思春期ピアカウンセリング [2008年11月24日(Mon)]
思春期ピアカウンセリング
日本は世界の先進国に中で、HIV患者が右肩あがりに増えている唯一の国です。 ヨーロッパでは1970年代に、若者に性感染症や妊娠中絶が増えた時代がありました。そこで、行われたのが「ピアカウンセリング」でした。 「ピアカウンセリング」は、障害に悩む人を、同じ環境の障害者が同じ目線で手助けをすることを指します。 身体に障害を持つ人たちには、その施設などで、仲間同士で話し合ったりすることで「ピアカウンセリング」を自然に受けています。 「思春期ピアカウンセリング」は、若者たちに性の悩みを聞いたり、手助けをすることですが、大人による性教育ではなく、同世代の若者同士による正しい性の知識の伝達やサポートがこの活動の主軸となっています。 若者に、正しい性の知識を伝えることは、彼らの未来を明るいものにするだけでなく、彼らの心身を守る知恵の習得です。 1970年代のヨーロッパでは、若者の性感染症や妊娠中絶が増えた時代があると前記しました。 ヨーロッパでは、「思春期ピアカウンセリング」を志す若者を集め、その知識を地域のコミュニティで草の根的に伝えていきました。結果、若者の性感染症や人工中絶が減少したといいます。その後、ヨーロッパでは、HIV患者が増加しなくなりました。 日本で「思春期ピアカウンセリング」というと、「性のカウンセラー」的に見られる傾向がまだあります。性のタブーを前にして、「思春期ピアカウンセリング」の重要性が認知されにくい社会背景がそこにあります。 看護学校の学生や大学生の一部が、いま「思春期ピアカウンセリング」の活動をしていますが、まだまだその数が少ないといわれています。 各都道府県では、事業として「思春期ピアカウンセリング」の養成をしているところが多いのですが、育成した人材を行政が派遣することも多いと聞いています。ここにも、「思春期ピアカウンセリング」が普及しない要因があるように思います。 「思春期ピアカウンセリング」は、正しい性知識を持った若者が、身近なコミュニティで、同年配の若者と交流しながら知識を共有することが重要であるからです。 日本のHIV患者は、ここ5年9カ月で、感染者が5107人も増加し1万人を超えました。(薬害被害者を除く)2003年と比べると、HIV患者が倍増したことになります。これは、先進国の中で恥とされる数字です。 若者の体を守ることは、私たち大人の役割です。現代は、自己責任の時代といわれていますが、基礎知識がなければ自己責任をとることさえできません。だから、私たちは「思春期ピアカウンセリング」を行う若者を、陰で支える存在にならなくてはなりません。 私たちは、HIVなんか関係ないと思っています。それは、一部の人のことだと考えています。日本の25歳以下の漁業従事者は約5000人ですが、その倍の1万人がHIV患者だと知ったら他人事とはいえません。 その数字の中に、あなたやあなたの子どもが入らない、と断言することは誰にもできません。 HIVの正しい知識を知ることで、多くの人が幸せになれます。「思春期ピアカウンセリング」を行う若者を、本物の「ありがとう」を伝える人だと私は思っています。 米沢・三友堂病院看護専門学校生の「思春期ピアカウンセリング」 http://yamagata-np.jp/news/200810/31/kj_2008103100503.php 思春期ピアカウンセンリング情報 http://tinyurl.com/5rstoa |