小規模多機能自治という考え方 〜応用編〜 [2017年02月07日(Tue)]
こんにちは、スタッフの武内です。
以前、ご紹介した『小規模多機能自治』 今回の火曜ブログではその応用編として、多賀城市について考えてみます。 まちの将来像を考えるときの1つの目安として、人口とそれを構成する年齢の分布がどのように変わっていくかを調べることが手掛かりになります。 小規模多機能自治の研修では、人口構成の予測を国勢調査の結果を元に一般市民でも割り出せる方法を伝えています。 その結果を元に作成した多賀城市の人口構成予測の表がこちらです。 多賀城市の人口構成予測表→★★★ (※ 表はIIHOE【人と組織と地球のための国際研究所】発行のソシオ・マネジメントvol.3『小規模多機能自治〜総働で、人「交」密度を高める〜』に掲載の“地域の人口構成を予測する”を元に作成しています) ファイルを開くと数字の羅列で、一見すると「何がなんだか…」という感想だと思いますので、ご説明します。 この表は国勢調査の結果から多賀城市の人口を記載している部分と、そのデータなどを元に予測している部分の二つに分かれています。 通常の真っ直ぐな文字の部分は国勢調査のデータと、その値を元に割り出した数字です。 そして(少々分かり難いかもしれませんが)文字がやや斜めになっているのが予測部分です。 なお、活用する国勢調査のデータは、5歳区切りごとに男性の人数、女性の人数、男女の合計人数で作成されているものです。 ですので、表の横軸先頭にある“計”は全人数の合計、“0-4”や“5-9”は5歳区切りの人数の合計を意味します。 次に、表の縦軸先頭が意味している内容をご説明します。 ・2000、2005、2010、2015は各年の国勢調査の実測値を入力しています。 ・00→05、05→10、10→15は5年間でその年齢区分がどの程度増減したかを割合で示しています。 ここで、1つのポイントになるのが5年ごとの増減割合です。 考え方の重要な部分になりますので、実際の数値を例にしてご説明します。 “男”の“2000”年の“0-4”歳を見てみましょう。 “1,830”人となっています。 0-4歳の場合、人口変動があるとすると親の事情による転入出が主な要因になるでしょうか? そう考えると、5年後の2005年は2000年に0-4歳だった人が5-9歳になるので、そう大きな人口変動は無いように思います。 それでは“男”の“2005”年の“5-9”歳を見てみると… “1,715”人となっています! つまり、2000年の0-4歳の1,830人は、2005年の5-9歳になるまでの間に1,715人となり、115人減少したことになります。これを割合で算出すると 1,715人/1,830人≒0.9371…93.7%となります。 仮に5年間で変動がなければ100%になりますし、転入で人口が増えれば100%を超える場合もあるでしょう。 このように00→05、05→10、10→15は5年間で人口がどのように変動したか、その割合を算出しています。 さて、このように変動の割合を算出していくことで、多少強引ではありますが 『割合の変化も過去の数値から平均を出して、将来の割合として予測に使えるだろう』 ということです。 例えば 05→10の“男”、“5-9”歳の人口変動割合は92.0%です。 10→15の“男”、“5-9”歳の人口変動割合は90.1%でした。 この割合の平均を算出すると 92.0%+90.1%/2=91.05%…小数点第2位を四捨五入して91.1% この91.1%を『2015年から2020年の期間、5-9歳の人口変動割合である』とし、予測値で使ってみよう! という考え方です。 では、この変動割合を元に“男”の“2020”年の“5-9”歳を予測してみましょう。 “男”の“2015”年の“0-4”歳人口は1,515人です。今後5年間の変動割合を91.1%と予測すると 1,515人×91.1%=1380.165…小数点以下を四捨五入して1,380人 以上から、“男”の“2020”年の“5-9”歳の人口は1,380人ぐらいではないか? と予測できます! こうした考え方を元に多賀城市の0歳〜100歳以上まで、5歳区切りでの男性・女性別の人口と、男女を合わせた総人口の2020年予測は大まかではありますが、研究機関などでなくとも可能になります(2020年の0-4歳の予測のみ、過去の実測値の増減量から傾向を読み取り入力しています)。 この他にも、表の縦軸にある“社人研”は『国立社会保障・人口問題研究所』の略称として使用しています。 日本の人口推移はこの社人研で発表していて、2040年のデータまでを予測しています(2017年2月6日(月)現在)。 “社人研2020”など 社人研20XX と書いてある項目は、社人研で発表している数字をそのまま入力しています。 “差?”は社人研の予測数字と自作した予測数字の違いを割合で示しています。 “20→25”や“25→30”の項目は社人研の人口予測を元に変動割合を計算した結果です。 それでは表の内容を元に、多賀城市の傾向を考えてみてはどうでしょう? ざっと見ても例えば ・人口の総数は2010年をピークに減少傾向に入ったのかな? ・男性は15-19歳人口が変動割合100%を超えている…。この年代は市外からの流入が毎年あるのか。 ・女性では25-29歳人口で変動割合が100%を超えている。 ・70-74歳以降の年代からは男性より女性の人口が明らかに上回っている。 などが読み取れます。 こうしたデータを作成すると、ニュースなどでよく話題となる『人口減少』『少子高齢化』などの状況が数字で実感できるでしょう。 また、更に考察を深めていくことで、現在起こっているかもしれない、または近い将来に起こるかもしれない地域や社会の課題を発見することや、課題の解決への手懸りが見つかるかもしれません。 ちなみに、国勢調査のデータは地域を市町村よりさらに細かく、町丁・字の範囲で集計しています。 つまり、表を多賀城市よりも更に地域限定をして、町内会レベルで作成することも可能なのです。 今後も、機会を見て多賀城市の人口構成予測表を元にした考察や、多賀城市の町内会レベルの人口構成予測表などを作成し、ご紹介できればと考えています。 ※お願い※ 本ブログに添付している『多賀城市の人口構成予測表』は「ソシオ・マネジメントvol.3『小規模多機能自治〜総働で、人「交」密度を高める〜』」を元にたがさぽスタッフが作成したものです。記載内容に関するお問い合せは、多賀城市市民活動サポートセンターにご連絡ください。 ・TEL:022-368-7745 ・eメール:tagajo@sapo-sen.jp さて、こうしたデータの使い方や、それを元にした『小規模多機能自治』の考え方を伝えている団体IIHOE [人と組織と地球のための国際研究所]代表 川北秀人さんをお招きしたフォーラムが多賀城市文化センターで開催されます! 詳細は下記をご覧ください。 ========================== みやぎ地域福祉フォーラム 〜絆がつなぐ これからの地域の持続可能性〜 ●日 時:2017年2月28日(火) 13:00〜15:45 ●場 所:多賀城市文化センター 小ホール ●参加費:無料(昼食希望の場合は800円) (※昼食希望は要事前申込み2月21日(火)まで) ●定 員:250名程度 ●内 容:基調講演(午前)、シンポジウム(午後) 〇講 師(午前)、コーディネーター(午後) ・川北秀人さん (IIHOE [人と組織と地球のための国際研究所] 代表) 〇シンポジスト ・多賀城市高橋東二区町内会 ・不動地区社協(美里町) ・池月サポートセンター(大崎市) ・(特非)秋田県南NPOセンター ●主 催:(社福)宮城県社会福祉協議会 ●問合せ:TEL 022-266-3950 メール g079@miyagi-sfk.net ========================== これからの地域づくりの指標となるお話しが聴けるチャンスです!! 興味・関心がある方はぜひご参加ください。 |