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NPO法人シアター・アクセシビリティ・ネットワークからみなさまへ

「みんなで一緒に舞台を楽しもう!」を合言葉に活動中。
演劇・舞台を一緒に楽しむため、さまざまな観劇サポートを展開!
 
お問い合わせは「TA-netお問い合わせフォーム」よりお願いいたします。


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<啓発活動報告/全国中途失聴者・難聴者福祉大会へ行ってきました!> [2024年12月19日(Thu)]
「第28回 全国中途失聴者・難聴者福祉大会 in平和の都ひろしま」(2024年11月23日〜25日)に参加しました。
文化庁事業チームとしては、2年前の第26回大会(inおんせん県おおいた)に続き2回目です。
今回もブースを出展し(23日、24日の2日間)、大会に参加された方々へTA-netの活動紹介を行いました。
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展示の内容は、活動内容のパネル、動画再生(@ 舞台手話通訳・字幕・音声ガイドつき演劇「メゾン」 https://youtu.be/Yh28s1FS07E?si=fFL2GLXtD7gnJUad  /A 舞台演劇に手話通訳を!〜演劇の門戸 広げます〜 https://youtu.be/7FQUpYxQbd0?si=X-4SDJMDpylyT9Vn )、啓発チラシや昨年度までの成果報告集の配布、観劇サポートガイドブックの紹介( https://ta-net.org/guidebook/ )などなど。
大会に参加された多くの方が足を止めてくださいました。
私たちスタッフも、活動紹介をしながら、色々お話を聞かせていただき、とても有意義な2日間を過ごすことができました。
「中途失聴者・難聴者の方々から、リアルな声を伺いたい」と今回も付箋を準備して、『映画や舞台の観劇に望むこと』をテーマに色々な思いを書いていただきました。
 
Untitled design.png
・ 大きなイベントだけではなく、小さなイベントにも字幕をつけて欲しい
・ 漢字の字幕にふりがなが欲しい
・ 長文の字幕は読んでいて疲れてしまう
・ 舞台やスクリーンの近くに字幕があると良い
・ 歌詞以外に、MC(ライブ等の合間にあるトーク)にも字幕があると満足感が違う
などなど、本当に様々なご意見をいただくことができました。ご記入いただいた皆さまありがとうございました。
また今回はひろしま文化振興財団の高井様が2日間ご協力くださり、当団体について地元の方々を中心にご紹介いただきました。ありがとうございました。
これからも定期的に様々な場所へ出向き活動紹介をする一方で、『顔を見て話しをする機会』を大切にしていきたいと思います。
豊岡演劇祭2024の報告(3) まとめ [2024年12月15日(Sun)]
終演から時間が経ちましたが、
改めて豊岡演劇祭2024Director's Program青年団『銀河鉄道の夜』舞台手話通訳付き公演について、TA-netメンバーからのコメントを元に振り返りたいと思います。

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◯廣川麻子(コーディネーター)
演劇祭に関わるスタッフの皆さんが、『観劇サポートという取り組み』を心から楽しんでいる様子に安堵し、嬉しく思いました。
受付周りも、(指差しシート)や(注文票)など工夫をしましたが、場面緘黙(かんもく)のお客様から「安心できる空間でした」と喜ばれました。
このように聞こえないだけでなく、観劇サポートはあらゆる観客にとって意義のある取り組みであることを確認できました。ありがとうございました。

◯下坂幸恵(舞台手話通訳)
今回は、配役で舞台手話通訳者が交代するという初体験をしました。
つまり、会話のときなど2人の舞台手話通訳者が同時に舞台に存在します。
手話監修者が2名(男女)ついていただくのも初めて。
子どもが悲しみを乗り越え成長していく文学作品を、深く豊かに監修していただきました。
思いもよらない、翻訳も多く生まれ、長らく見にきていただいている方からは「翻訳が今までで一番」と評価いただき本当にホッとしました。
今回、滞在型で時間をかけて丁寧に作り上げられたのも大きな理由かもしれません。
そして、舞台手話通訳者はわたし1人ではできない、と実感する作品でした。

◯小平美香(舞台手話通訳)
これまで何度も国内外で上演した作品にもかかわらず、演出家、役者や舞台スタッフの皆様は「手話通訳を必要とする人により伝えるため」と舞台手話通訳が入ることで起こる変化を柔軟に受け容れてくれました。稽古が進むにつれて自分も「舞台を創る一人」だと感じられ、臆することなく参加できました。
舞台手話通訳の経験豊富な先輩と組ませていただけたこと、手話監修者お二人の粘り強い指導と温かな励まし、アシスタント・事務局の皆様の手厚いサポートにも大変助けられました。
感謝しかありません。

◯馬場博史(手話監修)
手話監修者として「何が最善か」を考え続けていくことが何より大事ではないかと思いました。
現場で集まったメンバー全員で現在の状況を知り、「何が最適なのか」考え続けることが必要だと思ったこと。私にとって貴重な経験ができました。
最終的には最高のチームを作れる形ができ、心から少しホッとしました。
本当にありがとうございました。

◯中村千穂(手話監修))
豊岡演劇祭の舞台手話通訳監修は何よりオリザ先生が舞台手話通訳について大変理解を示してくださり、都度都度提案してくださったり逆にこちらの提案も受け入れてくださったり、劇団員のかたも一緒に作り上げようとしてくださりとてもいい経験になりました。
手話通訳者のおふたりが必死に食らいついてくださり、ここまでやれたことはよかったと思います。私もいい経験ができました、ありがとうございます。

◯久保沢香菜(アシスタント)
アシスタント(主に稽古場の通訳)として参加しました。
小屋入り〜初日までの稽古の時間は当然限りがあります。限られた時間で、手話監修の中村さんと馬場さん、コーディネートの廣川さんが言いたいことを適切に伝えなくてはいけません。ですが、言いたいことも言葉選びも、言い方ひとつで雰囲気を壊したり、聴者に誤解を与えたりします。いわゆる、声の抑揚や強弱は聴者の文化だと改めて感じることがこの1週間で多くありました。ですので、不要な遠慮や我慢ではなく、演出家との折り合いはつけていかなければいけないと思います(今回は平田オリザさんの理解が高く、逆に拍子抜けする場面もあったくらいですが)。そこには舞台手話通訳者や監修とはまた違う集中力が必要になってきます。そんな中、今回は5日間ということでしたが、稽古の時間はそこだけに集中させてもらえる恵まれた環境でした。
一人ひとりが自分の持ち回りだけに集中できるということは、結果的に作品をより良くするための毎日に直結していると改めて感じた豊岡演劇祭でした。

◯浅野慶子(アシスタント・事務局)
限られた時間のなか、皆さんがそれぞれの立場で、より良いと願う方向に向かってベストを尽くされている様子に大きな刺激を受けました。
まだまだ力不足の自分を振り返りつつ、いろんな人にこの経験をしてもらえたらなぁと思う素晴らしい現場でした。ぜひ挑戦してみてください!

◯端野真佐子(事務局)
普及啓発として
全国から演劇関係者が集まる豊岡演劇祭で舞台手話通訳付き演劇公演が実施できることはモデル事業としても意義のあることだと感じました。6月には豊岡演劇祭の制作スタッフさんや大学生たちとアクセシビリティ対応に関する研修機会を持ち、また作品創作においては青年団のみなさんと共に意見交換しながら取り組めたこともよかったと思います。

◯小原郁子(アシスタント・事務局)
今回、アシスタント同士の振り返りの場を持つことで、舞台手話通訳者や手話監修者との関わり方を一致させることができました。
『みんなで一緒に作り上げていく』、という気持ちがそれぞれにあったからこそ、今回のような形ができたと思っています。これをモデルの一つとして、さまざまな地域、団体で同じような活動が広がることを願っています。


<インターン生からの声もご紹介します>
・小・中と近くに聾学校・盲学校があり、年に1度交流をしていた。そのため聴覚障害者への鑑賞サポートに関心を持った。「ありがとう」「おはよう」といった簡単な手話を覚えた。
・手話は声を使わないために静かに会話するものだと思っていたが、みなさんの様子を見ていると、とても賑やかで楽しそうにコミュニケーションをとっているので興味を持った。手話を学びたいと思っている。


最後に
青年団が長年上演している『銀河鉄道の夜』を舞台手話通訳と字幕付きで上演できたことをとても嬉しく思います。

『また、いつか、どこかで』
様々な方々とこの言葉を交わしながら、手話チームは劇場を後にしました。
この出会いをキッカケに繋がりは確実に広がっていくでしょう。

また、いつか、どこかの劇場でお会いし、
同じ作品を、同じ時間、同じ空間で、一緒に楽しみましょう!
TA-net舞台手話通訳チームの集合研修を開催しました(2) 発表会へ [2024年11月19日(Tue)]
☆1日目のBlog→ https://blog.canpan.info/ta-net/archive/835

研修2日目/6日(日)10時

発表会の会場で照明の範囲や操作卓の説明を聞いてから、各チームの稽古が始まりました。
3つの部屋を時間ごとに交代で利用し、それぞれが集中した時間を過ごします。
本番会場が使用できる時には、広さや照明を確認。
通しを撮影して確認し、また稽古を重ねるなど、発表会ギリギリまで今回の挑戦は続きました。

そして、いよいよ発表会へ。
途中で椅子を増やすほどの大盛況!
44名もの方にお越しいただきました。

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・「公演」ではなく「発表会」である
・今回の研修の目的や意図
等の説明があり、上演が始まりました。

Aチーム/キンダイゲキセン「コンプレックス」
Bチーム/彗星マジック「深夜バス」
Cチーム/劇団ヘラヘラ企画「イス」

参加者も一緒に客席でそれぞれの作品をお客様と一緒に観劇しました。
これも発表会ならではの時間ではないでしょうか。

3チームの上演後は、「感想シェア会」へ。
観劇して終わるのではなく、観客と参加者が感想や意見を交換し、今後の「舞台手話通訳つき演劇」の在り方について一緒に考えていく大切な時間として実施しました。

チーム毎に観客から質問や感想、意見をもらい、演出家や手話監修者が応えていきます。

主な意見をご紹介
A
観客)舞台手話通訳者が複数人同時に通訳すると、一度に目に入らず見にくかった

監修)後方の席では一度に見えて良かった。色々な場所での見え方がある
研修なので、俳優1名に対し、1名の舞台手話通訳者が担当する形を取り入れてみた

B
観客)面白かったが、俳優のどちらが話しているのか分からなかった
演出)ただ通訳するのではなく、舞台手話通訳者も演者として作り上げたかった
観客)ピアノのシーン…何の意味があるのか分からなかった
監修)
・音楽…ピアノ(その場にはなく、音だけ聞こえる)の表現は課題である
・ろう者にとっての音楽とは何かと、様々な工夫をした

C
観客)通訳者なのか演者なのか、入れ替わったところが分からなかった
演出)分からなかったと、ろう者の方から意見をもらったが、きっと聴者も分からない人が多かったと思う。分かりやすくも作れたが、もっと複雑にした方が脚本の世界が伝わると思ってチャレンジした。
監修)固定型で作り最後に壊す挑戦をした。分からないのも正解だと思う。


他には、全体に関してこんな感想も
・3つの話を一度に観ることができる大切な機会だった
・情報保障として端についているのではなく、舞台手話通訳者も含めた演出プランを作る形は、近年広がってきていると思う
・観客にあらゆるパターン、ジャンル、種類、数を観せられると観客の想像力が広がる
・慣れていないと理解するのに時間がかかるが、このような機会が増えると良いと思う

ののさんの総評では
・舞台手話通訳つき公演に出演したことはあるが、観劇は初体験
・ジャンルの異なる作品に、それぞれのチームが「この方法が良い」と考えていた
・舞台手話通訳の種類が増え、表現の中により深く入り込むことになったと思う
・舞台手話通訳には多くの人が関わっていると改めて感じた
・課題も見つかった
 観客の「分からない」にも色々な理由がある
・観劇の経験値がまだ浅い人が多いため、今回のような機会が増えると、新しい可能性が広がると思う

とのコメントをいただきました。(一部抜粋)

お客様をお見送りしたあとは、
A、B、Cチームに再び分かれて、この2日間を振り返ります。

手話チームは、「自分の役割を遂行できたのか」
劇団の方は「初めて舞台手話通訳つき演劇に挑戦しどう感じたのか」

もっと話したい!と各チームから声が上がるほど、熱い振り返りになりました。
それぞれが今後につながる何かを持ち帰る時間になったのではないでしょうか。

Aチーム
・チームの大切さを実感した
・会話が重なる部分をどう伝えていくのか考えたい

Bチーム
・一緒に作れて良かった
・見せ物として作るには、もっとやってみたい

C
・アシスタントの意見をもらいながら、みんなの意見をもらって監修できた
・初めて、舞台上に俳優以外が立っている経験をし、色々なことをしてもらった
・それぞれが、自分の役割を自分で考えて動けた


この発表を受け、ののさんから総評をいただきました。
・チーム毎に、さまざまなコミュニケーションがあり、それぞれのチャレンジやアプローチがあった
・舞台手話通訳の世界を経験すると、俳優以外の誰かがいる心強さを実感でき表現が深まる
・今日はこれがベスト。稽古を重ねたら違うものになると思うため、続けて欲しい
・色んな作品について、観劇できる機会が増えると良いなと思う


廣川理事長からは
・合同の稽古は計8時間と短い中で、一つの作品を創り上げられた
・これからまた繋がり、広げていって欲しい
・大きな一歩になったと思う
と参加者に対するコメントがありました。


本当にあっという間だった2日間。
なかなか顔を合わせることのない全国のTA-netメンバーが顔を揃えたこと。
参加してくださった三団体の皆様とご一緒でき、とても濃い時間が過ごせたこと。
そして、大阪市立芸術創造館の館長ののあざみさんのご協力があってこそ。
舞台手話通訳つき演劇の可能性が広がる大切な時間になりました。

次回はまた別の地で。
研修を開催したいと思います!

そして今回の繋がりが続いていくことも期待しています。
TA-net舞台手話通訳チームの集合研修を開催しました! [2024年11月01日(Fri)]
10月5日(土)、6日(日)
2年ぶりの集合研修を開催しました。
この研修は、受諾している文化庁委託事業の中の一事業です。

前回は、舞台手話通訳者と手話監修者は別々の機会に研修を行いましたが
今回は、手話通訳協力者も含めた『舞台手話通訳チーム』として実施。

全国のTA-netメンバーが24名(ろう者:4名、聴者:20名)、賑やかに集まりました!

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この企画は、大阪市立芸術創造館様との共催事業として企画から運営まで様々なご協力をいただき実施することができました。
この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。


さて、研修の内容は
「舞台手話通訳付き演劇を作ろう」と題して最後には発表会を実施する企画。
初日から、時間に沿ってご紹介します。

5日(土)10時
全国から、参加者が続々と会場に集まります。
久しぶりの再会、リアルで会うのは初めて、初めましての方等々。
それでも同じTA-netメンバーなので、あちこちで話に花が咲きました。

まずは、アイスブレイクから。
参加者が円になって座り、「サインネーム」で自己紹介。
(サインネームとは、音声言語における「あだ名」に相当する表現。人物の特徴等から作られます。)
自分のだけではなく、自分より左側に座った人のサインネームも続けて紹介。
「私のサインネームはなんでしょう?」で、全員が表現し、しっかりインプットできました。

続いては、「アシスタント」についてのディスカッション。
使用言語は、基本『手話』との説明から始まりました。

発表会用のグループに分かれて、付箋と模造紙をフル活用し、書き込みながら色々なことを話し合っていきます。
・良かったこと。ポジティブな意見
・困ったこと。ネガティブな意見
・望むこと。解決策
・ポジティブ、ネガティブなことで結果起きたこと

グループそれぞれで、活発な意見交換が行われました。
時間が足りずに「延長」をお願いするチームも。

少しだけ内容をご紹介。
・手話通訳、情報保障とは何か
・舞台手話通訳チーム内で、それぞれの役割を明確にする
・舞台手話通訳つき公演の目的は何か(作品づくり、観劇してもらう)
・お互いに遠慮なく話し合える環境、関係性が大切
・全ては信頼関係があってこそ
・舞台の成功に向かって一緒に進んでいく仲間であり、役割は異なるが、対等な立場
こんなことを話し合いました。

そして、発表、全体でディスカッションと進んでいきます。

質疑応答もしながらまとめた結果
【良い作品を作るためにアシスタントのあるべき姿】とは
◎聞こえて手話もわかる大切な存在
・舞台手話通訳者の手話が俳優の声やタイミングとずれている時等は、そのことをきちんと伝えることが大切
◎事前準備が必要(ただ行くのではなく)
・舞台手話通訳者と同じように、台本を読み込み手話に翻訳する
・稽古場情報やスケジュール等を把握する
・演劇の知識やマナーを知ることも大切
◎伝え方が大切
・気遣いのある言葉を選択(こちらの方がより良くなる等)
◎現場ごとに「アシスタントはどこまで担うのか」を話し合い、役割を明確にしておくことが大切

経験も立場も地域も異なるメンバーがお互いにさまざまなことを話し合う。
とても貴重な機会になりました。

そして、午後の部へ。

その前に…昼食中もあちこちで話に花が咲いています。
同じ目標を持ったもの同士、数年ぶりに会っても初対面でも話題が尽きることはありません。


(午後の部)
いよいよ、「ご自身の公演に舞台手話通訳をつけてみたい団体」として応募してくださった三団体(キンダイゲキセン、彗星マジック https://suiseimagic.uijin.com/ 、劇団ヘラヘラ企画 https://x.com/hrhrkikakudayo )の皆さまと合流します。

募集・.jpg

受付を終えたら、チーム毎に元気に自己紹介。
早速、サインネームを考えるチームもありました。

全体で自己紹介した後は
芸術創造館の館長ののあざみさんからのご挨拶。
・自分も舞台手話通訳つき演劇を経験したことがあり、とても良い経験になった
・「言葉を見つめ直す良い機会」
・情報保障であり表現
・作品に深みや広がりを持てる
ご自身の経験から感じたことを全員に伝えてくださいました。

続いては、TA-netの廣川理事長によるレクチャー。
豊岡演劇祭の公演前に行ったように、舞台手話通訳や観劇サポートについて、特に団体の方に向けてお話をしました。   
参考: 豊岡演劇祭2024の報告(レクチャー編)
https://blog.canpan.info/ta-net/archive/834

そして、いよいよ! 各チームの稽古が始まります。
どのチームもギュッと集中して、それぞれのやり方で稽古をしていました。

この先は、「発表会当日」へ続きます。
豊岡演劇祭2024の報告 (2)レクチャー編 [2024年10月14日(Mon)]
☆前回のBlog☆
豊岡演劇祭2024の報告(1)はじめに 
https://blog.canpan.info/ta-net/archive/833

豊岡演劇祭2024Director's Program青年団『銀河鉄道の夜』舞台手話通訳付き公演。
毎公演前に、『「舞台手話通訳」とは?』と題し、理事長の廣川が20分ほどのレクチャーを行いました。
レクチャーの内容を簡単にご紹介いたします。

ーーー
今回の「舞台手話通訳付き公演」は、豊岡演劇祭の公式プログラムとして、初の取り組みであることを最初に紹介。
次に、「観劇サポート(障害の有無を問わず、さまざまな舞台を自由に楽しむ方法)」について説明し、廣川のさまざまな経験を交え、観劇サポートの歴史も踏まえて、舞台手話通訳についてお伝えしました。
・日本で演劇を観る際に、苦労しながら「非公式で台本を借りていた」こと。
・イギリスへ一年間留学し、60本以上を観劇し、その経験から「日本でもイギリスと同じように楽しみたい」とTA-netを設立するに至った想い。
・2018年度から取り組んでいる舞台手話通訳者の育成と普及について。
・手話通訳と舞台手話通訳はどう違うのか。
特に、「舞台手話通訳付き公演」の制作過程についても丁寧に説明しました。
・話している内容や情報を伝える意味では一般的な手話通訳と同じであること。
・準備の過程(稽古時間をとり、俳優やスタッフたちと調整して制作する)について。
・俳優と共に稽古する時間と手話チームのみで行う稽古と分けて行うこと
また、大切にしていることについて
・作品の理解(台本、映像の読み込み)
・作品の魅力、世界観を大切にすること
・俳優の演技を生かすことなどなど。
そして、今回の作品を観劇する前に覚えて欲しい「サインネーム」も紹介しました。
※サインネームとは、音声言語における「あだ名」に相当する表現。人物の特徴等から作られます。
ーーー

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受付に来てからレクチャーがあると知った方もいれば、表に並んでいる時から「レクチャーはチケットがあれば見られますか?」とスタッフの方に質問している方もお見かけしました。
特に初日はレクチャーを行った部屋の椅子が足りなくなるほどの大盛況!
TA-netが広めている「観劇サポート」について知っていただくとても良い機会になりました。
そして、事前に行うことで、観劇がより楽しめる。
初めて観劇サポートつきで観劇する方にとっても、知っていると知らないとでは、観劇した際の感覚が違ったのではないでしょうか。
この取り組みを「同じ作品を、同じ時間、同じ空間で、一緒に楽しむ」ために今後も多くの場所で取り入れていけると良いと思っています。


〜Bまとめに続く
豊岡演劇祭2024の報告(1) はじめに [2024年09月30日(Mon)]
豊岡演劇祭2024Director's Program青年団『銀河鉄道の夜』舞台手話通訳付き公演。
9月14日(土)、15日(日)大盛況のうちに幕を閉じました。
途中で追加公演も決定し、計4公演共に本当に多くの方にお越しいただきありがとうございました。

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豊岡演劇祭での初めての試み。
終演後のロビーでは、「こんなストーリーだと初めて知った」「また観たい!」とそれぞれの感想を手話で語る姿がとても印象的でした。
また、レクチャーの際には、「初めて舞台手話通訳付き公演を観る方」との問いかけに、多くの手が挙がりました。
TA-netが作成したアンケートの中には、「情報アクセシビリティ付き公演だと知らなかった」を選択された方も多く、豊岡演劇祭ならではの客層の広さを感じる時間になりました。

今回の公演が決まってから、まずTA-netが行ったことは、『手話チームの選定』
公演毎に人数は多少異なりますが、今回の手話チームは
・舞台手話通訳(今回は2名。関西から下坂幸恵、北海道から小平美香)
・手話監修(関西から中村千穂、馬場博史)
・コーディネーター(廣川麻子)
・稽古場手話通訳(久保沢香菜)
・事務局で構成。
事前に打合せや、台本の手話翻訳等の自主稽古を進め、9月8日(日)から現地入りして合流。
そして、本番前日の公開ゲネプロには、観劇モニターも3名参加しました。

舞台手話通訳付き公演を実施するには、劇団とは別に多くの人材が参加し、一緒に舞台を創り上げていきます。

現地入りしてからの8日間は、劇団の皆さんと一緒に稽古をし、作品を形にしていきました。
平田オリザさん、青年団の皆さん、豊岡演劇祭実行委員会の皆さん、会場スタッフの皆さんと一緒にとても濃い時間を過ごすことができました。

舞台手話通訳には、様々な形があるのですが、今回は時間での交代制ではなく、2名が常に舞台上にいて、配役毎に担当する形を選択。
俳優と舞台手話通訳者が一緒に動く、また近くにいるため、観客は俳優と舞台手話通訳者を同時に視界に入れることができます。
その他にも舞台手話通訳者も舞台上にいることで、作品に溶け込むことができる良さもあると思います。

今回は、青年団が長年上演している作品を「舞台手話通訳付き公演」にするために、今までと演出方法を変更して対応してくださるなど、新しい作品を一緒に創り上げる時間になりました。
これも、今回の豊岡演劇祭での大きな成果ではないでしょうか。

〜Aレクチャー編に続く〜
今年度の活動紹介! [2024年08月01日(Thu)]
TA-netは、2022年度・23年度に引き続き、今年度も文化庁委託事業「令和6年度 障害者等による文化芸術活動推進事業」を受託し、「舞台手話通訳者の人材育成および実践普及、観劇サポート啓発」に取組んでいます。
今回は、全部で五つある取組みについてご紹介します。

一つ目。
舞台手話通訳・字幕・音声ガイドつき演劇「メゾン」
昨年度、三重県津市・香川県丸亀市で上演し、どちらも満員御礼となった「メゾン」。
今年度は11月15日(金)新潟県新潟市での公演が決まりました。
3人の俳優が、家族(両親と息子)の30年間を演じるこの作品は、舞台手話通訳、字幕、音声ガイドの観劇サポートがフルで導入されており、上演前には事前舞台説明(10分)、終演後にはアフタートークを行います。また、同日には観劇サポートワークショップも開催。
チケット販売は9月18日(水)〜。 
新潟県近郊の方とお会いできる機会を楽しみにしています。

◎ 新潟県障害者芸術文化活動支援センター イベントサイト https://x.gd/VlQwq
◎ りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館
https://www.ryutopia.or.jp/performance/event/33968/
◎ 理事長の廣川による告知動画(手話・字幕・音声つき) 
https://youtu.be/wpvTWsekEOQ

二つ目。
豊岡演劇祭Director's Program青年団『銀河鉄道の夜』舞台手話通訳付き公演。
(9/14(土)、15(日)の計3公演)
宮沢賢治の名作童話を鮮やかに舞台化した人気作。
国内外でたくさんの旅をしてきた、大人も子どもも楽しめる作品が今回、初めて舞台手話通訳付きで上演されます。

◎ 公演サイト https://toyooka-theaterfestival.jp/program/9054/
◎ 演劇祭サイト https://toyooka-theaterfestival.jp/
◎ 紹介動画
https://youtu.be/Eb4sQ8bT780?feature=shared

※ 尚、こちらの公演は8月1日現在、チケット完売になっています。
後日、空きが出る可能性あり。 
詳しくは、公式サイトをご確認ください。

三つ目。
全国への舞台手話通訳派遣公募プログラム。
こちらも3年目の取組みになり、今年度は一団体を募集。
審査の結果、採択団体は、エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ株式会社様に決まりました。
対象となる公演は、タクフェス第12弾『夕 -ゆう-』( https://takufes.jp/yuu2024/  )
最高に切ない夏の物語として人気を誇る名作が、10年ぶりに豪華キャストで復活します。
11月〜12月にかけて東京、大阪、福岡、名古屋、札幌と5都市にて上演。
全ての会場で舞台手話通訳つき公演が行われます。
※ 全公演ではないため、詳細は公式ホームページをご確認ください。

四つ目。
舞台手話通訳者・監修者集合研修2024 in大阪
10/5(土)、6(日)の2日間、TA-netの舞台手話通訳チームが全国から集合し、2年ぶりの集合研修を開催。
(共催:大阪市立芸術創造館様)
現在、舞台手話通訳つき演劇の体験をしたい団体(3団体)を募集中です。
舞台手話通訳つき演劇に興味のある方のご参加をお待ちしています。

大阪市立芸術創造館 紹介ページ
https://geijutsusozokan.jp/news/news240716/


五つ目。
啓発・普及事業。
日々のSNSやメルマガ配信。
時には全国各地へ足を運び、直接PRもしています。
6月は、第72回全国ろうあ者大会in和歌山に参加。 多くの方と交流、また質問をいただく機会になりました。

また、TA-netでは、以下のサイトやメルマガを運営しています。
◎ 全国の観劇サポートつき公演やワークショップ等の情報は、アクセシビリティ公演情報サイト
https://ta-net.org/event/
◎第2・4木曜日と第1・3金曜日に2種類のメルマガを発行中。
https://sv1.mgzn.jp/sys/reg.php?cid=M911717
◎X(旧Twitter)もまめに更新しています。 https://x.com/theatera_net


文化庁事業以外にも、TA-netでは様々な活動を行っています。
今年一年、皆様にお会いできる機会が目白押し。 
ぜひ各地で、一緒に舞台を楽しみましょう!
『ご案内』「舞台手話通訳つき公演」に取り組みたい団体を募集します! [2024年05月22日(Wed)]
TA-netは、今年度も文化庁の委託事業として「舞台手話通訳者の人材育成および実践普及、観劇サポート啓発」を実施する運びとなりました。
この舞台手話通訳つき公演をサポートする、全国への舞台手話通訳派遣『公募プログラム』も3年目!
本事業は、舞台手話通訳者や手話監修者の実践の場を創出しながら、ろう者、難聴者観劇機会の充実に向けて全国の劇場・音楽堂等や芸術団体等と協働し、アクセシビリティの充実した公演制作の普及啓発を目指すものです
2022年度は5団体、2023年度は3団体の皆さまと共に、舞台手話通訳つきの公演に取り組みました。

今年は、1団体を募集します。 

TA-netが公演内容に応じて舞台手話通訳及び手話監修等を派遣し、コーディネーターが稽古から本番開催までサポートします。

まだ舞台手話通訳つき公演を観たことのない方々に観劇するきっかけを作りたい。
そして、多くの方と一緒に「同じ作品を・同じ場所で・同じ時間に楽しむ」そんな機会を一緒に作りませんか?

締め切りは、「6月14日(金)」です。
詳しくは、募集要項をご覧ください。

【掲載用】2024公募プログラム募集要項
https://docs.google.com/document/d/1_5v8oTppSULbZE3M2A33BnMnXY_U5B1f/edit?usp=share_link&ouid=117977708080697156545&rtpof=true&sd=true

PDF版
https://drive.google.com/file/d/11ngcceOEjqLcc36JRwJBH_auHLMGmuSg/view?usp=share_link



全国さまざまな場所からのご応募お待ちしております!
TA-net成果報告会(第10回シンポジウム)のオンデマンド配信開始! [2024年03月29日(Fri)]
毎年、この時期に開催しています「TA-netシンポジウム」
早いもので10回目となりました。

昨年度に引き続き、令和5年度もTA-netは文化庁の委託事業として「舞台手話通訳者の人材育成および実践普及、観劇サポート啓発」において様々な事業を実施しました。

今回は、成果報告会としてこの1年の事業内容や関わってくださった方々に様々な思いをお話していただき、オンデマンド配信いたします。

『みんなで一緒に舞台を楽しもう!』を合言葉に全国の様々な場所で活動した一年間。
その成果をぜひご覧ください。

視聴申込みは、Googleフォーム( https://forms.gle/ApGZg1jvX5c5n2tX7 )からお願いします。
申込者限定で特設サイトをご案内いたします。

特設サイトには
・成果報告会の動画(音声日本語/日本手話/日本語字幕付き)
・成果報告書のデータ版(冊子版を希望の方は別途お申し込みください)

さらに過去の舞台手話通訳に関する動画が展開されています!

視聴は無料ですので、お気軽にお申し込みください。
また申込フォームのシェア・拡散、大歓迎です。

多くの方のお申し込みをお待ちしています。


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文化庁委託事業「令和5年度障害者等による文化芸術活動推進事業」舞台手話通訳者の人材育成および実践普及、観劇サポート啓発

成果報告会
【内容】
 1 報告会のご挨拶 (TA-net 廣川麻子)
 2 メゾン巡回公演報告 (三重公演、丸亀公演)
 3 公募プログラム報告 (PANCETTA、合同会社メメントC、スターリーシアター株式会社)
 4 終わりの挨拶  

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ワーク・イン・プログレスを開催しました! [2023年08月20日(Sun)]
東京都江東区にある森下スタジオにて、舞台手話通訳・字幕・音声ガイド付き演劇「メゾン」をワーク・イン・プログレスとして実施、また同時にアフタートークと鑑賞サポートワークショップを開催しました。
今回は一般的な公演ではなく、ワーク・イン・プログレスとして、TA-netと関わりのある劇場や演劇関係者の方々にご覧いただきました。

初めて鑑賞サポート付きで鑑賞した方も多く、アフタートークやアンケートを通じ、多くのご意見をいただくことができました。
この企画は、文化庁委託事業として全国巡回を実現するための第一歩です。
劇場へ足を運ぶことに馴染みがない、なかなか行く機会がない方々に対し、観劇の機会を創出したい。そのために、鑑賞サポート付き公演を全国様々な場所で開催したい。
そのような思いから今回の企画を立ち上げました。

余談になりますが、私自身がTA-net主催の舞台手話通訳者養成講座を受講したのが2018年のこと。「こんな世界があるんだ! ぜひ関わりたい」と思ったあの日の気持ちを今でのハッキリと覚えています。
あれから5年の歳月がたち、少しずつ鑑賞サポート付き公演は増えてきているように思います。ただ、まだまだ『同じ作品を・同じ場所で・同じ時間に楽しむ』ことが難しい方がいるのも現状です。
そのためには、このような取り組みがあると発信し、鑑賞サポートについて学ぶ機会を創出し、公演を実現していく団体や劇場が増えること。
そして様々な方が『同じ作品を鑑賞し、その作品について語り合う』時間が生まれること。
そのような機会を増やしていくために、今後もTA-netは活動していきたいと思います。

最後に、今回ご協力いただきましたセゾン文化財団様には、TA-net設立当初の2014年〜3年間、観劇サービス支援事業として助成していただき大変お世話になりました。
その関係もあり、今回の森下スタジオでの開催が実現しました。
この度も誠にありがとうございました。
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