メンバーの本気が伝わる、中間提案。 [2010年11月03日(Wed)]
「正直ここまで踏み込んでもらえるとは思わなかった」――。
セクハラ・パワハラ被害者へのカウンセリングや、女性向けのコミュニケーション講座を行うNPO「サポートハウスじょむ」の高山直子さんは、サービスグラントのプロボノチームからWebサイトの改善提案を受けて、感激のあまり、少し涙ぐむようにこうコメントを残しました。 チームからの提案は、Webのコンセプトにとどまらず、サービスの価格改訂など、NPO運営の根幹に関わる内容まで、大きく踏み込んだものでした。チームの皆さんが提案に込めた大きなエネルギーが、高山さんの心を動かした瞬間でした。 ![]() 毎週土曜日の「ヒアリング・デー」と、講座への参加 6名編成のじょむチームは、どなたも平日夜が忙しいので、土曜丸一日を「ヒアリング・デー」とし、1時間刻みで連続して話を聞くというアイデアで、機会を集約しました。8/21(土)には立場の異なる5名、9/5(土)に運営メンバー3名、9/12(土)に利用者の方3名の方からお話を伺いました。 これに加えて、メンバーが分担して、じょむが主催する講座を実際に受講し、感想とともに詳細な議事録を起こして共有しています。マーケッター三池さんは「相談員トレーニング」に、コピーライター千葉さんは「自己尊重・コミュニケーショントレーニング講座」に。もうひとりのマーケッター下村さん・プロジェクトマネジャー中谷さんも、女性が大半の中に混じって講座に参加しました。かなりの量のインプットですが、主に中間提案を担うこの4人が、肌感覚としてじょむのことを理解してきたことは、説得力のある中間提案の要であったように感じます。 事前ミーティング - ただWebを作っても意味がない! ヒアリングと講座体験で得たインプットをまとめるため、10/3には、品川にある千葉さんのマンションに集まって、中間提案事前ミーティングがもたれました。 ![]() 様々な情報を突き合わせて出てきた結論は、「このまま活動全体を広報したら、赤字が膨らむだけ」という事実でした。そこでチームは、類似サービスの市場相場をリサーチして講座ごとの新しい料金体系を提案したり、会員制度の見直し案を作ったり、企業提携の方向性を模索したりと、経営全体にインパクトのある内容に力を入れてきました。このような内容は、本来Webリニューアルを行うサービスグラントでは、プロジェクトのスコープ(対応範囲)外です。それでも、メンバーの誰もが本気でじょむのことを考え、経営改善に向けた提案をまとめていきました。 また、唯一の専属カウンセラーである高山さんが、カウンセリングに加えてさまざまな講座を担当している現状では、キャパシティがほぼ限界に達していました。そこで、高山さん以外の人を講師として育てる可能性をもつ「ファシリテーター養成講座」を訴求の軸に据えた、Web刷新提案を組み立てていきました。それに加えて、WordPressを導入することで「更新作業の効率化」が実現することも、重要なコンセプトの一つになりました。 中間提案、そして総会議案書への反映 こうして詰められたチームからの提案は10/17(日)15時の「中間提案」の場で、満を持して披露されました。提案内容については、サービスグラントのチームメンバーとじょむの担当者との間で頻繁に合意をとりながら進められていたので、「大筋OK」ではありましたが、それでも時間を目一杯使って、細かいところまで質疑応答が繰り返されました。特に、Webサイト上のメインターゲットではないものの、じょむの大切なステークホルダーである、性差別・性暴力被害者の方々にも、安心して見てもらえるようなバランスを確保するための工夫については、妥協のない議論がなされました。 もちろん、会員制度や料金体系については、組織の意思決定が必要なことなので、急に変えることはできません。しかしながら、「位置づけをはっきりさせ、1年かけて検討していくことは、来月開かれる総会の議案書に盛り込みたい」と高山さんから言っていただきました。事実、総会議案書の作成期限は目前だったにもかかわらず、提案内容のいくつかを、議案書に盛りこんでいただくことができました。 打合せの最後に飛び出した、冒頭の高山さんからの言葉と、チームへの労いと感謝。メンバーの中でも特に多くの時間を割いて活動してきた中谷さん本人は、「やりかかったらとことんやるだけ。あとはもう、はやく作っちゃいたい」と淡々としていましたが、全力で関わったメンバーの思いは、しっかりとNPOに届いたようです。 (文: 入谷) |