白目のはなし [2016年05月29日(Sun)]
2年くらい前にアフリカのルワンダに行った。大学の先生について行って、現地でドキュメンタリーを撮影した。
1日休みがあり、同行の先生方と一緒に隣国のウガンダまでマウンテンゴリラを見に行った。 山の中を1時間ぐらい歩いているとゴリラの一家が森の斜面に散らばっていた。なんだか笹みたいな植物を熱心に食べていた。赤ちゃんゴリラもいてかわいらしかった。 ゴリラは生き物的に人類に近いので、人間がひいている風邪とかもうつるらしい。それで風邪気味のひとはゴリラツアーに参加してはいけないとか、半径何メートル以内に近づいてはいけないとか、いろいろな決まりがある。 ゴリラと目を合わせてもいけないらしい。でもなんだかボスゴリラはこちらを見ているような気がする。ガイドも「お前を見ているぞ」という。ボスゴリラだから怪しい人間を警戒しているのだろうか。 だがしばらくして気がついたのだが、ゴリラの眼には白目がないので、どこを見ているのかがいまいちはっきりしない。眼が全部黒目なので見ている方向がはっきりしないのだ。なんかやっぱり人間同士が目を合わせているのとははっきり違う感覚があった。 話は変わるが、先週、プロンプターを買った。 テレビなどで、ニュースキャスターが原稿を読む時に使う機械だ。 カメラの前に特殊ガラスが張り出していて、その表面に原稿が投射される。アナウンサーは手元の原稿を読むことなしに、カメラに向かって話ができるという装置だ。 僕が買ったのはその小型のもので、容易に持ち運びができる。 ところが実際に試してみると、いかにも原稿を読んでいることがバレバレの映像になるので意外だった。試行錯誤のすえ、ある程度許容できる撮り方にたどり着いたが、それでも読んでいる印象は拭えない。テレビのアナウンサーはなかなか曲者だということが僕にもわかった。 それで、なんで読んでいることがバレるのかというと、白目があるからなのだ。 白目があるから、瞳が少しでもレンズの中心を外れると、それが相手にわかってしまう。アナウンサーがマウンテンゴリラだったら全然バレないと思う。 昔から、嘘をついている奴は眼が泳ぐとか、目は口ほどに物を言うとか、いろいろ言うが、これは人間的な世界なんだなと思う。 プロンプターを買ってみて、ヒト、特に晴眼者のコミュニケーションがいかに白目に依存しているものかということを実感した。 |
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Posted by
superkumaji
at 21:18