人を幸せにする会社 [2009年01月12日(Mon)]
1月8日に、明大で「人を幸せにする会社」という講座が開かれた。
その特別講師の天野敦之さんから、「9つの幸せな経営者の質問」が寄せられた。 その答えを書いたので、ここに掲載している。 .......................................... 1. 経営者の立場で、「人を幸せにする会社」を創るために必要な条件は何でしょうか。 会社の社会的な「役割」を明確にしてプロデュースを行い、正当な利益を確保していくのが「人を幸せにする会社」の経営者だと思います。 「空不異色」(くうふいしき)= あなたの存在はかけがいのないもの 2.学生や若手社員が、「人を幸せにする仕事」を実現するために必要な条件は何でしょうか。 会社の中での個々の「役割」と、社会の中での会社の「役割」を、「身の丈」で伝え創造していくプロデューサーの存在が重要だと思います。 「結果自然成」(けっかじねんなる) = 流れの中で自分を磨く 3.私自身は、金融機関で自分も含め多くの人が疲弊していく姿をみて、人を幸せにする価値を生み出さなければビジネスをする意味がないのではということに気付きましたが、久米さんがそのような、社員やお客様の幸せが大切だと気付かれたきっかけは何でしょうか? 身内の不幸に直面したとき、そのときに「幸せ」のありがたさを知りました。 「本来無一物」(ほんらいむいちもつ)= 誰もが持つ純粋な気持ち 4.日本では三方良しのように、昔から社員を大切にしお客様を大切にし世の中のためになることをするという考え方がありました。こうした考え方が蔑ろにされてしまった原因は何だと思われますか? 戦後の社会やマスコミ(出版界も含む)が、文化をおろそかにしたツケがいまの時代に跳ね返って来たのだと思います。文化が無いところに、品格は生まれないのです。 「花鳥風月宿」(かちょうふうげつやどる) =自然の美しさは、人の心を映し出す 5.私は、人を幸せにする価値を生み出すからこそ、会社は利益を得られると考えていますが、世の中には、人の幸せを考えるよりも目先の利益、という会社が多いのが現実です。そうした会社が、今回の金融危機で行き詰まることによって、人を幸せにする価値を創造することの大切さに気づく人が増えると思っていますが、この幸せと利益の関係について、ご意見を聞かせてください。 会社が社会に貢献しなければ利益は生まれない。これは当然のことです。 利益については、量から質が重要な時代に移行してきたのでしょう。 それは、皆で笑える社会を作ることにつながっていくのでしょう。 しかし、「幸せ」という言葉は、「環境問題」と同様に、それをいうことで、社会からの反発がないので、品格のない人たちが安易に使う時代がまもなくやってくるでしょう。 「幸せ」とは、質を維持または高揚させるプロデューサーの品格により、上下 左右するやっかいな代物なのです。 看看(みよみよ)= 「手」と「目」が合わさった言葉「看」 手をかざして見る しっかり見る 心の中の宝物 6.社員の幸せやお客様の幸せが大切だとわかっていても、これだけ経済が悪化してくると、そんな悠長なことは言っていられないという会社も多くなると思います。私はこんなときだからこそ、従来の考え方を転換させなければならないと思いますが、この点についてどう思われますか? 社会の中での自分の「役割」を理解する人が多くなれば、「品格」が育まれ、徐々にその考えが浸透していくでしょう。 「一二三」(いちにさん)= 当たり前のことが一番大切 7.現代の社会では、人の幸せを考える余裕を与えず、奪い合いや競争を促進するような様々な仕組みや雰囲気がありますが、そうしたなかで自分の信念を貫くにはどうしたらいいでしょうか。 信念とは「今の心を信じる」と書くように、自分自身の「役割」をプロデュースする能力を身につけることだと思います。つまり、自分の「役割」を「持続」する「心」です。 「元気」(げんき)= すべてを超越する力 8.「人を幸せにする会社」では、初めは出来ない社員だったプー太が、家事の現場で大活躍し、適性を見出されて仕事でも活躍するようになりました。私はすべての人が適材であり、適所を見つけてあげれば誰でも輝けると思っていますが、どうすれば人の適所を見つけることができるでしょうか 世俗から離れた僧侶の立場ならその答えはいえます。ずばり「無二的人間形成」です。 娑婆にいる人間として答えるならば、社員の考える適材適所と、経営者のそれは異なっています。 私はいますべての人にこの質問が当てはまると考えていません。企業を持続するには、利益を上げていかなければならない、という宿命があるからです。そのバランスをより知れば、娑婆での答えが見えてくるのかしれませんがよう分かりません。 企業は、自社にメリットある優秀な人材を採用します。不採用の人も出ます。不採用の段階で、「適所を見つけてあげれば誰でも輝けると思っています」と矛盾します。 企業は、「役割」(人事異動)を与えることで、その特性を見極めていくのですが、適材適所と人事配置の定数が一致しないことも多々あるでしょう。これも質問と矛盾します。 質問の答えの概略が上記ですが、そんな質問を孤独な経営者にしてはいかんと思います。 この質問は、環境問題をアピールするプリウスを売るトヨタに、F1は環境問題に反しているのではというのと同じだと思います。 この質問は、僧侶にするもので、経営者にするものではないと思います。 少しとんがった答えを書きましたが、私のいいたいことは、「幸せ」は、その人が「好い湯加減」のお風呂に入っているときに感じるものであるということです。 「幸せを日々追求」するのではなく、「幸せ」を「好い加減」で考える習慣をつけることが大切であると思います。 経営者は、社員の幸せを持続させる「役割」を持っている。これが「好い加減」になったとき、「人を幸せにする会社」の経営者が輝くときと思うのです。 行雲流水(こううんりゅうすい) = とらわれることのない心 執着しない心 9.私は、仕事とは人を幸せにすることだと思っており、誰でも人を幸せにする力を持っていると思います。その力を開花させるにはどうしたらいいでしょうか。 「福祉」とは、「皆が幸せになること」と辞書に書いてあります。ですから、自分の「役割」を知り、「身の丈」で仕事をしていくことが「福祉」そのものなのだと考えています。自分も周りも一緒に「幸せ」になること、それが「福祉」の真の意味なのですから、それを大切にしていきたいと思っています。 「阿吽」(あうん)= 切っても切れない通じ合う心 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ こうやって書いてみると、「役割」という言葉がたくさん出てきました。 きっと「人を幸せにする会社」は、皆がそれぞれの「役割」を「好い加減」に大切にしている会社なのだと思います。 「阿呵呵」(あかか)= 笑うことは幸せの始まり |