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LOUNGE Report Vol.2<前編> [2009年09月17日(Thu)]
■SERVICEGRANT LOUNGE Report Vol.2 <前編>
■NPO法人 病気の子ども支援ネット
  遊びのボランティア理事長  坂上和子さん









= Message =

「繰り返し訊かれることが活動の社会的意義の自覚を生む」
「サービスグラントとは、仲間内の言葉を社会の言葉に変えていくプロセス」
 By:NPO法人病気の子ども支援ネット遊びのボランティア理事長 坂上和子


1.はじめに

 子どもが正常に発達するためにはコミュニケーションが不可欠ですが、小児がん(15歳以下の子どもに発生する悪性腫瘍)などの高度医療を必要とする病気の場合、たとえばクリーンルームにいると兄弟も親も近寄れない状況にならざるを得ず、発達段階において大きな問題を抱えることになります。更に子どもを支える家族も、その病状によっては数年間病院に拘束されるなどその負担は計り知れません。現在、小児がんだけでも毎年3000人が新たに患者として登録されており、病気治療とコミュニケーションの不足による発育弊害という、2つの課題を抱えています。そうした問題に対して新宿区にある国立国際医療センターを中心に、子どもとの“遊び”を通じて、医療と子どものケアを切り離さず、市民の側から考えて患者に寄り添った活動で一緒に支えていくような、日本の病院ボランティアのモデルになるような展開ができたら、と活動しているのが私たち病気の子ども支援ネットです。
設立は1991年“遊びのボランティア”として立ち上がりましたが、2006年に、法人として“社会化”することで活動を広げられたらという目的でNPO法人化しました。
サービスグラントとは、06年〜07年にかけてWebサイトとセールスシートと呼ばれる団体の設立背景、活動内容についてまとめた営業資料作成の2つの提供を受けました。

2.病気の子ども支援ネットの立ち上がり

 病気の子ども支援ネットとして団体が立ち上がる以前は、新宿区にある保育所で保育士をした後、非常勤で障害児の通院施設に勤務し、そこでは在宅訪問指導員として家で人工呼吸器をつけていたりする子どもの発達や育児のアドバイスなどを行っていました。それとともに病院に長く入院していて在宅に移行できない子どもに対しても、ぜひ病院の中でもアドバイスをして欲しい、というソーシャルワーカーからの依頼により新宿区内の病院を回る仕事を始めました。個室でひっそりと闘病している1歳半から3歳までの子どもを担当していましたが、外科的な原因による病気の子どもが中心だったので、病院内のプレイルームで大勢の子どもとも一緒に遊ぶようになりました。
私は病院の職員ではないので担当のお子さんが退院するともう病院には行かなくなるわけですが、それは困る、と親御さんなどが新宿区長宛に病院につづけて欲しいと紙を書いてくれました。結局、区からは「住民ではないから」と断られましたが、手紙を書いて下さった親御さん達というのは白血病など病状の厳しい親たちで、その頼みはどうしても断れない。さらに病院からも頭を下げられて、特にこちらからボランティアをさせてくれという経緯ではなく病院に入るようになりました。
そのとき病棟師長から、「ボランティアは来たり来なかったりして無責任。それが病院にボランティアを入れたくない第一の理由だ。患者の期待を裏切らないで、やるのであれば続けてくれ」と言われました。あぁ、これは一人でできる範囲のものではない、というので最初は6人の仲間を呼び掛けて保育士らが立ち上がりました。
週一日から始めました。あるとき、目の見えない小児がんの子どもがいて、子どもは不安で壁をたたいて「クリーンルームから出せ」と言い、親は片時も子どもから目が離せず買い物にすら行けない、治療にも弊害が出ていたことがありました。主治医からボランティアにも治療に協力してほしいという要請もあり、平日にも遊びのボランティアが入るようになりました。すると、子どもは毎日来てくれ!という。それにも応えているうちに子どもに笑顔が戻り、クリーンルームやICUに入っているときも呼ばれて通うようになりました。残念ながらその子は亡くなってしまいました。普通は子どもの死後は、遺族と病院との関係は切れてしまいます。しかし親にとっては子どもが一番つらい時に支えてくれたボランティアは、子どもの心の友達になります。命日にお花を持っていったり、遺族との関係性は緩やかに続いて、それは結果的には難しい言葉でブリーフケアといいますが、子どもだけでなくその家族の支えあいの部分においてもボランティアにできることがあるということがわかりました。
従来、子どもの死のケアは、牧師さんだったり心理士さんといった専門家ではないかと思われていますが、実は大学生のお姉さんだったり保育士、絵画ができるおばさんだったりするわけです。子どもの成長には多様な刺激をもたらす人が必要で、たった一人の専門家では限界があるわけです。医療を市民側から考える、医療と入院児のケアを切り離さないで市民と一緒にやっていくことが大事です。アメリカやカナダではすでに出来ていることが日本ではできていません。病気の子ども支援ネットは病院を取り巻く環境の変革に挑んでいます。

<<前編 終わり>>



日本の病院ボランティアのロールモデルとして奮闘する病気の子ども支援ネットでは、
一口1000円からNPO会員を募集中です。
詳しくはこちら
 


文責:お
Posted by サービスグラント at 14:23 | ラウンジレポート | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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