文化庁【令和元年度障害者による文化芸術活動推進事業】「あいちトリエンナーレ2019」視察
[2019年10月14日(Mon)]
なにかと話題をよんた「あいちトリエンナーレ2019」の最終日に駆け込みで、名古屋在住の、舞台手話通訳養成講座を受講した方に手話通訳同行をお願いして視察してきました。
この展覧会は「参加型」が特徴で、対話型のガイドツアー、映像、文字を楽しむなどの展示があり、アクセシビリティ面はどうなのか?と体験してきました。

会場は4箇所に分散していますが、今回はメインの愛知芸術文化センター、四間道・円頓時エリアを回りました。
まずインフォメーションコーナーの大きな柱には以下の通り案内が。
筆談マークがあります。

またデスクの上には、磁気ボード。「筆談したい」と指差せば、仕舞われている磁気ボードが出てくる仕組みでした。

そこで、ガイドツアーに手話通訳はあるか?と尋ねたところ
筆談ガイドツアーを9月18日、23日に実施し、聴覚障害者が15名、うち手話を使う人は2、3名ほどが参加したとのこと。
ボランディアスタッフが筆談で案内したそうです。
手話通訳については今後の課題とのことでした。
ちなみに今回は。
通常のガイドツアー集合場所に行き、待っている間に手話で会話していたら、ボランティアスタッフが声で話しかけてきました。「筆談しましょうか?」と。
是非お願いします、と伝えたところ、ノートの準備をしてきました。通常ツアーとは別に、個別に案内します、とのことで、彼が筆談でご挨拶してきました。
ノートは書きにくいようで、磁気ボードを別のスタッフさんが持ってきてくれました。
ただし、磁気ボードの使い方がわからなかったようで教えてあげました。
所要時間は1時間で、作品を5つ紹介してくださいました。
作品に関して「なんでこうなってると思う?」というように問いかけながらのツアーで、対話を深めながらの楽しい1時間となりました。
基本的には筆談してくれましたが、込み入った話は手話通訳を活用。

ちなみに、聴覚障害者への対応は、全3回の研修のうち話を聞いたのみ、とのこと。実際に筆談したのは今回が初めてだそうで、緊張している様子でしたが、手話で話しているのをみて積極的に声をかけてきたのがよかったです。
ちなみに、別のフロアでもツアーをやっていたので、こちらにも参加。
特に声をかけられることはなく、同行の手話通訳で内容を知りました。最終日のツアーということで定員をはるかに超える人数で混み合っていましたが、特に何かを言われることもなく。
こちらも1時間でしたが、対話が盛り上がりすぎて(?)、2作品について語り合い、残り1作品はコメントのみ。
説明はとても詳しかったですし、問いかけに対しての観客からの意見がたくさん出されて、それらを手話通訳を介して知ることは大変刺激的でした。
個別ツアーも良いのですが、やはり見知らぬ人のさまざまな意見を聴けるのが醍醐味と感じました。
(その模様は他の人が映るので撮影できず)
個別対応、筆談ガイドツアー日、とあるのですが、
できれば、手話のできる人が毎日待機し、必要な人が来たら通訳をつけるのが良いのでは・・と感じました。
もうひとつ、「はなす TALK」としてスタッフと観客が対話するセッションがありましたが、こちらはなんと、グーグルの音声認識アプリを壁に投影するというもの。
ただし、マイクをつけているのはスタッフのみ。観客の話はスタッフが復唱する形「こういうことですね」的な感じで、その場にいる人は見えず、外から観ている人が「今、どんな話をしているのか」をわかるようにする形でした。
聞こえない人のためではなく、話を可視化するのが作品の狙いだそう。

右側の輪になっているのが、話している人たち。
タブレットを対話の席のところにも置いたら、聞こえない人も参加できますねと意見を伝えました。
また、ここにもカラフルに装飾された磁気ボードが。

これは、5箇所の会場を同時中継しており、お互いの連絡に使うものだそうで、筆談のためではないとのこと。
こういうふうな使われ方も良いですね!

映像作品も数多くあったのですが、英語で話されているものは日本語字幕あり。
しかし日本語で話されているものは英語字幕のみでした。
その一方で、こういう作品も。これなら、視覚的に楽しめます。

そして、話題の展示では、抽選制。しっかりと受付や会場の各地で抽選方法について詳しい案内が掲示され、迷うことなく抽選券(リストバンド)を入手。

残念ながら2回のチャンスとも落選してしまいましたが、番号はモニターでわかるようになっています。

その代わりと言ってはなんですが、こういう展示があり、見応えありました。

いろいろな言い方ががありますが、ここでは「やさしいトイレ」。

展示ばかりではなく、パフォーマンス系もあります。
残念ながらチケットが売り切れてしまい、観ることは叶いませんでしたが、どのように行なっているか聞いてみたところ。
日本語で話されるので英語字幕のみ、表出されるとのこと。
台本を借りる方法は可能か?と尋ねたところ、「それだとネタバレになるから難しいですね。日本語字幕は今後の課題です」とのお答え。
この後、もう一つの会場へ移動しましたが、
どの部屋でも、ボランティアさんが積極的に話しかけてくださいました。
ただし、もし通訳がいなかったら、、、どうだっただろうか?と。
あちこちと移動して疲れてきたため、筆談する気力がなくなり、通訳を使ってしまいました笑
もし、ろう者が一人で来場したらどうだっただろうか?と気になりました。
が、手話を使っていても、変わらず笑顔で対応してくださったので筆談でも対応してくださるであろう。と期待。
このようなトリエンナーレは、市民とアートの垣根を下げるのに良い機会。
聞こえない人にも、もっとアートに親しんでもらいたい。
そのための課題を一つ一つクリアしていければ、素敵なイベントになると感じました。
忙しいところ、丁寧に対応してくださった関係者様、ありがとうございました!
※ トリエンナーレ事務局より、SNS掲載について確認・許可いただいています。(展示物は原則としてすべて撮影OK、SNS歓迎)
この展覧会は「参加型」が特徴で、対話型のガイドツアー、映像、文字を楽しむなどの展示があり、アクセシビリティ面はどうなのか?と体験してきました。

会場は4箇所に分散していますが、今回はメインの愛知芸術文化センター、四間道・円頓時エリアを回りました。
まずインフォメーションコーナーの大きな柱には以下の通り案内が。
筆談マークがあります。

またデスクの上には、磁気ボード。「筆談したい」と指差せば、仕舞われている磁気ボードが出てくる仕組みでした。

そこで、ガイドツアーに手話通訳はあるか?と尋ねたところ
筆談ガイドツアーを9月18日、23日に実施し、聴覚障害者が15名、うち手話を使う人は2、3名ほどが参加したとのこと。
ボランディアスタッフが筆談で案内したそうです。
手話通訳については今後の課題とのことでした。
ちなみに今回は。
通常のガイドツアー集合場所に行き、待っている間に手話で会話していたら、ボランティアスタッフが声で話しかけてきました。「筆談しましょうか?」と。
是非お願いします、と伝えたところ、ノートの準備をしてきました。通常ツアーとは別に、個別に案内します、とのことで、彼が筆談でご挨拶してきました。
ノートは書きにくいようで、磁気ボードを別のスタッフさんが持ってきてくれました。
ただし、磁気ボードの使い方がわからなかったようで教えてあげました。
所要時間は1時間で、作品を5つ紹介してくださいました。
作品に関して「なんでこうなってると思う?」というように問いかけながらのツアーで、対話を深めながらの楽しい1時間となりました。
基本的には筆談してくれましたが、込み入った話は手話通訳を活用。

ちなみに、聴覚障害者への対応は、全3回の研修のうち話を聞いたのみ、とのこと。実際に筆談したのは今回が初めてだそうで、緊張している様子でしたが、手話で話しているのをみて積極的に声をかけてきたのがよかったです。
ちなみに、別のフロアでもツアーをやっていたので、こちらにも参加。
特に声をかけられることはなく、同行の手話通訳で内容を知りました。最終日のツアーということで定員をはるかに超える人数で混み合っていましたが、特に何かを言われることもなく。
こちらも1時間でしたが、対話が盛り上がりすぎて(?)、2作品について語り合い、残り1作品はコメントのみ。
説明はとても詳しかったですし、問いかけに対しての観客からの意見がたくさん出されて、それらを手話通訳を介して知ることは大変刺激的でした。
個別ツアーも良いのですが、やはり見知らぬ人のさまざまな意見を聴けるのが醍醐味と感じました。
(その模様は他の人が映るので撮影できず)
個別対応、筆談ガイドツアー日、とあるのですが、
できれば、手話のできる人が毎日待機し、必要な人が来たら通訳をつけるのが良いのでは・・と感じました。
もうひとつ、「はなす TALK」としてスタッフと観客が対話するセッションがありましたが、こちらはなんと、グーグルの音声認識アプリを壁に投影するというもの。
ただし、マイクをつけているのはスタッフのみ。観客の話はスタッフが復唱する形「こういうことですね」的な感じで、その場にいる人は見えず、外から観ている人が「今、どんな話をしているのか」をわかるようにする形でした。
聞こえない人のためではなく、話を可視化するのが作品の狙いだそう。

右側の輪になっているのが、話している人たち。
タブレットを対話の席のところにも置いたら、聞こえない人も参加できますねと意見を伝えました。
また、ここにもカラフルに装飾された磁気ボードが。

これは、5箇所の会場を同時中継しており、お互いの連絡に使うものだそうで、筆談のためではないとのこと。
こういうふうな使われ方も良いですね!

映像作品も数多くあったのですが、英語で話されているものは日本語字幕あり。
しかし日本語で話されているものは英語字幕のみでした。
その一方で、こういう作品も。これなら、視覚的に楽しめます。

そして、話題の展示では、抽選制。しっかりと受付や会場の各地で抽選方法について詳しい案内が掲示され、迷うことなく抽選券(リストバンド)を入手。

残念ながら2回のチャンスとも落選してしまいましたが、番号はモニターでわかるようになっています。

その代わりと言ってはなんですが、こういう展示があり、見応えありました。

いろいろな言い方ががありますが、ここでは「やさしいトイレ」。

展示ばかりではなく、パフォーマンス系もあります。
残念ながらチケットが売り切れてしまい、観ることは叶いませんでしたが、どのように行なっているか聞いてみたところ。
日本語で話されるので英語字幕のみ、表出されるとのこと。
台本を借りる方法は可能か?と尋ねたところ、「それだとネタバレになるから難しいですね。日本語字幕は今後の課題です」とのお答え。
この後、もう一つの会場へ移動しましたが、
どの部屋でも、ボランティアさんが積極的に話しかけてくださいました。
ただし、もし通訳がいなかったら、、、どうだっただろうか?と。
あちこちと移動して疲れてきたため、筆談する気力がなくなり、通訳を使ってしまいました笑
もし、ろう者が一人で来場したらどうだっただろうか?と気になりました。
が、手話を使っていても、変わらず笑顔で対応してくださったので筆談でも対応してくださるであろう。と期待。
このようなトリエンナーレは、市民とアートの垣根を下げるのに良い機会。
聞こえない人にも、もっとアートに親しんでもらいたい。
そのための課題を一つ一つクリアしていければ、素敵なイベントになると感じました。
忙しいところ、丁寧に対応してくださった関係者様、ありがとうございました!
※ トリエンナーレ事務局より、SNS掲載について確認・許可いただいています。(展示物は原則としてすべて撮影OK、SNS歓迎)