「暗闇の世界を聞く」開催報告(橘の会)
[2020年02月16日(Sun)]
「暗闇の世界を聞く」
2月16日(日)、目黒 蟠龍寺(ばんりゅうじ)にて、3つのプログラムから構成される
「暗闇の世界を聞く」というイベントを手話通訳・文字支援つきで行いました。
@ 塗香(ずこう)創り ワークショップ
塗香は、和の香りの中で肌に直接つけることが出来る優れものです。
西洋の香水とは異なり、香りが拡散されないので、個人で香りを愉しむ事が出来ます。
また、香害や香りに対するアレルギーを持つ方への配慮にもなります。
香原料によっては、希少価値や大変高価なものもあり、また、漢方薬としても知られているものがあります。
現代では主に、仏教でのお浄めや、参拝前の手水の代わりにも使用されているそうですが、アレンジによっては、個人のオリジナルアイテムとして身に纏う事も出来ます。

創香家の今井 麻美子先生は合成香料を使用することなく、日本古来より使われて来た天然の香原料のままで香りを創られる事をモットーとされています。
1つ1つの香原料の香り自体はそれほど華やかでもなく、むしろインパクトに欠け、中には使用を遠慮したいものもあります。
そのような数種類の異なる香原料が混ざり合って、1人1人のイメージを彷彿とさせる香りが立体的に聞こえてくるところがとても不思議なのです!
今井先生が参加者のイメージを理解するために簡単な問答を行った後、すかさず香原料の分量を参加者に伝え、参加者自身の手によって香原料が調合されてゆきます。
皆さん、単体で聞いていた時の香りから、イメージ通りの香りに仕上がって驚きの様子でした。
複数の参加者同士で、お互いの香りを聞き合い、それぞれのイメージの違いを愉しむ事も出来ました。
マスクの内側にそっとご自分の香りを忍ばせて、風邪やウイルスから身を護ろうとするかたもいらっしゃるようです。
A Deep 蟠龍寺
今回の会場でもある蟠龍寺の境内をもっと深く知るためのガイドツアーです。
参拝前には吉田 龍雄副住職から、浄土宗のお作法で塗香をいただくレクチャーがありました。
本堂におられる木造阿弥陀如来像(都指定文化財)にお焼香をした後、煌めく装飾に包まれた内陣へも入らせていただくと、外陣の壁に舞う美しい雲中供養菩薩の姿に極楽浄土の世界を想像してしまいます。
境内にはその昔、露座の金銅仏がおられたそうですが、現在はフランスのパリ市立セルニュスキ美術館に展示されているというエピソードもお聞かせいただきました。
当時(江戸時代)の人にとって蟠龍寺は、極楽浄土のテーマパーク的存在も兼ねていたのではないでしょうか。
江戸七福神の一つとして祀られている技藝の女神である弁才天は、現代でもパフォーミングアーツに携わる方々の参拝が多いのだそうで、境内でも様々なアート関係のイベントが開催されています。
また、美人祈願の信仰を集めるおしろい地藏のご案内もしていただき、参拝者によって施されたお地蔵さまのメイクから、現代でも厚い信仰が続いている事を確認したのでした。

B 「暗闇の世界を聞く」
境内の一角にある蟠龍寺スタジオ内へ足を踏みこむと、先ほどまでとはまるで別世界へ迷い込んだよう。創香家の今井 麻美子先生、DJの友光 雅臣氏に出迎えられます。

最初に明るい部屋の中で、「日没」というテーマに合わせて参加者同士でそれぞれのイメージやエピソードをディスカッションしたあと、今度は部屋を暗くして、今井先生と友光氏がディスカッションの内容をもとに、即興で数種類の香りと音楽に創り変えて流していきます。
ここではお香を焚くので、スタジオの空間全体が香りの中に包まれながらも、(実際には見えませんが)まるで打ち上げ花火のように色鮮やかな香りが形を変えてゆく様子が聞こえて来ます。
友光氏が音楽を流している時に闇の中でうっすらと浮かぶ身体の動きは、視覚からも音が聞こえてくるように感じます。個人差にもよりますが、大抵言い知れぬ何か(奏者であったり、思い出の断片や景色といったようなもの)も音の一部として一緒に見えている事に気付かされるのです。
更に、株式会社アレイズさんのVDXスピーカーによって、繊細な音の息づかいを肌で感じられる様に工夫をしました。
ろう者の参加者から投げかけられた「日没の景色を見ている時にどんな音が聞こえていましたか?」という質問に対し、聴者の参加者の殆どが「(景色に夢中になっていて)何も聞こえていませんでした・・」という回答も印象的でした。
聞こえていても、聞こえていなくても、その人固有の妄想力によって、感じ方や受け取り方が大きく変わってくるところがこのイベントの面白さです。
思い描くイメージがそれぞれ違うように、香りと音に対する感じ方も1人1人異なるので、感想もシェアせずに、そのまま持ち帰っていただく予定でしたが、皆さん盛り上がってしまい、思い思いに語ってくださいました。
その中からおひとつ、こちらにご紹介します。
「暗闇の世界を聞く」というイベントに行ってきました。
https://ameblo.jp/septcouleur7/entry-12576153347.html
開催にあたり、沢山の方々にご助力いただきました事をこの場をお借りして御礼申し上げます。
ありがとうございました。
報告:橘の会
2月16日(日)、目黒 蟠龍寺(ばんりゅうじ)にて、3つのプログラムから構成される
「暗闇の世界を聞く」というイベントを手話通訳・文字支援つきで行いました。
@ 塗香(ずこう)創り ワークショップ
塗香は、和の香りの中で肌に直接つけることが出来る優れものです。
西洋の香水とは異なり、香りが拡散されないので、個人で香りを愉しむ事が出来ます。
また、香害や香りに対するアレルギーを持つ方への配慮にもなります。
香原料によっては、希少価値や大変高価なものもあり、また、漢方薬としても知られているものがあります。
現代では主に、仏教でのお浄めや、参拝前の手水の代わりにも使用されているそうですが、アレンジによっては、個人のオリジナルアイテムとして身に纏う事も出来ます。

創香家の今井 麻美子先生は合成香料を使用することなく、日本古来より使われて来た天然の香原料のままで香りを創られる事をモットーとされています。
1つ1つの香原料の香り自体はそれほど華やかでもなく、むしろインパクトに欠け、中には使用を遠慮したいものもあります。
そのような数種類の異なる香原料が混ざり合って、1人1人のイメージを彷彿とさせる香りが立体的に聞こえてくるところがとても不思議なのです!
今井先生が参加者のイメージを理解するために簡単な問答を行った後、すかさず香原料の分量を参加者に伝え、参加者自身の手によって香原料が調合されてゆきます。
皆さん、単体で聞いていた時の香りから、イメージ通りの香りに仕上がって驚きの様子でした。
複数の参加者同士で、お互いの香りを聞き合い、それぞれのイメージの違いを愉しむ事も出来ました。
マスクの内側にそっとご自分の香りを忍ばせて、風邪やウイルスから身を護ろうとするかたもいらっしゃるようです。
A Deep 蟠龍寺
今回の会場でもある蟠龍寺の境内をもっと深く知るためのガイドツアーです。
参拝前には吉田 龍雄副住職から、浄土宗のお作法で塗香をいただくレクチャーがありました。
本堂におられる木造阿弥陀如来像(都指定文化財)にお焼香をした後、煌めく装飾に包まれた内陣へも入らせていただくと、外陣の壁に舞う美しい雲中供養菩薩の姿に極楽浄土の世界を想像してしまいます。
境内にはその昔、露座の金銅仏がおられたそうですが、現在はフランスのパリ市立セルニュスキ美術館に展示されているというエピソードもお聞かせいただきました。
当時(江戸時代)の人にとって蟠龍寺は、極楽浄土のテーマパーク的存在も兼ねていたのではないでしょうか。
江戸七福神の一つとして祀られている技藝の女神である弁才天は、現代でもパフォーミングアーツに携わる方々の参拝が多いのだそうで、境内でも様々なアート関係のイベントが開催されています。
また、美人祈願の信仰を集めるおしろい地藏のご案内もしていただき、参拝者によって施されたお地蔵さまのメイクから、現代でも厚い信仰が続いている事を確認したのでした。

B 「暗闇の世界を聞く」
境内の一角にある蟠龍寺スタジオ内へ足を踏みこむと、先ほどまでとはまるで別世界へ迷い込んだよう。創香家の今井 麻美子先生、DJの友光 雅臣氏に出迎えられます。

最初に明るい部屋の中で、「日没」というテーマに合わせて参加者同士でそれぞれのイメージやエピソードをディスカッションしたあと、今度は部屋を暗くして、今井先生と友光氏がディスカッションの内容をもとに、即興で数種類の香りと音楽に創り変えて流していきます。
ここではお香を焚くので、スタジオの空間全体が香りの中に包まれながらも、(実際には見えませんが)まるで打ち上げ花火のように色鮮やかな香りが形を変えてゆく様子が聞こえて来ます。
友光氏が音楽を流している時に闇の中でうっすらと浮かぶ身体の動きは、視覚からも音が聞こえてくるように感じます。個人差にもよりますが、大抵言い知れぬ何か(奏者であったり、思い出の断片や景色といったようなもの)も音の一部として一緒に見えている事に気付かされるのです。
更に、株式会社アレイズさんのVDXスピーカーによって、繊細な音の息づかいを肌で感じられる様に工夫をしました。
ろう者の参加者から投げかけられた「日没の景色を見ている時にどんな音が聞こえていましたか?」という質問に対し、聴者の参加者の殆どが「(景色に夢中になっていて)何も聞こえていませんでした・・」という回答も印象的でした。
聞こえていても、聞こえていなくても、その人固有の妄想力によって、感じ方や受け取り方が大きく変わってくるところがこのイベントの面白さです。
思い描くイメージがそれぞれ違うように、香りと音に対する感じ方も1人1人異なるので、感想もシェアせずに、そのまま持ち帰っていただく予定でしたが、皆さん盛り上がってしまい、思い思いに語ってくださいました。
その中からおひとつ、こちらにご紹介します。
「暗闇の世界を聞く」というイベントに行ってきました。
https://ameblo.jp/septcouleur7/entry-12576153347.html
開催にあたり、沢山の方々にご助力いただきました事をこの場をお借りして御礼申し上げます。
ありがとうございました。
報告:橘の会