「移動」することの意味・・・ [2011年06月28日(Tue)]
移動する子どもたち
自分がどういう人かって言うのを考えた事がありますか? 今回紹介する本は、著書「私も『移動する子ども』だった」川上郁雄編著 この本は多言語の中で育ったハーフやダブルと呼ばれている10人のライフストーリーを描いたもので、インタービュー形式で話が広げられています。彼らが幼少の頃、どのような生活、どのようにして日本に来たのか、子どもにとって国境を越えての移動ということがどういうことを意味するのか、そして、複数の言語の中で彼らがどのように人と接して生きてきたのかが分かる一冊となっています。一人で来ることもあれば、家族全員で日本に来ることもある中、家族間で言語の学習に違いが出て、兄は母国語を完璧に話せるのに、妹である自分は中途半端な言葉しか出てこない。このような違いがどのようにして起きるのか、子育ての参考書としても役立つと思います。自分をうまく表現できない、もしくは、表現したくても何を表現すればいいのかが分からないといったような、悩みや苦悩がたくさん見受けられます。 感想: この本はidentity crisis(自己認識の危機)の子どもたちや、それらを乗り越えて大人になった人たちが模範になると思うので、結構お勧めします。自分も実際このような生活を現在進行形で送っているので、私と同じ境遇にいる子どもたちや、大人になって社会に出ている人、そして、周りにこの本中に出ている人と同じ境遇の知り合いがいる人にも是非読んでもらいたいと思います。「外人」っていう言葉を使うときに、聞く側と言っている側の見当の違いを深く考えさせるような本だと思います。 紹介本 私も『移動する子ども』だった 編著 川上郁雄 出版社 くろしお出版 |