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PIF事務局長決定へ [2021年02月03日(Wed)]

今日、太平洋諸島フォーラムの臨時首脳会議がバーチャルで行われるそうです。昨年、サミットが延期となったことで、さまざまな課題に関する議論が後回しになっていますが、その中で特に注目されるのが次期事務局長の件です。

これまでクックのプナ前首相、フィジーのクンブアンボラ元外相・国防省、マーシャルのザキオス駐米大使・元外相、ソロモンのロジャース博士・元SPC事務局長、トンガのシアモムア英コモンウェルス事務局ジェンダープログラム長(女性)が立候補しています。

ポイントは、PIF事務局長というのは名誉職ではなく、暴れん坊のような各国首脳や地域機関を取りまとめたり、国連など国際場裏においてリーダーシップを発揮しなければなりません。強いバイタリティと一種のカリスマ性と実務能力が求められるポストです。

そのため、近年は、自分が知っているのは豪州の元外交官・故アーウィン事務局長からですが、アーウィン氏、弁護士のスレード氏、現在のテイラー氏と弁の経つ方々がその役割を担ってきました。

また、PIFというのはその設立経緯から見ても、独立が早かった南半球の島嶼国(すなわち英連邦系)が主導している地域機関の空気感が残っており、組織運営や言語についても、米国系よりも英連邦系の感じがします。

さらに多くの要素の一つである中国・台湾関係では、14カ国2地域のメンバーのうち、台湾承認国は僅か4カ国のみです。


今回、この時期に臨時会議が行われるのは、もしかするとミクロネシア(5カ国)の番であると主張し、この紳士協定が守れない場合は離脱もあり得ると強硬な立場を取っていたパラオのレメンゲサウ大統領が退任し、新政権ができるタイミングに合わせていたりするのかとも思いましたが、単に年末年始はスケジュールが合わなかったり、ということか。。

そのパラオのスランゲル・ウィップス・ジュニア新大統領は、PIF事務局長ポストについてレメンゲサウ大統領の考えを引き継いでいると明言しています。


現実問題として、パラオはPIFにいなくとも恐らく問題はないでしょう。強い人々で、発言力もあります。台湾関係もあり島嶼国で唯一、南太平洋観光機構(SPTO)のメンバーではなく、米国との関係で南太平洋大学のメンバーでもありません。

ミクロネシア連邦は、確かミクロ3国の中では独立前からいち早くオブザーバー参加しているなど、漁業や開発面で地域協力を重視している立場だと思います。ただし、米国との関係で南太平洋大学のメンバーではありません。

マーシャルは米国核実験に関して、米国と交渉する際に国際社会の支援が必要であり、そのために地域が結束しバックアップすることを求めており、漁業面でも地域機関枠組みは重要です。米系のミクロ3国の中では唯一南太平洋大学のメンバーであり、これは初代アマタ・カブア大統領が人材育成の面で米国系の教育だけでは十分ではないとして、反対を押し切って加盟したという話が伝わっています。

キリバス、ナウルは、英連邦系で、積極的に地域機関に関与しており、リーダーシップも発揮していることから、この2国がPIFから離れることは現実的ではないと思います。


PIF事務局長は、確か単純な多数決ではなく、首脳が議論し、合意形成を図るというものだったと思います。当然、そのために多数派工作は必要ですが。

テイラー事務局長の時は、フィジーのテビタ候補(元外相)とせっていましたが、PNG政府のロビー活動が生き、マーシャルなどがテイラー氏支持に回ったという話も聞いたことがあります。そもそも事務局を持つホスト国が事務局長を出せないような紳士協定があった気がします。

もう一つ、現在のPIF副事務局長はマーシャルの方です。ナンバーワン、ナンバーツーが、米国系で台湾承認国のマーシャル出身というのは、ありなのか、なしなのか。

レメンゲサウ大統領が候補になっていれば一発で決まりだった気もしますが、いかんせん、ザキオスさんは南側では無名に近く、支持を集められるのかどうか。(ほぼ手打ちしているかもしれませんが)




個人的感情では、ミクロネシア地域からザキオスさんが一番、クンブアンボラさんが二番で押したいところです。しかし、地域の結束や、今後の国際社会での活躍を考えると、政治的でもなく、英コモンウェルスとの繋がりもあり、調整力も発言力も実務能力もある、トンガのシアモムア氏が最もふさわしいだろうと思います。最大公約数ではシアモムア氏。

テイラーさんは特例でもう1期3年やりたいとか、1年延長したいといった話がありましたが、PIF首脳はこれは認めないということでしたので、空気としては変えようということに変わりはないのだと思います。

3年2期の計6年のPIFの性格が新事務局長により決まります。

さて、誰が選ばれるでしょうか。
PIF新事務局長にプナ前クック首相を選出 [2021年02月04日(Thu)]

https://www.forumsec.org/2021/02/04/pacific-leaders%e2%80%afplace-focus-on-covid-19%e2%80%afvaccine-select%e2%80%afhenry-puna-as%e2%80%afnew-secretary-general%e2%80%af/

候補者5名の中で最も高いキャリア、より小さな島嶼国のクック、NZとの深い関係があるプナ前クック首相がPIFの新事務局長に選出されました。

ミクロネシア諸国5カ国の脅しには屈せず、といったところでしょうか。

首脳側からの視点から言えば、本来PIFというのは加盟国・地域の首脳が地域政策の方向性や合意を取り決める枠組みで、首脳が合意した内容を実行に移すためのとりまとめ機関がPIF事務局となります(現在の課題は、新型コロナ、地域経済、ローカル経済、各国財政、観光、そして何よりも気候変動、大国間の競争など)。

ところが、個人的感触になりますが、時にPIF事務局は首脳の上に立ち、勝手に判断しようとしたり、PIF事務局長が首脳よりも強い立場のようにふるまったりといった傾向が、ここ数年あったように思います。

その視点から言えば、プナ前首相は、首脳グループのメンバーだった人であり、首脳側から見れば、やり易く(話が通じやすく)なるでしょう。

また地域の大国ではなく、PIFの枠組みの中でもSIS:Smaller Island States(より小さな島嶼国)から選ばれたということで、SISからなるミクロネシア諸国としては各国対応が変わるかもしれませんが、意見をPIFに反映させやすいとして、妥協できたのかもしれません。

域外国にとっては、まさに外交のど真ん中にいた人が事務局長となるので、言葉が通じやすいかもしれません。

ミクロネシア諸国のうち、パラオなどいくつかの国は、離脱はともかく、是々非々の対応になるでしょうか(離脱しないにしても、参加レベルを下げるなど)。

ミクロネシア諸国の脅しは、地域では深刻に捉えられていましたが、仮にパラオが離脱したとしても、PIFという枠組みは、英連邦系の南側の国々が作ったものなので、実際のところ大勢には影響ないとは思います。地域の結束という意味では弱まるように見えますが、現在の新型コロナの対応を見てもミクロネシア3国特にパラオは、独立国でありながら、グアム、北マリアナ、米領サモアに繋がる感じで米国の強い影響下にあると見なされているようなので、経済・財政・新型コロナに関しては、南側諸国にはニュアンスが共有できないといった印象を持たれているようにも思います。

NZ、豪州としてはやり易く、米国はバイデン政権となったので影響力も弱まっているように思います。

首脳は、最も安定した現実的な判断をしたということでしょう。
PIF事務局長選出に関する私見 [2021年02月04日(Thu)]

PIF事務局長選出について、個人的な感想や見立てを書き残したいと思います。

今回のPIF事務局長選出に関する混乱の原因は、偏に、ミクロネシア諸国5カ国が選んだ候補者の弱さに尽きます。

1年半ほど前、PIF首脳は、これまで豪州〜ポリネシア(サモア)〜メラネシア(PNG)と事務局長職が回っていたので、「次はミクロネシア地域から」ということで合意していました。いわゆる紳士協定です。しかも同じミクロネシア地域でも、これまで一度もなかった米国系の国々(パラオ、ミクロネシア連邦、マーシャルの3国で、PIFの枠組みでは後から加盟した国々)のいずれかからという考え方でした(90年代にはキリバスの元大統領が事務局長を務めました)。

しかし、そこには「しっかりとした候補を出せよ」という暗黙の注釈がついていたのだと思います。

そこで、パラオ、ミクロネシア連邦、マーシャル、ナウル、キリバスの5カ国首脳が推薦した候補者が、マーシャルのザキオス駐米大使でした。

かつてノート政権で長く外務大臣を務めたことや、人的繋がりもあるため、この5カ国の間では知られている人物ですが、南側の国々ではほぼ無名であり、リーダーシップについてもクエスチョンが付き、野獣と渡り合わなければならないPIF事務局を任せることは難しいという意見が大勢だったと思います。

仮にザキオス大使が事務局長になれば、次の懸念がありました。
・PIF事務局の弱体化、PIF枠組みの弱体化
・PIF事務局の国際社会での発信力低下
・地域CROP機関のとりまとめ力低下
・米国に近すぎるため、米国系の影響が入る
・親台湾であるため、PIF事務局内に余計な摩擦が生じる

この空気を読んだのか、背中を押す人たちがいたのか、昨年4月頃にクックのプナ首相が突如、立候補を表明しました。

首相を辞任してまで出馬するということは、すでに強い後押しがあったのだと思います。クックはNZに近く、プナ首相は、発言力、発信力、政治力、リーダーシップがずば抜けています。かつて、フィジーがPIFから外に出されていた時、2013〜2014年頃でしたか、EUのACP枠組みのパシフィックグループを活用し、本来PIF事務局がPacific ACPの事務局であるところ、フィジーが外されていることに対抗し、フィジーを取り組むために別途事務局を作ろうとするなど、大国や既存の枠組みを変えていこうとする意志の強い方だと思います。キリバスのトン元大統領をさらに強くした感じです。

日本との関係は特に問題はないでしょうが、特別な扱いは期待せず、これまでどおり外交相手の1つという位置づけになると思います。むしろ、外交のど真ん中にいた方なので、話は通じやすいかもしれません。


ここまで次の動きがありました。
1.PIF首脳の総意として、次はミクロネシア地域から。
2.しかし、ミクロネシア地域からの候補は非常に弱い。地域がまとまらない。
3.プナ首相が立候補表明
4.ミクロネシア諸国(特にパラオのレメンゲサウ大統領)が離脱も含め強硬なメッセージ。

PIF首脳側としては、
1.ザキオス候補には任せられない
2.ミクロネシア諸国の顔を立てなければならない
3.ザキオス候補に恥をかかせるわけにはいかない
といった要素がある中、さらに3名が立候補することとなりました。

結果的に見れば、候補者が乱立したことで、票が割れ、5名の候補者の中で最もキャリアが秀でているプナ首相(首相を辞任してまで立候補した強い意志と、その首脳経験者に恥をかかせるわけにはいかないという部分もあるのでは)が自然に選ばれる流れが作られたように思います。

仮に、これがザキオス大使とプナ首相の一騎打ちとなれば、地域内の亀裂は深まったことでしょう。

今後しばらく地域の結束には問題があるかもしれませんが、時間が解決していくでしょう。6年前にテイラー事務局長が選出されたときにも、フィジーの候補が優勢だったのがひっくり返ったことで、一時的に不和な状況が生じたものです。


プナ新事務局長の下で、事務方が強くなり過ぎたきらいがあるPIF事務局の内部改革が進むことが期待されます。
南太平洋大学副総長、強制送還 [2021年02月04日(Thu)]

今日はPIF新事務局長の他に大きなニュースがありました。

地域機関(CROP)の1つである南太平洋大学(USP)の副総長(Vice Chancellor。総長=Chancellorは加盟国の首脳が持ち回りで就任するため、実務上のトップにあたる)がフィジーの入管法違反との理由で国籍のある豪州に強制送還となりました。

https://www.rnz.co.nz/international/pacific-news/435776/head-of-pacific-university-to-be-deported-by-fiji

自分の資料を見ると、昨年3/23付で、同副総長に不正疑いが報じられ、その後、副総長擁護派と反対派でUSP内が不安定な状況となっていたようです。

https://www.rnz.co.nz/international/pacific-news/412386/usp-vice-chancellor-investigated-over-alleged-material-misconduct

その後、停職措置、6月初旬に解任され、学問の自由に対する制約という問題提起もあり、臨時の理事会を経て、6/19には疑惑が晴れて復職したとの報道がありました。

しかし、その後も問題はくすぶり続け、年始にUSPで教員をしている現地の友人からの連絡では、まだ混乱が続き、その友人のポジションも不安定な状況という話でした。

そして、今日のニュースで、フィジー政府として入管法違反、労働許可に違反する行為があったとのことですが、24時間以内の強制送還が決定され、副総長は出国した、ということのようです。


元の問題はUSPにおける予算執行上の問題だったようですが、ホスト国のフィジーが、国の法律に則り、強制送還措置を取ったという形になります。

自分が現地にいた頃も、迷惑な外国人はビザが更新されず、帰国ということがあったように思います。

次に誰がVCになるのか、これでUSPが安定するのか、注視していきましょう。
PIF事務局長選出、追記 [2021年02月05日(Fri)]

まず、PIFの加盟国・地域ですが、豪、NZ、太平洋島嶼国14カ国(ミクロネシア5,メラネシア4、ポリネシア5)、仏領2(ニューカレ、仏ポリ)の18になります。

昨日の現地報道や、ミクロネシア連邦の広報がアップしたパニュエロ大統領のインタビュー書きおこしなどを読むと、少し空気感が分かるように思います。

今回の特別オンライン首脳会議は、パニュエロ大統領によれば「マラソン」会議で、朝9時から14時間行われたそうです。昨年年次総会が開催できなかったことから、さまざまな議論すべく課題があったこと、さらに新事務局長選出というものがありました。

選出自体は、恐らくキックアウト形式で行われたものと思います。秘密投票の形だそうで、5人の候補者から始まり、最後にはプナ前首相とザキオス大使(元外相)の決選投票となり、9対8でプナ前首相が選ばれたということです。

ザキオス大使は残念ですが、メンツはギリギリ保たれたのではないでしょうか。しばらく、ミクロネシア諸国(特に米系3国)は疎外感を感じるかもしれませんが、PIF自体が基本的に南側のルールによるものなので、変わらないと言えば変わらない。


しかし、今回はCOVID-19のせいで異例の形となったものと思います。通常、年1回のPIF総会(サミット)では、サミット、域外国対話があり、さらに別日程で首脳のリトリートがあります。そして、このリトリートが非常に重要な機会となります。

サミットや域外国対話は、正式な会議として、事務方も含め多くの目の中で行われます。

リトリートは、離島やサマーハウス的なリラックスできる場所に移動し、基本的に首脳同士が事務方を交えずに直接率直な話をする場です。そこで信頼関係や友人関係が築かれるし、本音の話し合いができ、例えば2者間にわだかまりがある場合でも、その場で仲介する首脳が表れ、解決されたりします。リアルなパシフィックウェイの場です。

本来、事務局長選出の時には、事前にこのようなリトリートを行い、合意形成を図ります。全会一致にはならないので、最後は投票で決められますが、それでも事前のリトリートの話し合いがあるので、対立が深まることは基本的に避けられます。


しかし、今回はオンライン会議であるため、そのような肩を抱きながら話すような機会、魚を取ってビールを飲みながら談笑する機会が無かったことで、選出の仕方が尖ったものになってしまったかもしれません。

一時的に分断が進むかもしれませんが、COVID-19で対面の会合は当面難しいでしょうし、つかず離れず(課題によっては結束し、課題によっては離れるなど)といった風になるのではないでしょうか。それよりも、ものすごく官僚的なPIF事務局がプナ元首相の腕力で柔軟性のある組織に変わって欲しいと思います。


前の記事と重複しますが、1年半前、PIF首脳は「次の事務局長はミクロネシア地域から」ということで暗黙の了解=紳士協定ができていました。しかし、そこにはPIF事務局長は名誉職ではなく(癖のある首脳、豪、NZ、さまざまな開発パートナーなど、野獣の世界で切り盛りできるような)強いリーダーシップが必要という暗黙の注釈がありました。

期待していたところ、ミクロネシア5カ国の首脳が推薦したのはザキオス大使。ザキオス大使は外相経験もあり、弁護士でもあったと思いますし、実績もありますが、いかんせん地域では名が知られていない。ある南側の国のハイレベルの方は自分に対し「ザキオス氏はどんな人だ。南側ではほとんど知られていないぞ。PIFのことを理解しているのか」などと話してきたこともあります。

2001年から2007年頃までマーシャルの外相としてPIF総会にも大統領に同行し出ていたと思いますが、当時、次のリトクワ大統領(顧問はツバル人2名)になるまで、PIF総会では当時のマーシャル代表は、ニコニコして頷いて、意見を言わないと見なされていたという話もそのツバル人顧問から聞いたことがあります。

それで、2008年にリトクワ大統領が英連邦系の島嶼国が豪・NZに対しハッキリ意見を言わないところ、ズバッと「例えば日本は〜の支援を約束したが、あなた方は考え方を押し付けるだけで、具体的にどのような支援を考えているのか」と発言し、他の出席者を2つの意味(ただニコニコしていたマーシャルが、そして豪・NZに)で驚かせたと、いつかの食事の席で大統領と顧問2人が話してくれたことがありました。そのころから、マーシャルは様々な場で、はっきりものを言うようになったと思います。

ザキオス大使が外相の時には、PIF総会ではほとんど目立たなかったということです。


ということで、要するに、ミクロネシア地域にチャンスが回ってきたが、人選がうまくいかなかったということでしょう。そして、南側の国々が危機感を感じていたところ、プナ首相が勇敢に出馬を宣言し、今回の結果に繋がりました。

パラオのレメンゲサウ前大統領やキリバスのトン元大統領(キリバスは米系ではなくかつて元大統領が事務局長になっているので現実的ではなかったし、マーマウ大統領は支持しなかったでしょうが)が候補となっていれば、プナ前首相が立つこともなかったかもしれないし(それでも立つという場合は、要素は米系にはまだ任せたくないとか、親台湾という要素が強く関わったはず)、ミクロネシア地域から事務局長が誕生したかもしれません。

タイミングの問題もあります。1年以上前、ミクロネシア地域の候補者をまとめるときに、レメンゲサウ大統領は現職バリバリだし、他に出られる立場のキャリアがある人がいなかったともいえます。

でも、PIF事務局長職は本当に大変な立場だと思うので、今回の結果で良かったのではないかと個人的には思います。

パラオPIF脱退か? [2021年02月05日(Fri)]

先ほど、フィジーFBCでパラオPIF脱退意向とのニュースがあったようです。

パラオは地域機関の南太平洋観光機構(SPTO)のメンバーではなく、南太平洋大学(USP)にも加盟していません。実質的な効果で判断される方々なので、SPTOがなくとも観光振興はできるし、USPが無くともパラオの方々は米国で教育を受けて成功してるし、そういうことでしょう。

PIFとの関係では、例えば2014年、パラオがPIFサミット開催国となったことがありました。当時自分はフィジーで書記官としてPIF事務局も担当していましたが、PIF事務局から開催国パラオへの詰問に近い細かな注文が多く、当時のパラオ国務省にいた友人と直接的にも間接的にもやり取りし、PIF事務局にも友人がいたので、こっそり間に入り調整したことがあります。その時に、苦労ばかりでメリットが少ないという強い印象が残ったものと思います。

また、近年はPIFサミットにパラオからは大統領が出席していないと思います。国務大臣(外相)か副大統領に抑えていました。


パラオがPIFに加盟したのは1995年9月の第26回サミット(PNG)(当時は南太平洋フォーラムだったのでSPF)でした。

これにより、米国系(自由連合国)の3国が正式にメンバーとなったことで、南太平洋フォーラム(SPF)からPIFに名称を変更しようという話が出始め、2000年10月(ツバル)の第31回サミットで、ミレニアムを記念する意味もあり、正式に太平洋諸島フォーラム(PIF)に名称が変わりました。

マーシャルは核実験の件があり、ミクロネシア連邦は漁業や国の開発課題が大きいので簡単には脱退は難しいでしょうか、可能性はあるかもしれないですね。トランプ政権のままであれば、コンパクトの枠組みで、ミクロネシア3国との関係を再強化という方向だったので、3国まとめて離脱もあったように思いますが、果たしてどうなるのか。


これは日本に風が吹いてきたかもしれません。島サミットの際、かつてフィジーがPIF資格停止とされていたとき、難しいやり取りをしていました。しかし、今回はPIFから外されたのではなく、パラオから離脱するとなれば状況は変わります。

日本はパラオとの関係が強く、パラオを島サミットで外すわけにはいきませんから、内外に、明確に、島サミットは、PIFとのサミットではなく、太平洋島嶼国とのサミットだと主張し、この機会に大きく色を変えることができるかもしれません。

また、PIFとは関係なく、北太平洋部分で、ミクロネシア3国と日本が関係を再強化できる機会にもなります。さらに、バイデン政権下ではどうか不安ですが、米国とも連携し、日米ミクロ3国の特別な枠組みを作ってしまっていいように思います。その時期が来たかもしれません。面白い。


さて、パラオが脱退する場合、PIFの名称はどうなるでしょうか。PIFになったきっかけがパラオなので、元に戻す?しかし、SPFは我々が使っているので、別の名称にして欲しいですね。
パラオと地域の関係(少しだけ) [2021年02月07日(Sun)]

パラオは駐フィジー大使館も今月末で閉鎖するようです。理由は政府支出の節約のため。すなわち費用対効果が低いという判断のようです。

そもそも、自分が現地に赴任したころ、2012〜15年時点で、ミクロネシアとマーシャルの大使館はあったものの、パラオ大使館はありませんでした。フィジーで地域関連の打ち合わせをセットしようとしたときに、パラオ大使館がなく、直接パラオの国務省の友人に連絡していた記憶があります。

パラオ側は、南側の国々と地域枠組みで協力することで、どのような実質的成果があるのかを見ていたように思います。意味のない地域の話し合いのために時間と資金と労力は使わないということでしょう。

今後の展開については、いくつか想定されることがありますが、このブログに書くことはやめます。


表の情報からだけ言えば、PIF(旧SPF)は1947年に旧宗主国が設立したSPC(太平洋共同体)から、SPCの枠組みでは米英仏の核実験に対する抗議を国際社会に訴えられないとして、当時の独立国5カ国が新たな枠組みを作ろうと相談して1971年に会議体を作り、事務局化したものです。その際、核実験を行っていない豪、NZが加わり、側面支援している関係性がありました。

その後、独立国が増え、加盟国が増えていき、2000年にPIFと名称が変わり、米国同時多発テロ、イラク戦争、地域ではソロモンの部族紛争やフィジーのクーデター(2006)を経て、2009年にケアンズコンパクトがまとめられ、豪NZの位置づけが島嶼国を側面で支えているものから、島嶼国側から見れば上から押さえつけられるように感じられるものに変化しました。

島嶼国間で言えば、英連邦系の南半球諸国の独立が早く、北半球の米国系諸国は独立が遅かったこと、南側の島嶼国から見れば、北半球の3国はコンパクトにより75%独立のようなイメージ(グアムよりも独立しているが他の島嶼国ほど独立はしていない)があり、財政面でも米国から手厚い支援を得ていることから開発課題を共有できないとか、「彼らは米国の一部になりたいのだ」と口にする人も少なくありませんでした。赤道を挟んで心理的にギャップがありました。

ミクロネシア3国間では、パラオは自立心が強く、米国と共に戦う意志の強さがある一方で、マーシャルは核実験に関わる問題から、国際社会を味方につけるために地域の支援が必要であり、感情的に米国とは非常に近いものの、課題によってはケンカをしなければならない関係性があり、ミクロネシア連邦も米国とさまざまな交渉事で意見を通すために仲間が必要という背景があるため、それぞれ米国との距離感、地域枠組みの利用価値が異なります。

ただ、2012年頃から2015年、フィジーが豪NZとのケンカを上手くやりくりし、外交関係の多様化や国際社会との直接的な繋がりを強くすることで島嶼国の自立意識を高めることに成功し、共通の課題を持つようになった太平洋島嶼国が赤道を越えて結束するようになりました。

PIFはというと、事務局の慢性的な財政問題(はっきり言って人件費が高く、出張などの旅費規定も贅沢)、議論やペーパーワーク、形は整うが、その努力に比べて、それぞれの国が得る実質的成果が少ないことなど大きな構造的問題を抱えています。その過程で、メンバーが増えることで加盟料が増えるという意味もあり、本来核実験の問題があるため距離を置かなければならない仏領の加盟を認めました。仏ポリにとっては核賠償問題、ニューカレドニアにとっては先住民の権利や独立問題について地域の支持を得られるという考えがあったものと思いますが、フランスにとっては、豪・NZに続き、旧宗主国として正式に加盟した形になる=すなわち地域の中の情報を直接取れるし、過程の議論にメンバーとして加われるメリットがありました。

以前、フィジーがPIF加盟資格を停止された一方で、島嶼国のみの枠組みとしてPIDFを設立しました。そちらは現在国連の南南協力に関する地域フォーカルポイントのような役割が確立されてきており、開発パートナーと島嶼国の各地の課題を繋ぐプラットフォームとして地道に活動を続けているようです。


これらを踏まえると、今後の可能性が見えてくるかと思います。
ミクロネシア5カ国、PIF脱退か? [2021年02月09日(Tue)]

これは予想を超える動きです。自分自身、ブラフもあると考え、過小評価していました。

本気だったのですね。

ミクロネシア5カ国(パラオ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島、キリバス、ナウル)が、正式にPIF脱退手続きを開始するというニュースです。

https://www.rnz.co.nz/international/pacific-news/436039/five-micronesian-countries-leave-pacific-islands-forum

自分の理解では3段階+1ありました。
1.南側諸国と元々距離感があったパラオの脱退
2.米国コンパクト諸国(パラオ、ミクロネシア、マーシャル)の脱退
3.ミクロネシア5カ国の脱退
+1:台湾承認国(パラオ、マーシャル、ナウル)の脱退

特にキリバスとナウルについては、豪州との関係もあり、抜けにくいかと思っていましたが、これは相当な怒りがあるということなのでしょう。キリバスも骨のある国だし、ナウルも中央太平洋国として誇り高い国ですが、ここまでとは。なめるなよということか。

長年、地域協調のために妥協し、我慢に我慢を重ね、蓄積してきたものが、紳士協定破りにより爆発したのかもしれません。そのような印象を受けます。

ザキオス大使は、これらの国々の動きに対して、熱い気持ちを感じているのではないでしょうか。

ザキオス大使を担ぎ出すために5カ国が相当な努力をしたのかもしれません。この点についても自分は過小評価していました。(適任者が見つからず、最終的に落ち着いたものと...)

ミクロネシア地域は、2016年にMIF(Micronesia Islands Forum,
事務局はパラオ)というミクロネシア行政チーフサミット(MCES)を発展させたサブリージョナルな枠組みがあり、ミクロネシア諸国の課題により直接的にアプローチする形がよりフォーマライズされつつあります。

PIFがSPFに変わる日も近いのか。そうなるとMIFと旧PIF(SPF?)の2つの地域機関枠組みとなるのかもしれません。


日本国内や欧米シンクタンクは、中国の影響を絡めて分析しようとするでしょうが、今回の件に関しては、極めて島嶼国間の問題だと思います。既にPIF事務局では、中国は正当なアプローチ(貿易投資促進、奨学金など)で影響力が高い状態にあり、そこに親台湾の事務局長は合わないという見方はあったかと思います。

PIF自体、南側主導で豪・NZの地域秩序を確保するための枠組みとなっているところ、米系およびミクロネシア地域が主導権を握るのは好ましくないという理由の方が強かったものと思います。


今年、太平洋・島サミット(PALM)を控える日本にとっては、実はチャンスでもあります。PIFが太平洋島嶼国を取りまとめる枠組みでなくなるのであれば、必然的にPALMプロセスの構造を変えなければなりません。関係者は大変になるかもしれませんが、対PIFではなく、14カ国と個別に対応する必要が出てくるでしょう。なぜなら、PALM首脳宣言を太平洋島嶼国を代表すると称するPIF事務局と日本政府で取りまとめたとしても、事実としてPIF事務局は太平洋島嶼国を代表していないことが明らかとなるからです。PIF事務局は太平洋島嶼国を取りまとめる事務局としての正当性を失います。

二国間(バイ)のアプローチではなく、地域としての枠組みに対してアプローチするのであれば、PIF事務局だけではなく、MIF事務局(パラオ)のアプローチが必要になるでしょう。



やはり今年のキーワードは「リセット」。固定観念を取っ払って、再構築。

日本の国益となるよう、皆で知恵を出し合い、それぞれの持ち場を理解した上で相互に隙間を埋め、実質的成果を得るために活動するときが来たのかもしれません。
慌ただしい一日 [2021年02月09日(Tue)]

今日は、早朝からSDGs関連のフィジーでの会合にバーチャルで参加したのを皮切りに、かつての上司と1時間近く話し(かつて部下の時を含めても初めてこんなに話したように思いますが)、何かこう言葉が通じる人と話せてよかったというか。

そして、パラオの海保関係の協力者(というか友人)とあれやこれや連絡し、冗談を言い合いながら、次いでパラオの観光関係の協力者と現地ツアータイトルを出し合い(炎の弾丸ツアーとか、ローリングサンダーとか、ネバーエンディングツアーとか)つつ、フィジーにいる現地の友人とも意見交換し(以前は、自分が上司のような位置づけの同僚でしたが、そういった関係ではなくチームとして共に戦っていたイメージでした。今回いろいろ教えていただきました。先生と呼びたい。)その後、国内の友人やシドニー在住の方とのやり取りがあり、気づくと夕方になっていました。

急に忙しくなった感じです。炎の弾丸ツアー。

そういえば、祈りが通じたのか、プライベートな部分ではちょっとした奇跡もありました。正直諦めていました。コロナできっともう会えないでしょうが、心穏やかに、安らかに。


地域秩序変化、バイとマルチの使い分けについては、確か2018年の第8回太平洋・島サミットの後に何かに何度か書いてきた覚えがあります。そのはるか以前から現地に入り、変化の過程というか渦に巻き込まれていた肌感覚で、感じているものを書いてきたもので、全て繋がっているように見えます。

このような変化の時には、自分のような中からの視点と、もっとクールに事象を見る外からの視点の両方が重要になります。近年、この大きな変化の渦の中で、PIF事務局と外交官として直接週に何度も3年間も通って雑談や議論をしてきた経験があり、かつ、現在民間で発言できる立場の人はあまりいないはず(自分が特別と言いたいわけではなく、肌感覚て知っている人は他にもいるはずですが、立場上言えない場合が多いと思います)。チョコレートを持って行って、お茶を飲みながら喧々諤々議論や調整をしたり、時に厳しい交渉になったり。あの時のお茶は楽しみでした。今、その時の友人の一人はNZのオークランドに、別の友人はカナダのトロントにいます。あの時間が戻ればいいのに。

そんなこんなで、自分の場合は、国のお金で経験を積ませていただいたので、国のためにその時得た知見を使うというのは当然のこと。故に、自分はあえてそういった経験から得た中からの視点を強調することで、国内の情報としてはバランスがとれ、広く情報を掴む人が全体像を把握できる、もしくは変化に驚かずに対応できるようになるものと思います。クラウンでも良いし、自分の役割はそんなところでしょう。


今日ちょっと、古くからの日本の友人から言われて思い出したことがあります。

かつてフィジーがクーデターによりPIFから資格停止処分を受け、いろいろあり、日本とも関係が悪化したとき、2012年頃ですが、自分のフィジールートの情報では、駐日大使館を閉鎖し駐中大使館が兼轄しかねない深刻な状況でした。一方で、国内のフィジーをよく知る先輩方は「フィジーなんて、ほっとけば折れるよ」などと軽視する意見が主流でした。それに怒りを覚えたことが、自分が一度SPFを離れ、たまたま公募ポストがあり、運よく採用されて、フィジーに赴任ということに繋がりました。

その時の怒りというのは、何というか、自分が青過ぎたのか、ゾッとしたというか、愕然としたというか、なぜそこまで他人事でいられるのかと。本気で理解していなければ、外交当局も影響を受けてしまうレベルの方々。

それでも、現地では、日本とフィジーのオフィシャルな関係がぎごちなかったにもかかわらず、マタイトンガ大使を始めとする駐日フィジー大使館の皆さんのおかげで、空港到着時から丁寧に温かく迎えていただいたといったことがありました。そして、最初は同僚や現地職員に笑われながらも、最終的に山は動いたと、勝手に美化しています。

話がずれましたが、今回の地域で起こっているざわめきですが、ブラフか本気かという点では、現地の友人からは本気度が高いと捉えられているとのことでした。ここに至るまでの伏線がいくつもあります。それは中国関連がかすむほどのもの。

例えば、小さい国だからと頭のどこかにあるのかもしれませんが、5カ国首脳が正式に署名した文書の意味はどれだけ重いものか。それを覆すのが、どれだけ大変なことか。首脳が署名して公式文書を発出するという行為そのものが、強い決意の表れだったということ。

この一連の動きでダメージを受けてしまうのは豪州、次いでNZになります。

かつてフィジーがPIFからはじかれたとき、豪州・NZおよび2国に近い島嶼国と、フィジーの間を繋ぐ役割を日本は期待されていました(フィジーや豪州・NZに不満があったいくつかの島嶼国から)。しかし、先進国であり民主主義陣営の日本は豪州・NZ側に立ちました(その後、何とか修復し2015年に至るといった感じですが)。

今回は、そういった繋ぐ、仮に脱退した国があるとして復帰を促すという意味ではなく、脱退した国々と豪州・NZの間を取り持つ役割も日本にはあるかもしれません。そのためには、日本は日本で各島嶼国との関係(二国間関係)を改めて大事にする必要があるでしょう。頑張りどき。豪州・NZの地位を落とすことなく、日本の影響力を高めることができるかもしれません。

それにしても。
やっぱり頭に浮かんでくるのは、「リセット」という言葉です。
サブリージョナルな枠組みなど [2021年02月11日(Thu)]

2/9付で出されたミクロネシア連邦、キリバス、マーシャル、ナウル、パラオの大統領によるミクロネシア大統領サミット(2/8開催)の共同宣言(コミュニケ)では、事務局長ポストのサブリージョンによるローテーションについての紳士協定を含む合意を尊重しない機関に参加する価値はないと述べ、5カ国大統領が一致してPIF事務局長選定プロセスに強い失望を表明し、太平洋諸島フォーラム設立協定12条に応じてPIFからの正式な脱退プロセスを開始することに合意したとあり、さらに、5カ国大統領はミクロネシア大統領サミットなどサブリージョナル機関の活動強化を期待していると表明しています。
http://www.naurugov.nr/government-information-office/media-release/micronesia-unified-in-forum-withdrawal.aspx


こちらは、内外の主に非公開の会合などで地域秩序を構成するレイヤーを説明するときに使っている図の一つです(笹川平和財団太平洋諸島マップをもとに作成しました)。

sub-region.jpg

サブリージョンとして、ミクロネシア、メラネシア、ポリネシアに分けられていますが、上記図は独立国のみが対象となっています。

独立していない地域を含めると、文字ばかりで見ずらいですが以下のようになります(同じく、笹川平和財団太平洋諸島マップをもとに作成しました)。

subregions2.jpg

ミクロネシア地域ではミクロネシア諸島フォーラム(MIF)とミクロネシア大統領サミット(MPS)、メラネシア地域ではメラネシアン・スピアヘッドグループ(MSG)、ポリネシア地域ではポリネシアン・リーダーズ・グループ(PLG)があります。

ミクロネシア地域だけを見ると、独立国首脳によるものがMPS、5カ国首脳に加えてミクロネシア連邦の4州の州知事、北マリアナとグアムの知事を含む行政長によるものがMIFになります。いずれも長らく米国系の国々と地域が参加していましたが、2016年頃からナウル、キリバスも参加するようになりました(当初から対象国だったが、米国系の集まりという空気があったものと思われます)。


それで、現在、パラオが今月末でフィジーにあるパラオ大使館を閉鎖することは事実でPIF脱退も確度が高いように聞きます。残り4国も2/8の共同声明で明確に脱退プロセスを始めると言っているので、簡単には収まらないし、今後関係国がどう動くかということなのかと思います。

別の流れで起こったUSPの副総長(Vice Chancellor)の強制退去問題も、特に総長がナウル大統領であったことから、少なからず影響しているのではないかという人もいました。

PIFに関しては、これは明示的に言われていないと思いますが、豪州もしくはNZなど大国の意向で紳士協定が破られたという見方もあり、USPについては地域機関の一つであるUSPにフィジーが国として介入してきたという見方もあるそうで、このように地域機関・地域枠組みの重要な場面で加盟国の協調ではなく大きな国の意向で合意も何も変えられてしまうというところに失望と怒りがあるのだと思います。

中国の影響と捉える向きもありますが、影響があるにせよ、同様に大国の意向で島嶼国を押さえつけるという動きであれば、中国だろうが日本だろうが豪州だろうが島嶼国は反対するということなので、基本的には島嶼国側の立ち位置から物を見た方が良いように思います。

大国がお金を持って無理に意見を押し付け同意を求めるというのは違うということです。そのために、島嶼国各国は外交関係や開発パートナーの多様化を進めてきたというところがあります(国によって進み方が違いますが)。


また、特にPIF事務局と仕事をした経験があったり、仕事をしている現地の友人(日本人ではない)は、数人に個別に連絡を取っていましたが、皆、ミクロネシア5カ国の人ではないのですが、今回の件に関してミクロネシア諸国をそれぞれ支持していました。それだけPIF事務局の仕事のやり方や枠組みに不満があったのだと思います(官僚的だとか、ペーパーワークばかりで実質が伴わないとか、レポートが出ても見た目はきれいだが中身が欠けているとか、反応が遅いとか、上から介入してくるとか)。

さて。このような先がいくつも想定されるとき、自分の場合は、まず基本に返ります。基本というのは合意文書や協定があるのであれば、それに返るというものです。観念とか友人関係とか感情とかではなく、そこに書いてあるものに合わせて物を観察していくといった感じです。


日本にとっては、豪州、NZ、米国、中国、台湾、フランス、イギリス、そして太平洋島嶼国14カ国との関係があるため、現在の過程の段階の動きで、表に情報が出てしまうようにあからさまにどこかの国に肩入れしたり、煽ったりすること(そのように思われること)はリスクがあります。

皆さんそうしていると思いますが、まずは熱や感情に巻き込まれないように、引いて、事実関係を集め、冷静に動向を見守ることが大切だと思います。

例えば、心情的にミクロネシア諸国を支援したいからと言って、表に出る形で5カ国の動きを支持すれば、豪州、NZ、太平洋島嶼国の中でPIFの結束を重視する国々にケンカを売る形になり、敵を作ることになり、(いずれどこかで地域の別の安定期が来ると思いますが)次の安定期での立場が悪くなるでしょう。

日本は幸い、全ての太平洋島嶼国と二国間関係を築いているので、そちらで粛々と関係を強化していくということかと思います。二国間ベースでは、日本からも本音で言えることもあるでしょう。

バイアスの無い情報をしっかり見極めることが大事な時期かと思います。
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