Tagajo Sustainable Relationship2021〜防災とインクルーシブなまちを考える〜
ゲストトーク@をレポートします! [2022年02月21日(Mon)]
こんにちは。スタッフの金子です。 前回はTagajo Sustainable Relationship2021〜防災とインクルーシブなまちを考える〜の基調講演をレポートしました。 前回のブログはこちら 当日は基調講演の他に多賀城で活動する5組の多様なゲストのみなさんと共に、「防災とインクルーシブなまち」について多賀城を一つのまちに見立ててテーブルトークを行いました。 TSR2021の全体の流れはこちら *ゲストのみなさん ・神桂子さん(子どものことばの教室のび塾主宰、言語聴覚士) ・トーザーリンさん、キンチョーユインさん、サーチーソーさん (ユニベール株式会社ソーイング事業部仙台工場 ミャンマー人技能実習生) ・佐藤美奈子さん(NPO法人筋強直性ジストロフィー患者会) ・藤本菜月さん、真部さとみさん(一般社団法人tenten) ・佐藤夏色さん(てんでん宮城) ゲストのみなさんのテーブルトークを3回に分けてレポートします。 さて、本日は多賀城で「子どものことばの教室のび塾」を主宰し、言語聴覚士の神桂子さんと多賀城にあるユニベール株式会社で技能実習生として働いているミャンマー人のトーザーリンさん、キンチョーユインさん、サーチーソーさん、転勤族の配偶者を応援する活動をしている一般社団法人tentenの藤本菜月さん、真部さとみさんのトークをレポートします。 子どものことばの教室のび塾主宰、言語聴覚士 神桂子さん 当日はサポーターとして多賀城高等学校災害科学科の生徒(写真下)が参加。 多賀城で子どものことばの教室のび塾を主宰、言語聴覚士。様々な障がいのある子どもの言語指導や発達指導を行ってきた。東日本大震災時の記憶を聞いてまとめて自費出版した著書「3.11あの時、そしてこれから〜障がいのある子ども達も大人達も、そこにいる〜」がある。 ・合理的配慮が社会全体に浸透すれば過ごしやすい社会になる。 2016年に施行された「障害者差別解消法」で、社会全体が合理的配慮をすることが義務化された。例えば、レストランに車いすユーザーのためにスロープを作ったり、スペースを設けたりすれば、あとは自分で注文して食べることができるということ。 障害者だけへの配慮ではもったいないような気がする。 神さんは普段パソコンを使わず、使うことが難しいが、周りがパソコンやオンライン環境をサポートしたことで、今回のオンラインのTSRに参加できたことも、合理的配慮と言えるだろう。社会全体の人間関係に合理的配慮の考え方が浸透してきたら多くの人にとってとても過ごしやすい社会になるのではと思う。 全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的に制定された法律。 *合理的配慮 障害者権利条約の第2条では、障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものとしている。 ・災害時に自分の命を守るために必要なこと。 障がいのある人はいつでもどこでも誰かに付き添ってもらっているわけではない。一人で電車やバスで支援学校に通っている人や地元の学校に登下校している人、習い事や遊びに行く人、電車やバスで通勤している人もいる。そのため一人でいるときに災害に合うこともある。しかし、障がいのある人は日常的に学校や通所施設とのつながりはあるが、地域の活動に参加することが少ないため、地域の人に知られていないこともある。 それでは災害時に自分の命を守ることはできない。 お互いに存在を知るために、障がいのある人たちも積極的に地域の活動に参加してほしい。 そして、地域の人たちも地域に障害のある人たちがいるはずと思って周りを見てほしい。 ・すべての人が安心して避難できる避難所をつくってほしい。 東日本大震災時に、こわくて声を出して走り回ってしまい、「うるさいぞ」と怒鳴られて避難所に居られなかった発達障がいの子どもがいた。危険から逃れるための避難所なのに避難できないとはどういうことなのだろうか。 災害時には、障がいのある子だけではなく、いつもは家にいるため周りの人が気づいていない様々な困難を抱えた人たちも避難してくる。どの人も全面介助をしてほしいのではなく、本人の一番の困りごとを聞き、合理的配慮をしてもらえると良い。 こわい思いをして避難してきた人たちが、安心して一時を過ごせる避難所をつくっていってほしい。 ・地域の中で障がいのある方とどのような方法で関わるのがいいか? 一番は直接関わること。障害のある人たちは、地域の行事などには、「子どもが騒ぐ」「周りに迷惑掛ける」などの理由で参加しないことが多いが、「騒いでもいい」「困りごとを知る」「どう助けることができるか」など、日常生活の中で直接関わることで、互いに理解することが大事。 まずは、挨拶から始めてみよう。 ・災害時に大事なキーワード「日常に、災害時に合理的配慮を」 日常の人との関係や計画が非常時につながっている。 障がいのある子も守られるだけの存在ではない。東日本大震災のときも水くみや買い物などお手伝いを頑張っていた。みんなそれなりのことができていて、それなりの力を合わせて災害という非常時を乗り越えていく、と思った。 ユニベール株式会社ソーイング事業部仙台工場 ミャンマー人技能実習生 トーザーリンさん、キンチョーユインさん、サーチーソーさん 多賀城にある、ユニベール株式会社ソーイング事業部仙台工場で技能実習生として働いているミャンマー人の技能実習生。 ・ミャンマーも地震や水害はあるのか? 地震はあまりないが、水害はある。東日本大震災の様子はミャンマーにいるときにテレビで見たことがあり知っている。 ・災害時に大事なキーワード「たすけあい」 ミャンマーは「たすけて」と言うと人がたくさん集まってきて助けてくれるが、日本ではそんなに人が集まらない。 一般社団法人tenten 藤本菜月さん、真部さとみさん 福島県であたらしいまちに転入する女性を応援する活動をしている一般社団法人tenten(一般社団法人tenten (tentent.info))。仲間や地域とつながるきっかけづくりのための座談会やワークショップ、在宅でもできる仕事づくり、暮らしの情報発信、福島の暮らしの中で生まれた作品や食品を販売するショップの管理を行っている。 真部さんは東日本大震災時に夫の転勤で多賀城在住、多賀城で小さな子どもと一緒に被災した。 ・友だちがいない、知り合いもいない、孤立感。 夫の転勤によって引越をした初めての地で、友だちがいない、知り合いもいない、地域の人と関わりたくてもどこにいったら地域の人と関われるのかも分からず孤立感を感じた。仕事をしたいと思っていたが、また数年したら転勤があると言われたため仕事もできないと思った。夫の転勤によっていきなりマイノリティになった。 ・災害時に大事なキーワード「知る、教えてもらう、伝え合う」 転勤族は新しく住む土地のことをほとんど知らない。まずはどういったところが被災しやすいのか。どこが水に浸かりやすいのか。防災だけではなく、冬場にどこが凍りやすいのかなど地元の人に教えてもらうこと、そして教えてもらったことを新しく来た人に伝えていくことが大切。 いかがでしたでしょうか。 わたしたちが暮らすまちには多様な人たちが暮らしています。災害時などの非日常に「たすけあう」ためには、日常から互いのことを知って理解し合うことが必要です。みなさんの暮らすまちでは合理的配慮がされているでしょうか。 さて、次回はNPO法人筋強直性ジストロフィー患者会副理事長の佐藤美奈子さん、LGBTに関する活動をしているてんでん宮城代表の佐藤夏色さんのお話を紹介します。 ○以前のブログはこちらから |