最後のレポートCです。 参加した皆さんからいただいたコメントも紹介します。さらに当日のTSR会議の様子を動画で発信する予定です。お楽しみ! ○以前のブログはこちらから ・Tagajo Sustainable Relationship2021シンポジウム https://blog.canpan.info/tagasapo/archive/3055 ・水辺の防災SUP体験&ミニ防災まちあるき https://blog.canpan.info/tagasapo/archive/3084 ・多賀城みんなの防災ワークショップ https://blog.canpan.info/tagasapo/archive/3100 ・モリス氏の基調講演のレポート https://blog.canpan.info/tagasapo/archive/3139 ・Tagajo Sustainable Relationship2021〜防災とインクルーシブなまちを考える〜 ゲストトーク@をレポートします! https://blog.canpan.info/tagasapo/archive/3142 ・Tagajo Sustainable Relationship2021〜防災とインクルーシブなまちを考える〜 ゲストトークAをレポートします! |