豊岡演劇祭2024の報告(3) まとめ
[2024年12月15日(Sun)]
終演から時間が経ちましたが、
改めて豊岡演劇祭2024Director's Program青年団『銀河鉄道の夜』舞台手話通訳付き公演について、TA-netメンバーからのコメントを元に振り返りたいと思います。

◯廣川麻子(コーディネーター)
演劇祭に関わるスタッフの皆さんが、『観劇サポートという取り組み』を心から楽しんでいる様子に安堵し、嬉しく思いました。
受付周りも、(指差しシート)や(注文票)など工夫をしましたが、場面緘黙(かんもく)のお客様から「安心できる空間でした」と喜ばれました。
このように聞こえないだけでなく、観劇サポートはあらゆる観客にとって意義のある取り組みであることを確認できました。ありがとうございました。
◯下坂幸恵(舞台手話通訳)
今回は、配役で舞台手話通訳者が交代するという初体験をしました。
つまり、会話のときなど2人の舞台手話通訳者が同時に舞台に存在します。
手話監修者が2名(男女)ついていただくのも初めて。
子どもが悲しみを乗り越え成長していく文学作品を、深く豊かに監修していただきました。
思いもよらない、翻訳も多く生まれ、長らく見にきていただいている方からは「翻訳が今までで一番」と評価いただき本当にホッとしました。
今回、滞在型で時間をかけて丁寧に作り上げられたのも大きな理由かもしれません。
そして、舞台手話通訳者はわたし1人ではできない、と実感する作品でした。
◯小平美香(舞台手話通訳)
これまで何度も国内外で上演した作品にもかかわらず、演出家、役者や舞台スタッフの皆様は「手話通訳を必要とする人により伝えるため」と舞台手話通訳が入ることで起こる変化を柔軟に受け容れてくれました。稽古が進むにつれて自分も「舞台を創る一人」だと感じられ、臆することなく参加できました。
舞台手話通訳の経験豊富な先輩と組ませていただけたこと、手話監修者お二人の粘り強い指導と温かな励まし、アシスタント・事務局の皆様の手厚いサポートにも大変助けられました。
感謝しかありません。
◯馬場博史(手話監修)
手話監修者として「何が最善か」を考え続けていくことが何より大事ではないかと思いました。
現場で集まったメンバー全員で現在の状況を知り、「何が最適なのか」考え続けることが必要だと思ったこと。私にとって貴重な経験ができました。
最終的には最高のチームを作れる形ができ、心から少しホッとしました。
本当にありがとうございました。
◯中村千穂(手話監修))
豊岡演劇祭の舞台手話通訳監修は何よりオリザ先生が舞台手話通訳について大変理解を示してくださり、都度都度提案してくださったり逆にこちらの提案も受け入れてくださったり、劇団員のかたも一緒に作り上げようとしてくださりとてもいい経験になりました。
手話通訳者のおふたりが必死に食らいついてくださり、ここまでやれたことはよかったと思います。私もいい経験ができました、ありがとうございます。
◯久保沢香菜(アシスタント)
アシスタント(主に稽古場の通訳)として参加しました。
小屋入り〜初日までの稽古の時間は当然限りがあります。限られた時間で、手話監修の中村さんと馬場さん、コーディネートの廣川さんが言いたいことを適切に伝えなくてはいけません。ですが、言いたいことも言葉選びも、言い方ひとつで雰囲気を壊したり、聴者に誤解を与えたりします。いわゆる、声の抑揚や強弱は聴者の文化だと改めて感じることがこの1週間で多くありました。ですので、不要な遠慮や我慢ではなく、演出家との折り合いはつけていかなければいけないと思います(今回は平田オリザさんの理解が高く、逆に拍子抜けする場面もあったくらいですが)。そこには舞台手話通訳者や監修とはまた違う集中力が必要になってきます。そんな中、今回は5日間ということでしたが、稽古の時間はそこだけに集中させてもらえる恵まれた環境でした。
一人ひとりが自分の持ち回りだけに集中できるということは、結果的に作品をより良くするための毎日に直結していると改めて感じた豊岡演劇祭でした。
◯浅野慶子(アシスタント・事務局)
限られた時間のなか、皆さんがそれぞれの立場で、より良いと願う方向に向かってベストを尽くされている様子に大きな刺激を受けました。
まだまだ力不足の自分を振り返りつつ、いろんな人にこの経験をしてもらえたらなぁと思う素晴らしい現場でした。ぜひ挑戦してみてください!
◯端野真佐子(事務局)
普及啓発として
全国から演劇関係者が集まる豊岡演劇祭で舞台手話通訳付き演劇公演が実施できることはモデル事業としても意義のあることだと感じました。6月には豊岡演劇祭の制作スタッフさんや大学生たちとアクセシビリティ対応に関する研修機会を持ち、また作品創作においては青年団のみなさんと共に意見交換しながら取り組めたこともよかったと思います。
◯小原郁子(アシスタント・事務局)
今回、アシスタント同士の振り返りの場を持つことで、舞台手話通訳者や手話監修者との関わり方を一致させることができました。
『みんなで一緒に作り上げていく』、という気持ちがそれぞれにあったからこそ、今回のような形ができたと思っています。これをモデルの一つとして、さまざまな地域、団体で同じような活動が広がることを願っています。
<インターン生からの声もご紹介します>
・小・中と近くに聾学校・盲学校があり、年に1度交流をしていた。そのため聴覚障害者への鑑賞サポートに関心を持った。「ありがとう」「おはよう」といった簡単な手話を覚えた。
・手話は声を使わないために静かに会話するものだと思っていたが、みなさんの様子を見ていると、とても賑やかで楽しそうにコミュニケーションをとっているので興味を持った。手話を学びたいと思っている。
最後に
青年団が長年上演している『銀河鉄道の夜』を舞台手話通訳と字幕付きで上演できたことをとても嬉しく思います。
『また、いつか、どこかで』
様々な方々とこの言葉を交わしながら、手話チームは劇場を後にしました。
この出会いをキッカケに繋がりは確実に広がっていくでしょう。
また、いつか、どこかの劇場でお会いし、
同じ作品を、同じ時間、同じ空間で、一緒に楽しみましょう!
改めて豊岡演劇祭2024Director's Program青年団『銀河鉄道の夜』舞台手話通訳付き公演について、TA-netメンバーからのコメントを元に振り返りたいと思います。

◯廣川麻子(コーディネーター)
演劇祭に関わるスタッフの皆さんが、『観劇サポートという取り組み』を心から楽しんでいる様子に安堵し、嬉しく思いました。
受付周りも、(指差しシート)や(注文票)など工夫をしましたが、場面緘黙(かんもく)のお客様から「安心できる空間でした」と喜ばれました。
このように聞こえないだけでなく、観劇サポートはあらゆる観客にとって意義のある取り組みであることを確認できました。ありがとうございました。
◯下坂幸恵(舞台手話通訳)
今回は、配役で舞台手話通訳者が交代するという初体験をしました。
つまり、会話のときなど2人の舞台手話通訳者が同時に舞台に存在します。
手話監修者が2名(男女)ついていただくのも初めて。
子どもが悲しみを乗り越え成長していく文学作品を、深く豊かに監修していただきました。
思いもよらない、翻訳も多く生まれ、長らく見にきていただいている方からは「翻訳が今までで一番」と評価いただき本当にホッとしました。
今回、滞在型で時間をかけて丁寧に作り上げられたのも大きな理由かもしれません。
そして、舞台手話通訳者はわたし1人ではできない、と実感する作品でした。
◯小平美香(舞台手話通訳)
これまで何度も国内外で上演した作品にもかかわらず、演出家、役者や舞台スタッフの皆様は「手話通訳を必要とする人により伝えるため」と舞台手話通訳が入ることで起こる変化を柔軟に受け容れてくれました。稽古が進むにつれて自分も「舞台を創る一人」だと感じられ、臆することなく参加できました。
舞台手話通訳の経験豊富な先輩と組ませていただけたこと、手話監修者お二人の粘り強い指導と温かな励まし、アシスタント・事務局の皆様の手厚いサポートにも大変助けられました。
感謝しかありません。
◯馬場博史(手話監修)
手話監修者として「何が最善か」を考え続けていくことが何より大事ではないかと思いました。
現場で集まったメンバー全員で現在の状況を知り、「何が最適なのか」考え続けることが必要だと思ったこと。私にとって貴重な経験ができました。
最終的には最高のチームを作れる形ができ、心から少しホッとしました。
本当にありがとうございました。
◯中村千穂(手話監修))
豊岡演劇祭の舞台手話通訳監修は何よりオリザ先生が舞台手話通訳について大変理解を示してくださり、都度都度提案してくださったり逆にこちらの提案も受け入れてくださったり、劇団員のかたも一緒に作り上げようとしてくださりとてもいい経験になりました。
手話通訳者のおふたりが必死に食らいついてくださり、ここまでやれたことはよかったと思います。私もいい経験ができました、ありがとうございます。
◯久保沢香菜(アシスタント)
アシスタント(主に稽古場の通訳)として参加しました。
小屋入り〜初日までの稽古の時間は当然限りがあります。限られた時間で、手話監修の中村さんと馬場さん、コーディネートの廣川さんが言いたいことを適切に伝えなくてはいけません。ですが、言いたいことも言葉選びも、言い方ひとつで雰囲気を壊したり、聴者に誤解を与えたりします。いわゆる、声の抑揚や強弱は聴者の文化だと改めて感じることがこの1週間で多くありました。ですので、不要な遠慮や我慢ではなく、演出家との折り合いはつけていかなければいけないと思います(今回は平田オリザさんの理解が高く、逆に拍子抜けする場面もあったくらいですが)。そこには舞台手話通訳者や監修とはまた違う集中力が必要になってきます。そんな中、今回は5日間ということでしたが、稽古の時間はそこだけに集中させてもらえる恵まれた環境でした。
一人ひとりが自分の持ち回りだけに集中できるということは、結果的に作品をより良くするための毎日に直結していると改めて感じた豊岡演劇祭でした。
◯浅野慶子(アシスタント・事務局)
限られた時間のなか、皆さんがそれぞれの立場で、より良いと願う方向に向かってベストを尽くされている様子に大きな刺激を受けました。
まだまだ力不足の自分を振り返りつつ、いろんな人にこの経験をしてもらえたらなぁと思う素晴らしい現場でした。ぜひ挑戦してみてください!
◯端野真佐子(事務局)
普及啓発として
全国から演劇関係者が集まる豊岡演劇祭で舞台手話通訳付き演劇公演が実施できることはモデル事業としても意義のあることだと感じました。6月には豊岡演劇祭の制作スタッフさんや大学生たちとアクセシビリティ対応に関する研修機会を持ち、また作品創作においては青年団のみなさんと共に意見交換しながら取り組めたこともよかったと思います。
◯小原郁子(アシスタント・事務局)
今回、アシスタント同士の振り返りの場を持つことで、舞台手話通訳者や手話監修者との関わり方を一致させることができました。
『みんなで一緒に作り上げていく』、という気持ちがそれぞれにあったからこそ、今回のような形ができたと思っています。これをモデルの一つとして、さまざまな地域、団体で同じような活動が広がることを願っています。
<インターン生からの声もご紹介します>
・小・中と近くに聾学校・盲学校があり、年に1度交流をしていた。そのため聴覚障害者への鑑賞サポートに関心を持った。「ありがとう」「おはよう」といった簡単な手話を覚えた。
・手話は声を使わないために静かに会話するものだと思っていたが、みなさんの様子を見ていると、とても賑やかで楽しそうにコミュニケーションをとっているので興味を持った。手話を学びたいと思っている。
最後に
青年団が長年上演している『銀河鉄道の夜』を舞台手話通訳と字幕付きで上演できたことをとても嬉しく思います。
『また、いつか、どこかで』
様々な方々とこの言葉を交わしながら、手話チームは劇場を後にしました。
この出会いをキッカケに繋がりは確実に広がっていくでしょう。
また、いつか、どこかの劇場でお会いし、
同じ作品を、同じ時間、同じ空間で、一緒に楽しみましょう!